悪役令嬢に転生した私、破滅エンド回避を目指します!

「あれ……私、さっきトラックに撥ねられたんじゃ? ここはどこ?」


気づいたら、私はベッドの上で眠っていた? 病院……ではなさそう。天井にはでかいシャンデリアがある。周りを見回すと透明なテーブル、その上にはフルーツ盛り合わせのカゴが乗っていた。

ほかにも、壁にはキツそうな顔とオレンジ色の髪をした女性の肖像画が飾られていた。この人の顔……どっかで見たことあるような?


「お目覚めですか? カレン」

「カレン……?」


その名前……どっかで聞いたことあるような気がする? 誰だっけ?

名前が記憶に引っかかりつつ、声の主の方を向くと、黒い長い髪の男が目の前にいた。


「あ……あー!」

「ん? どうかしたのかい? カレン」

「いや、なんでもない……」

「なんでもない……か。幼馴染の俺が起こしにきてやったから、見惚れたとか言って欲しかったものだな」


この少しキザでイケメンな男……間違いない。この男の名前はルカだ。


ルカは私がプレイしていた乙女ゲーム、「ファイナルキングダム」のメイン攻略対象キャラである。

でも、ルカと最終的に結ばれるのはカレンじゃなくて、主人公のルーシェだったような……というか、カレンってファイキンの悪役令嬢じゃなかったっけ!?


確かカレンは最後、ルカから振られた挙句色々あって国から追放されちゃうんじゃ……ど、どうなっちゃうの!?



俺は亜姫の書いたライトノベルを読み、なぜ彼女が英語の本を持っていたか理由がわかった。


それは、このライトノベルのネタのためである。なぜそうわかったのかと言うと、いかにも取ってつけたかのような英単語や英語の人物名が出てきたからである。なんだよファイナルキングダムって……直訳すと最後の王国じゃんか。


「ルカ、どうだった?」

「ああ……まぁ最近のライトノベルって感じかな」

「……それだけ?」

「え?」

「他に気づいたこと、ないかな?」

「えーっと……ルカって名前の男がいたけど」

「ふひっ……」


俺がそう言った途端、亜姫は変な笑い声を一瞬だけあげた。


「そうなんだよ。ルカがモデルなんだよね。ルカの見た通りまんまで書いたつもりなんだけど……」


いやいやいや、俺こんなキザじゃないし! イケメンじゃないし!


「で、こんなこと言うのは恥ずかしいんだけど……主人公はアキなんだよね。これでラノベの中だけど、ルカとアキは付き合えるってことだよ! そして幼馴染にもなれた!」

「そ、それはよかったね……」


盛大にネタバレかましたなこの子……


「というわけでルカ! アキの書いたラノベみたいに、付き合う?」

「断る」

「えー?」

「というか亜姫もちゃんと勉強しなよ。ラノベ書くのもいいけど、勉強を疎かにしたら赤点まっしぐらだよ」

「ちょっと! ルカ!」


俺はそう言い残し、逃げるように亜姫の元から去った。

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