第59話 柳さんのリベンジ

 僕は柳さんに誘われたため、お弁当を持って、普通は来ない屋上にやってきてきた。屋上は日があたり、とても暑かった。既に柳さんは屋上に来ていた。そして、こっちこっち!、と手を振っている。僕は柳さんの座っているベンチの横に腰を下ろした。


「あ、ありがとうね。来てくれて」


 柳さんはお礼の言葉を口にする。何か緊張しているようだった。


「いいよ、全然!」


 僕は(柳さんはなぜ緊張をしているのだろう)と思いながら返事をした。


「じ、じゃあ食べよっか」


 やはり緊張しているようだった。


「うん」


 と、言うことでお弁当を食べ始めた。ちんもくがしばらく続いたが、会話と言えば、今日の朝の騒動のことについてだ。


「そ、そう言えば本当に今日の朝はすごかったね」


 柳さんは声を震わせながら言ってくる。さらに緊張度が高まっているような気がした。


「本当に。多分誰もOKされてないよね?」


 僕にとって、別の人でOKをされると悲しくて立ち直れ無さそうだ。


「さ、されてない、と思うよ」


 柳さんはそう言った。声もかなり震えており、少し心配になってきた僕だった。



 〜柳さん視点〜


 私は北村君とご飯を食べ始めてからずっと緊張状態にあった。


「さ、されてない、と思うよ」


 私は声をとても震わせながらなんとかそう言った。

 これからあのリベンジをするので、(もし、リベンジが成功したら)と思うと更に心臓がバックバクしてしまう。(恐らく0に近い)とも思った。だって、悠君が好きな人は、私ではなく、楓ちゃんなのだから。


「そう言えば柳さん、どうして今日ご飯に誘ってくれたの?」


 北村君がついにこの質問をしてきた。いずれ聞かれると思っていた、それを聞かれたらリベンジすると決めていた。そう、告白だ。後時のリベンジを今、する。


「そ、それは、ね…」


 なかなか言い出せない。あの時と違ってだいぶ友好も深めてきている。だが、断られることはほとんど確定している。ただ、この気持ちが抑えられなくなり、伝える事にしたのだ。


「ゆ、ゆうくん!」


 いつもは名字呼びだが、名前で呼んでみる。北村君は、告白されるとは全く思っていなさそうに首を傾げている。(やはり鈍感だ)と私は思う。そして、また勇気を振り絞り告白する。


「あ、あの日のリベンジがしたくて! わ、私と付き合って下さい!」


 と、ダメ元で言い切った。断られるだろう、と覚悟した上でしたので、振られたとしてもそんなに反動は大きくない、はずだ。

 悠君は大きく目を見開いたが、私の予想通りの返事が返ってくる。


「ごめんなさい。この前にも言ったけど、僕はまだ楓が好きなんだ」


 (私は最低だ)と思いながらも今の関係について口を出してみる。


「い、今みたいに距離を置かれるのに?」


 悠君は頷いた。(こんな状況になってまで好きだって言えるのは凄い。これが本物の愛なんだな)そう思うと、


「そ、そっか…、やっぱり」


 私は悲しみの言葉が口から出て、我慢を必死にしていたが、目から涙が溢れてきた。


「気持ちに応えられなくてごめんね。柳さん」


 そう言って、(振られた相手がずっと近くにいるのももっと可哀想なんじゃないか)とでも思ったのだろうか、北村君は屋上から出て行った。

 その後誰もいない屋上に私の泣き声が響き渡った。



 〜後書き〜


 この小説を読んでいただきありがとうございます! 寝る前に急いで書いたため、おかしい点等が結構あるかもしれません…。

 申し訳ありません。

 なにか「ん?ここ、おかしいな?」とかお気付きになりましたら、コメントで教えていただけると幸いです!

 これからもこの小説をよろしくお願い致します!

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