閑話 サマーニャ色々と調べる

 ・・・う〜ん。

 やっぱりどれだけ調べても、勇者・・・あの子の母親の情報はあの子の父親と一緒に来て以降の事しか出てこないわね。

 こっちに来てからは、力を隠しながら上手く山奥に住んでいたみたいだけど・・・色々魔道具アーティファクトを生み出して、かなり快適に過ごしていたみたいね。

 それに、その力を使って海に行って魚を獲ったり獲物を狩ったり・・・やりたい放題ね。


 まぁ、それは別に良い。

 誰にも力はバレなかったみたいだし。


 山奥に隠れ住んでいたからこそ、私にも気づかれずにいたのでしょうけど。


 私だって、新しい世界のことがなければ、こんな山奥にポツンと住んでいる人の事なんて気にも止めなかったでしょうからね。

 だって、世界全てを見なきゃいけないのに、集中してそこだけ見るなんて、管理者でも不可能だもの。


 にしても、調べれば調べるほど、亡くなったとされる時の状況が不自然ね。


 この崖崩れ、意図的に起こされてる?

 

 解析しても表示されないって事は、かなりそういう改ざんに長けた能力を持っていた奴の仕業にしか思えない。


 誰かが隠蔽した。


 まず間違いなくそうでしょうね。

 というか、世界の根幹に干渉出来るなんて・・・管理者の力・・・すなわち神力を使用しているとしか考えられないわ。


 という事は、管理者がこれを引き起こし、隠蔽した、という事。


 でも、仮にも私は管理者としては古株・・・8番目の管理者。

 そんな相手にちょっかいかけるかしら?


 まず最初に考えるとしたら、私よりも上位の管理者だけど・・・該当者がいないのよねぇ。

 やりそうな2番目の方は既に粛清されているし、3番目の方はもう管理者を辞められたから、私よりも上位の管理者は5柱しかいないし・・・一応、同格というかなんというか、同期のあの子は私と同じ数字的な意味を持たされた双子みたいな感じではあるけれど、流石にこんな事はしないだろうしね。


 そう、に生み出された数ある管理者の中で、私とその子だけは、数字の意味が被るの。

 というか、その子は直接的な数字が名前にはなっていないのよ。


 というのも、私が生み出される時に、トラブルがあって本来一人だけ生み出される予定だったのが、二人生み出されてしまったらしいの。

 でも、創造神様としては、同時に生み出された私達に優劣をつけたく無かったようで、8番目の数字を持つ私と、と同じ名前のあの子として名付けられたのよ。


 だから、私の次の管理者は9番目では無く、10番目となるの。


 まぁ、それはいいわ。


 それよりも、一体誰がこんな事をしたのか、よね。


 私より若い数字を持つ方々がこんな事をするとはとても思えない。

 となると、私より後に生み出された管理者がやったって事だけど・・・そんなバカな事するかしら?


 少し前に、2番目の方がそういう事をして粛清されたってのに。

 あの方は、最上位に近い管理者だった。

 だからそのセンセーショナルな出来事は、私達管理者に大きな衝撃をもたらせたの。

 実際に、あの2番目の方の被害に遭っていた管理者達は、これまでみな一様に口を噤んでいたらしいのだけど、粛清されてからは出るわ出るわ・・・ほんと、やりたい放題だったみたいなのよね。


 でも、力を持つ管理者だったから、誰も何も言えなかったみたい。


 唯一その方よりも上だった1番目の方は何も知らなかったようで、その出来事にとてもショックを受けておられたみたいだけど。

 

 私としても、先輩として頭が上がらないうちの一人・・・だった。

 それでも、他の世界に許可なく干渉したり、魂の研究をして自己を強化するという事を繰り返していたようで、判明した時、創造神様の名の下に粛清されたのよ。


 あの、【処刑人】なんて言われている管理者の一人に。


 私は【処刑人】には会った事ないんだけど、なんでも只人だったにも関わらず、管理者を上回る力を得て管理者になり、今では創造神様の後継者とも言われるほどになったみたいなの。


 とんでもない力を得ていて、悪さをした管理者を何度も粛清したようで、【処刑人】なんて物騒なあだ名で呼ばれるようになったそうよ。


 まぁ、管理者最強なんて呼び方をする者もいるらしいけど。


 噂では、創造神様と手合わせをしてて、友達みたいな付き合い方をしてるとかなんとか・・・まぁ、流石にそれはないと思うけど。


 その【処刑人】は、同期のあの子の世界の出身だったみたいで、前にあの子と話をした時に、すっっっっごく褒めまくってたのよね。

 うるさいくらいに。


 あのとても美しいのに怖い3番目の方が、管理者を辞めてその管理者に嫁いだって聞いて仰天したのよねぇ・・・あの先輩がメロメロらしい。

 あの先輩がねぇ・・・ちょっと信じられない。


 なんか、あの子も惚れちゃったとかなんとか言ってたけど、まともに聞いていない。

 だって、あの子冗談ばっかり言うし、どこまで本気かわからないからね。


 あ、思考がそれてしまったわね。


 だから、もしこれをやったのが後輩だったとしたら、ただの馬鹿としか思えない・・・ん?そう言えば、新しく管理しているあの世界の元管理者ってその【処刑人】に処断されていたような・・・それにその元管理者は今回の二人とも関係がある。

 痛めつけていた張本人だし・・・あれ?まさか隠蔽したのって・・・


「おーい!来たで〜?ひっさしぶりやないか!!元気しとるか〜?」


 あ、あの子が来たわね。


「いや〜ようやっと時間出来たわ〜!補助者も何人か出来たし楽ちん楽ちん!一時期が嘘みたいやってホンマ!!あんときは大変やったもんなぁ。ん?サマーニャなんでそんなしけた顔してるん?飴ちゃん食べる?」


 ・・・相変わらず、口から生まれて来たくらいによく喋る子ねぇ。

 騒がしいったらありゃしない。


 まぁ、いいわ。

 ちょっと相談に乗ってもらおっと。


*****************

これで今章も終わりです。

はてさて、忍達は無事ヴィクトリアに会えるのか?

この別世界の管理者がもたらす情報は一体なんなのか?

いよいよ、次章で明らかになる!かもしれません(笑)

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