第11話 本当の担任の先生

 球技大会が行われた週の金曜日になっていた。明日からは休みである。僕の方の怪我はほとんど完治していて、触られてもちくっとした痛みしか発生しなくなった。天野さんともいつも通りの調子で接することができている。この調子だと大丈夫だろう。


悠「いやー、体も本調子に戻ってきたわー」


光「それならほんとに良かったぜ」


澪「ほんとに早めに治ってくれて良かったー」


 森下さんとの初めての関わりと言ってもいいのかわからないが、その時に急いで保健室に運んでくれたことだ。その後保健室に来てくれていたりと天野さん関連で関わりが増えて、今では普通に話すようになっている。


楓「、ほんとにごめんね。」


 そう、天野さんとは進展があった。名前までとは行かなかったがお互いに苗字で呼び合おうと言うことになっていた。


悠「天野、もういいって毎日言ってんじゃないか。もう謝らなくていいよ」


 そんなことを毎日言われ続けると逆にこっちまで申し訳なくなってくる。


 ここで天野がとんでもないことを言い出す。


楓「今週末、みんなで球技大会お疲れ様打ち上げしない?? メンバーはこの4人で!」


 なんてことを言ってきた。この人は僕の身体が悪いと言うことをちゃんと覚えてるのだろうか。でも行きたいことには行きたいのでそこは水に流そう。だいぶ良くなっているし。


 森下さんと光はと言うと僕の方を見ていた。

(悠(北村君)が大丈夫なら行くよ?)と言われているように感じた。まあ僕としては行きたいから賛同しよう。


悠「……うん。わかった。いこう!」


 その一言で森下さんと光も頷いた。


楓「もちろん北村の分は私が奢るので!」


 またもやこんなことを言ってくる。別にいいのにと思うが、何か天野にさせないと納得してくれなさそうなので奢ってもらうことにする。


悠「じゃあお願いします」


楓「うん!」


 と、目をキラキラさせて見ている。恩返しができるのが嬉しいのだろう。


楓「じゃあ11時に〇〇駅に集合で!」


「「「了解!」」」


 みんなが承諾しこの時間に決まった。もうすでに明日が楽しみになっている僕がいたが


?「はい、座れ」


 いつもの高い声ではなく低い声が教室に響き渡る。


?「しばらく留守にしてて悪かったな。俺が本当の担任の奥田 紅おくだ こうという。宜しく頼む。」


 本当の担任の奥田先生がやってきた。


紅「それでは朝のSHRを始める」


 そうして本当の担任のSHRが始まるのであった。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




 それから6限になり、今日の6限はLHRだった。


紅「そう言えばこのクラスは球技大会で準優勝したらしいじゃないか! 惜しかったな。それでもよく頑張った!」


 奥田先生が笑顔で称賛の言葉を贈る。

 そう、僕らのクラスはエースが退場させられた1組を破ったが、決勝で惜しくも敗れ、2位終わりだったそうだ。


紅「それからもう一つ。北村 悠! 君は女の子を体を張って守ったらしいじゃないか!まさに男の見本というものだ! 偉いぞ!」


 急に僕は褒められたので思わず照れてしまった。


楓「ほんとにありがとう、北村」


 そこに乗じて天野もまたお礼を言ってくる。

 本当にむず痒いからやめて欲しいものだ。


悠「うん」


 と、天野に小さな声で答えた後


悠「ありがとうございます!奥田先生!」


 僕はそう答えた。


紅「感謝するのはこっちの方だぞ。男子諸君、北村のような男子になるんだぞ!」


 先生は助けた一面しか知らないからかそんなことを言う。天野と同じクラスになれて叫んでしまったのも真似しろと言っているようなものなのでとても恥ずかしくなり、本当にやめて欲しかった。


「「「はい!!!」」」


 でも他の生徒は普通に答える。どうやら頭オカから女子を守れるいい奴に評価が上昇してくれていたようで、僕は嬉しく思ったのだった。


 次は打ち上げ編!

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