【驚愕】流川瑠夏の勇気に涙が止まらない……
「「「「はぁ……はぁ……」」」」
コウを助けた私たちは、疲れて寝転びながら、荒い呼吸を吐いてた。
「た、助かったぜ……る、るーちゃん?」
「う、うん……るーちゃんはあだ名で、おれの名前は、るかだよ」
「る、るかか……かわいい名前じゃねぇか」
「う、うん……」
「とにかく、今回は俺たちの負けだ。あの砂場はお前らが好きに使うといい。いくぞ、ゲンくん」
「はいはい……」
コウは立ち上がり、パンパンと服から砂を払いながら、ゲンくん……つまり私と一緒にジャングルジムを登った小六の子に帰るように呼びかけた。
「まっ、待って!」
ゲンとコウは私たちの前から去ろうとしたが、るーちゃんが彼らを呼び止めた。
「あ、あのさ……四人で一緒に遊ばない?」
「い、いいのかよ……俺たち、負けたんだぞ?」
「それに、俺たちお前たちを砂場から追い出そうとしたんだぞ? 本当にいいのか?」
「うん! だってみんなと遊んだほうが楽しいから! しーちゃんも、いいよね?」
「るーちゃん……優しすぎでしょ」
この瞬間、紫苑の心臓の音が一回だけ大きく鳴った。
その一回は多分、いや絶対。恋をした音だ。
「……紫苑、本当は嫌だけど、るーちゃんがそこまで言うならしょうがないな」
「やった! じゃあ、みんなで遊ぼうよ!」
「あ、ああ。オレはコウ! よろしくな、るか!」
「俺はゲン! よろしくな! るかくん!」
「うん! よろしく! で、あの子は俺の幼馴染のしーちゃん!」
「……紫苑だよ。よろしく」
▲
「本当にるーちゃんは優しいし、強い。どんなに嫌なやつでも助けるし、どんなに嫌なやつでも、一緒に遊びに誘って、友達になる。紫苑はこれがきっかけで、ただの弱虫幼馴染としか見てなかったるーちゃんのことを男の子として好きになったんです」
「……」
「な、成司先輩……?」
「うっ……うっ……」
「え!? 泣いてる!?」
そう。俺は流川瑠夏のエピソードを聞き、涙を流していたのだ。
「いい話だな……流川瑠夏は、そこまで優しい男だったのか! 俺は感動したぞ!」
(成司先輩って、感受性が強かったんだな……)
平野クンから話を聞いた後は、藤井クンを呼んで流川瑠夏のことを聞こうと思ったのだが……平野クンでもう十分だ。
そもそも、藤井クンと流川瑠夏は付き合いが浅いし、彼女から見た視点もどうせ王子様だのと浅いことしか言わなそうだからな。兄者を傷つけたし。
「ぐすっ……平野クン。今日はいい話が聞けてよかった。もう帰っていいぞ」
「は、はぁ……では失礼しました」
平野クンは少し顔を引き攣らせつつ、俺に一礼をし、生徒会室から去っていった。
顔を引き攣らせていたのは、泣き出した俺にドン引きしたのだろう。だが、それでもいい。
「よし! 俺は決めたぞ! 明日、流川瑠夏を生徒会室に呼ぼう!」
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