第8話 球技大会に向けて◎

 無事課題テストも終わり4月も中盤に差し掛かっていた。

 ちなみに僕は学年順位はちょうど真ん中ら辺の順位だった。天野さんは安定と言っていいほどの1位、光は、と言うとこちらは残念の下の下と言うほどの順位だった。


「よし! それじゃあ明日の球技大会の種目を発表するぜ!」


 みんなの前で体育委員となった光が指揮をとる。


「今回は男女混合のドッヂボールをすることになった!!」


 男女混合。つまり一緒にやると言う事。ほとんどの男子はと言うと「よっしゃー! やってやるぜ!」と燃えているのだが、その一方、ほとんどの女子と僕はと言うと


「「「はぁ…」」」


 がっかりと落ち込んでいた。


「おいおい、どうした? 女子諸君」


 わかれよ。女子が落ち込んでる理由を。僕だってその理由で落ち込んでるんだぞ。


「いや、だってね?」


 ボソリとクラスの女子が呟く。


「男子のボールとか痛いし」


 続けて言う。


「「「そうそう」」」


 クラスの女子が共感する。


「足引っ張りたくないもんねー」


「「「それなぁー!」」」


 そんな文句を言っている。

 僕も(めっちゃわかるぅ!!)と、心の中で共感している。


「なんだよ、そんな事かよ。我慢しろ! って言いたいところだがな。まあそれについてはこの馬鹿に任せるか」


 光と女子の体育委員である、森下さんを除いては、はて?と首を傾げている。


「誰がバカよ! 大倉君のほうがよっぽど………。じゃなくて、私から簡単にルール説明をするわね。ふふ、これを聞くと不安が吹き飛ぶんじゃないかな?」


 (何でバカで反応できるんだろう…)と、僕は疑問に思っている一方、悪戯に笑顔を浮かべている。どうやら不安が吹っ飛ぶそれが確実だと言う自信があるようだ。


「まず、男子が女子にボールを当てるのは禁止。いかにも女子を狙ったボールを投げた場合はその人は即失格、退場になるから注意する事!」


 そのルールを聞いた途端にさっきまで不安がっていた人がいなくなり、


「なら大丈夫ね!」


「そう言うことは早く言いなさいよ」


「これなら迷惑かけずに済むかも! 初のクラス行事がんばろ!」


「「「おーー!!!」」」


 そのようにみんなやる気になってあるが、僕としては何にも解決していない。考え方がアレかもしれないが、その分狙われてしまいそうで逆にもっと嫌になった。


「男子、他のクラスの女子に当てちゃダメだからね!」


「「「はーい」」」


 僕は、手を挙げる。理由としては、森下さんに質問があるからである。


「えっと、北村くん、だっけ? どうしたの? 質問とか?」


 彼女は優しく言った。

 その言葉にガヤガヤしていたクラスは静まり返る。


「男子から女子への攻撃はダメと言ってたけど、女子から男子の攻撃はどうなんですか?」


 森下さんが質問しやすい空気を作ってくれたので、普通に質問することができた。


「もちろん、女子から男子への攻撃はありよ」


 それを聞いた途端女子が、


「「「おぉ!」」」


 と言う歓声が上がった。これなら割と女子にとっては平等な試合ができるだろう。

 が、僕は全くそうではない。でもどうしようもなさそうなので諦めるしかないだろうが。


「あとは外野から内野への復活はなし……………………………こんな感じかな!」


 その他のドッヂボールの定番ルールが説明され、この場は幕を閉じるのであった。

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