間章(4) 堀川の告白と過去(1)
〜柳さん視点〜
時は文化祭の準備期間まで遡る。
私は呼び出しをくらった。先生からの呼び出しではなく、生徒からの手紙での呼び出しだった。
手紙には、『放課後校舎裏まで来てください』とだけ記されていた。
(告白かな?)と思いながら向かった先にいたのは見ただけでわかる。高身長のクラスメイトである堀川くんであった。後ろを向いているが。
(堀川くんが私ことを好き? そんなことはないよね…)そんなことを思いつつ、
「私を呼び出したのは堀川くん?」
私は(間違っていたらどうしよう?)と思い、恐る恐る尋ねる。
その言葉を聞くと、堀川は振り返る。少し顔がこわばっていた。
「ごめん、柳さん、わざわざきてもらってありがとう。そうだ。呼び出したのは俺だ」
「よかった。間違ってたらどうしようかと思った」
私は少し安堵した。そして、堀川は口にする。
「今日呼び出したのは他でもない、俺の気持ちを伝えたかったからだ!」
堀川くんは言葉が進むにつれ声が大きくなってきていた。
「俺は柳さん、いや、美乃梨! 美乃梨が好きだ! 俺でよければ付き合ってくれ!」
そんなことはあったようだ。
(数週間の間一緒に過ごしてきたけど、どうしようかな?)
それは私が天野さん宅まで行って楓ちゃんのお父さんを説得した、その帰りの時まで遡る。
私は北村くんと一緒に帰っていた。
「本当にありがとう、柳さん。そして柳さんの気持ちに答えてあげられなくて本当にごめん…」
北村くんは本当に申し訳なさそうに謝罪してきた。
私は私のおかげで北村くんが好きな人と結ばれて喜んでいると言う、北村くんの願いを叶えてあげられた嬉しさと、私自身の恋が終わりを告げると言う悲しさの感情がごちゃ混ぜになり、今にも喜びか悲しみか、どっちかわからない涙が流れそうになった。が、今はその時ではないと私は我慢する。
「ごめん…」
このままだと、北村くんはずっと謝ってそうだ。
私は我慢しながら
「全然いいんだよ! 北村くんが幸せになってくれたら。わたしも幸せ…」
そう言おうとした途端、わたしの涙腺が我慢できなくなったのか、目から涙が溢れてきた。
「…あれ? ごめんね。こんなはずじゃ…」
(このまま泣いていることが北村くんにばれてしまうと『楓と別れる』と言い出さないだろうか)そんな不安に駆られた私は
「ごめんね! 私こっちだから!」
そう言って家と全く逆の方向へと駆け出した。北村くんがもし、後ろから追いかけてきたとしても追いつけないように曲がり角などを使ってとにかく泣きながら走った。私は走りながら、(この気持ち、捨てなきゃ。叶わないこの気持ち持ってたら更に辛くなるだけなのに、捨てなきゃ、捨てなきゃなのに! 捨てられない…)そう思った。
そんなことを思いながら走っていると、曲がり角でぶつかってしまったのだ。そう、今告白された堀川くんに。
それが堀川くんと喋り始めるきっかけになったのだ。
〜後書き〜
どうも、こんにちは! ともともです^ ^
本当は文化祭の方を書くべきだったのでしょうが、書きたくなったのでこちらのエピソードを書いてしまいました。文化祭の続きを楽しみにしていただいていた方、申し訳ありませんm(_ _)m
もう1話、もしくは2話になるかもしれませんが、堀川くんと柳さんのエピソードをよろしくお願い致します!
これからもこの小説をよろしくお願い致します!^ ^
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