第28話 突破試練

 ここは、林?


 私はいつの間にか、所々に杉の木が生えた林の中に居た。遠くの方は霧がかかって見えなくなっている。


「上は……って、えぇ?」

 100m程の高さに霧がかかっていたのだが、杉が霧の中に入って見えなくなっていた。


「ここどこ、そもそも日本なの? って、あれは……」


 ボスと戦う時に使った、赤い剣と台座があった。

 このドレスでの初戦闘だ。上手く戦えると良いけど。


 《恐怖の瞳》を強にして……

「始めようか…………それっ!」


 何が来る?


 3ヶ所に霧が集まって色が黄色……いや、金色になっていき、現れた魔物が…………


「「キィィィィィ!!」」「……………………」


 3匹の猿だった。《鑑定》……


□□□□□

不見の祭猿 Lv.21

※詳細鑑定不能※


不言の祭猿 Lv.21

※詳細鑑定不能※


不聞の祭猿 Lv.21

※詳細鑑定不能※

□□□□□


 なるほど……。Lvは今までのよりは低めかな。


 さて、3匹はそれぞれ手で、目、口、耳を抑えている。これでどう戦ってくるのか。


 殺ろう、《狂風》《密殺術》!


 三猿の内の1匹に向かって切りかかろうとすると…………


「キキィィィィ!!」


 ――パンッ!


「なっ…………!?」


 視界が真っ白になった。その拍子に攻撃は外れてしまったらしい。


 多分これは不見だろうね。さて、今私の姿は消してて見えないはずだけど、私も見えない。そして、向こうの方が先に見えるようになるはず。


 さて、恐らく私の姿が見えたら攻撃してくるよね。それに合わせてカウンターすべきかな、1本のモードの攻撃試してみるかな。遠距離攻撃された時も考えて、後ろに引いた上で…………



 ――あと5秒…………


 3…………2…………1…………



 今っ!

 姿が見えるようになると同時に後ろに引き、双刃剣を柄を中心に回転させる。



 ――バシュン…………


 ――ガシュッ!


「キィァァアア!」

「…………痛っっつ!」


 攻撃は1匹には当たったけれど、私も左脇腹に攻撃を受けてしまった。


「まぁ上出来でしょう」



 視界が開けた時、三猿は既に3手に散開してした。


「キキィィィィィ!!」



 ――音が消えた。


 次は不聞ってことね。後ろに回られた方は音無しで対処しなさいって事…………


 双刃剣を2つに戻し、三猿の内の1匹、1番厄介であろう不見に狙いを定める。


 《狂風》《閃撃》!

「はぁっ!!」

「キィィッ!!」


 一気に距離を詰めて攻撃に転じた。


 スキルは凄い厄介だけど、肉弾戦は並だね。この程度なら殺れ…………


「キィッ!キキッ!!」


「…………!」

 ――パァァン!!


 なっ、逃げた?! って不言が何かしたの? 確かに声は出ないけど、私1人だしそれで何が…………


 ってスキルが使えなくなってる?!

 まさかそんなことまで出来るとはね…………三猿全員がまた集まってる。こっちがスキル使えない間は数の暴力で攻めるってことね!


 こいつら全員厄介なんだけど!


「「キィィィィッ!!」」


 ああもう!純粋な身体能力でどうにかしないとってこと!



 3匹相手に肉弾戦を暫く続けていたが……

 スキル無しに対多数戦は中々面倒だ。攻撃は入っているけど、どれも有効打にはなっていない。


 首を狙う余裕が無い。

 スキルを使わないとするならこいつらでも中々厄介だ。このまま膠着状態だとどうしようも…………


「キキィィィィ!!」

 ――パンッ!!



 まずい! 不見だ! 《密殺術》!


 ――はぁ、なるほど。この3つを繰り返すって所か。これは中々時間がかかりそうだね……

 ふふっ、でも猿共、時間はかけたとしてもあなた達は絶対に今回で殺すから。覚悟しなさい。




 戦うこと数十分。この持久戦で三猿の動きは大体理解出来た。

 さぁ、ここから一転攻勢だ。


「キキィィィィ!!」


 不見、今だ。《狂化》!


「ふふふっ……うふふ、あはははははははっ!!」


「「キィィッ!?」」


「猿共? あなたたちの場所はもう分かってる。死ぬ覚悟は出来てるんでしょう?」



 私はこのスキルのループの最中、相手の防御の薄さと私の攻撃の厚さが最も適した具合になるタイミングを探っていた。


 それが不見の時だ。ここまで《密殺術》を毎回ここで使っていたので、2回目以降の不見のタイミングでは三猿は動きをすぐに止めていた。つまり索敵に集中しているということになる。

 私は不見の終わるタイミングから、どの辺りに三猿がいたかを割り出し、毎回ほぼ同じ位置関係にいると気付いた。


 つまり、このタイミングなら……


 ――ザシュッ!!


「不見。まず1匹ね」



 簡単に殺れるということだ。


「キィィィッ!!」

「次はあなた、不言の番」


 ――ザンッ!!


 3匹は決まった陣形を取り続けていた、それも何度も。それを崩されればもう終わりでしょう。


「最後、不聞ね。死になさい――」



 ――ザシュッ!!



「ふぅ……これ終わりかな…………」


 本当に厄介な相手だった。今回されたことへの対策は出来るようにしたいかな…………


――特殊挑戦に勝利しました。転移を開始します――


 良かった、終わりだ。さてこの後は……



――貴方、ちょっとこっちに来て頂けますか?――




 ………………え? 誰?

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