第50話 次の日、転校生登場

 バスで登校する朝、僕はいつものようにバス停にやってきていた。もちろん楓はいない。


「はあぁ」


 僕は昨日同様にため息をついた。


 それから学校に到着する。教室に入るとすぐに柳さんの席でいつも座っているのだが、今日はいなかった。(柳さん寝坊かな?)そんな事を思い自分の席に向かった。今日はバカップルどもはすでに登校してきていた。森下さんは僕を見つけると急いで走ってきた。


「おはよう! 北村君」


「おはよう。森下さん。なんかわかった?」


 おそらくその内容で急いで近づいて来たのだろうと思う僕は聞いてみた。


「私が聞いてみたけど確信的なことは分からなかった」


 (分からなかったんかーい)と、突っ込めるぐらいの元気はあったが、そう言う空気じゃないのでやめといた。


「でもわかったことが一つ。おそらく悪いのは悠君じゃないわ」


 森下さんはそう言った。


「なんでそう思ったの?」


 僕は聞く。


「北村君の話をしたらね、楓ちゃんは『私が全て悪いの!』ってずっと言ってたから。


「なるほどな」


 どうやら僕がダメだから距離を置いているのではなくて、楓自身の問題で距離を置いているようだった。


 そんな事を話していると楓が登校してきた。すると僕の方にやって来て、


「今日うちに来てくれる?」


 楓はそう聞いた。(あれ? 全く避けられてない?)僕はほんとうにそう思った。


「うん!」


 僕は元気に返事をしたが、楓はその声に応えることはなかった。と言うことは(まだ避けられている? もう分からん!)と言う心情に僕はなっていた。


「座れー」


 いつもの低い声が響き渡り、先生が入ってくる。


「今日は転校生がいる。じゃあ紹介を」


 すると180cm以上ゆうに超えてそうな男が入って来た。


「よぉー! みんなおは! 俺は堀川 稜太ほりかわ りょうただぜ! 友達とか彼女とかも欲しいぜ! よろしくぅ!」


 堀川 稜太と名乗った転校生はみんなの前で元気よく挨拶をした。(すごく元気が良く、絡みやすそう、そしてチャラそう)と言う印象を僕は抱いた。


「じゃあ堀川は用意したこの席にすわれー」


「へーい」


 堀川はそう言い、用意された大倉の横の空席に座った。


「君、よろしくぅ!」


 堀川は横の光と仲良くなろうとしているのだろうか、「よろしく!」と言う挨拶をしている。


「お、おう」


 光は辿々しくなりながら応える。


「………と言うことで、朝のSHRを終わる」


 と言う言葉を残して先生は出て行った。

 転校生はと言うと、今すごい質問攻めにあっている。転校生は最初の方はたらい回しにされる物だろう。ということから納得した。


「普通に誘い受けてなかったか?」


 光は笑みを浮かべながら近付いてくる。楓が僕を家に誘って来たことについての話をしているのだろう。


「うん! なんか誘ってくれたんだけど、いつも通り、と言う感じでもなかったし、意図が読めないんだよね」


 僕は自分の解析をそのまま口にした。


「そうか。まあそれは今日実際に行って来て確かめてこい」


「うん」


 まあそうするつもりだったし、と言う感じで答えた。

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