第83話 楓との帰宅!

 僕は部活に行く男子生徒に睨まれるのを何とか我慢をしきって、靴箱に着いた。後ろから数人の男子生徒が付けてきていた。

 やはり、恋人との初下校と言うのは緊張をするもので、僕は恥ずかしながら黙りっぱなしであった。だが、ここで楓が靴を履き替えながら話しかけてくる。


「ねーね! 悠君! 今日家に遊びにいってもいーい?」


 なんと、こんなことを話しかけてきた。


「え!?」


 僕は思わず動揺してしまう。(付き合ってすぐで家で遊ぶのはどうか)と言うのが僕の考えだった。

 同様に後ろからつけてきていた男子生徒たちもあまりのことだったのか、崩れ落ちていた。

 (流石にこれ以上聞かれるのはまずいか)と、思った僕は、急いで靴を履き替えて、


「行くよ!」


 そう言ってから僕は楓の手を引っ張りかけ出した。


「え!? え!?」


 急に手を握られて、かつ急に走り出したことに動揺する楓だったが、そう言いながらも一緒に走ってくれるのであった。

 

 靴箱の近くの物陰から、


「いいなぁ」


 そんな声が漏れたが、僕や楓、更には誰の耳にも届いていないのであった。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 



 僕たちは学校の校門を出ていた。楓の方は少し息が上がっている様だった。


「悠君、急に走ってどうしたの?」


 楓は不思議に思ったのだろうか、僕に聞いてくる。


「いや、だって聞き耳立ててる人いたから。こう言う話は他の人には聞かれたくないだろ?」


 僕は後ろをつけてきていた、数人の男子生徒から逃れるために走ったのだ。


「なるほどね!」


 楓はどうやら納得した様だった。そして、さっきの話の続きをしてきた。


「それでそれで? 私は今日、悠君の家に行っていいの?」


 楓はワクワクしながら訪ねてくる。そう訪ねられることを予想していた僕は、特に動揺することなく、すぐに(いいのだろうか)と言う考えに切り替わった。


「うーん」


 僕としては、(家に誰もいない時に僕から家に誘って遊びたい)そう思っていたが、楓が遊びたいなら別の話だ。

 約数秒考えた結果、


「良いよ!」


 と言う結論に至った。理由はと言うと、色々考えはしたが、極論"楓と一緒にいたく、一緒に遊びたいから"だ。

 それを聞いた楓は


「やった! ありがと! 悠君!」


 そう言って、満面の笑みでお礼を言っていた。


 と言うことで、僕らは僕の家に向かうこととなった。それからと言うもの、楽しくおしゃべりをしながら帰っていた。もちろん、僕が繋いだ手はまだ離れていなく、恋人繋ぎになっていたのだった。

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