運命の日
――気の休まらない休日が終わり、いよいよ運命の日がやってきた。そう、学年順位が張り出される日である。
「うーん……こんなもんか。問題は紫苑に勝っているかどうか、だな」
俺の点数は国語65点、古典35点、数学35点、化学30点、生物35点、英語40点、日本史55点、世界史45点、現代社会38点、保健体育85点である。
「……マジで頼むぞ保健体育! お前にかかってるんだからな!」
「……瑠夏、私が教えた結果でこれ?」
「り、梨音!?」
なんと、梨音は後ろからこっそり俺のテストの点数を覗き込んでいた。
「い、いつからいたの!?」
「んー? 先生が出て行った直後かしら?」
「それ、ずっと前じゃん! 声かけてよ!」
「いやー、テストとにらめっこしてるとこ話しかけたら悪いかなって……」
「そんな気遣いいいから……」
ちなみに、梨音は一つを除いて全て100点である。その一つとは、国語である。ちなみに国語は90点とのことだ。
「そういえば、紫苑は?」
「先生が出て行った直後、すぐに外に行ったわよ」
「なんでだよ。一緒に掲示板見るんじゃなかったのかよ」
「テストの点が悪くて、動揺している顔を見られたくないんじゃないかしら?」
「あー、なるほど」
と話し合った直後
「誰の点数が悪いって?」
「「し、紫苑!?」」
「待たせたね。でもまぁ、梨音ちゃんの言う通り、トイレでパーカーフェイスの特訓をしていたよ」
あっ、それは本当なんだ……
「じゃあ、結果見に行っちゃおっか! 梨音ちゃん、保証人として一緒についてきて!」
「はぁ、わかったわよ……」
こうして、俺たち三人も教室を出た。
▲
――廊下
「……うーん、さすがに一位はないか」
「当たり前だろ」
掲示板一学年の成績順位、一位は安定の門矢梨音で二位は二宮千紘だった。
「あっ! 門矢梨音!」
と、ここで俺たち(というか、梨音)に気づき、ある人が話しかけてきた。そう、学年二位の二宮さんだ。
「今回は負けたけど……次は絶対に勝ってやるんだから! そして、成司先輩を振り向かせるんだから! くっ!」
二宮さんは少し涙目になりながら、梨音に指をさし、大声でそう言った後、走り去っていった。
「廊下は走っちゃダメよー!」
「余計なお世話だよー!」
「全く……本当に騒がしいんだから。というか、あの子まだ真実に気づいてないのね。成司先輩の想い人が誰かっていう真実を」
「……」
その言葉を聞き、俺は寒気がした。
「さて……二宮さん? も去ったことだし、結果を見ましょう!」
「あ、ああ……そうだな」
ほんの少し自信があるとはいえ、緊張してきたな。
「じゃあ梨音ちゃん、ジャッジをお願いします!」
「いや、そうしたいところだけど……三組分の人数がある順位票から二人を探すのは難しくないかしら?」
「ま、まぁ……」
「確かに……」
「ここはシンプルに、お互いの点数を見せ合ってその合計点でどっちの勝ちか決めましょう。さ、教室に戻るわよ」
……ここに来た意味はなんだったんだ?
俺は少し損した気分になった。いや、一つだけ得したことがある。
それは愛する彼女がてっぺんの成績を取っていることが確認できたこと、かな。
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