第22話 殲滅の終末
「あはっ!」
……狼、首を斬れば死ぬよね。
――ザシュッ……
「ガルァッ……」
……猪、首は太いか……頸動脈を狙えば殺れるかな。
――ガシュッ……
「ブルァ…………」
スライム……? それなら核らしいものが見えてるし、そこを狙って……突く!
――パシャン!
私は、蛇によって火蓋が切られた殺戮劇に興じていた。
動物型、虫型、魔物特有型。どれを取っても苦戦することも無く瞬殺していた。
「やっぱり殺しまくるっていいなぁ……」
嬲り殺すのもいいけど、大量に殺し回るというのもまた気分が高揚する。
さて、次は何が来る……って人?
「うわあぁぁぁぁぁっ!? …………はっ……が、がっ……」
へ? えっと? 消えたってことは……死んだの? 一本道の曲がり角から来たってことは、奥になにか……
「うわっ!何が起きた!?」
「と、とりあえず一旦引くぞ!」
どうやら奥に2人いたらしい。でも奥に引くってことは何も無い、つまり何かあるのはこっち側…………あれ私のせい?
《恐怖の瞳》は弱のままだったはずじゃ…………えっ。強になってるし、いつの間に。もしかして無意識……?
「はぁー…………」
溜息もつきたくなる。別に殺したことについては、それで死ぬくらい弱いそっちが悪いって言うけれど。
それよりも、テンションが上がって無意識に強度を上げてたこと自体がショックだ。もう少し自分を律する位は出来てるものだと……
この何とも言えない感情は魔物を殺して解消してしまおう。
言ってることが割とおかしい自覚はある、がやりたいのだからしょうがない。それに方針を変えるつもりはない。私は私のやりたいことをする、それだけだ。
「ふふっ……第2ラウンドとしましょうか」
そうして私は、再び魔物の殲滅を再開し――
開始から12時間が経過した。
「はぁ…………全然いない」
第三棟で魔物を狩り続けていると、魔物の出が悪くなってきたので、私は隣の第二棟に移り、さらに第四棟にも移って殲滅をしていた。のだが…………
どうやらここもほとんど狩り尽くしたらしい。
「キリがいいし、ログアウトしに戻ろうかな……」
ふぅ、やっとセーフティエリアに帰って来れた。散々遠回りしていた行きと、何故だか同じくらい時間がかかった。どうしてダンジョン内だとミニマップは使えないんだろうか。
「お、さっきぶりだな。と言っても13,4時間くらい前か」
あぁ、入る前に話した人。
因みに今はちゃんと左目にスカーフを巻いてある。
「そうですね、お久しぶりです。ここに来る時間が被るなんてことあるんですね」
「お、おぉ。そうだな。ところで今まで何してたんだ?」
「何と言われても、魔物狩りですよ。教えて頂いた通り第三棟から」
「そうか、そうだったな。レベル上がったから、次はボスってとこか?」
「そうですね。ただ暫く動き続けたので今はログアウトして休もうかと」
「そうか、それじゃあな。また会うかは分からんが」
「はい、さようなら」
さて、ステータスだけ最後に確認しておこうか。
□□□□□
ライブラ Lv.19
HP:1107/1180 MP:21/288
耐性
火:0 水:0 氷:0 雷:0 風:0 地:0 光:0 闇:0 物理:0
スキル
《鑑定》《インベントリ》《チュートリアル》
《狂風》《跳躍・強》《治癒・弱》《静音・強》《隠密》《首斬り》《暗殺・強》《閃撃》《見切り》《命刈り》《狂化》《恐怖の瞳》
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《静音・中》が強になったのと、気になるのは《追風・強》から進化した……これだ、《狂風》。強の後はどうなるのかと思ったけど、名前がガラッと変わる感じね。効果はどうかな……
□□□□□
《狂風》
MP:15 CT:15秒
効果:10秒間自身の移動速度と攻撃速度増加(強)。ダメージを与える度、効果が増加、効果時間が1秒延長。最大5回まで。
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《追風》の時と比べて情報量増えたね…………えっと変わった所は、MPとCTが減って、攻撃速度も上がるようになると。それと、10秒で5回ダメージを与えたらスキルをループさせられるようになる、こんな所かな。
両方の要素を強化して大丈夫なの? 効果が強ければMPとかCTは増えてくものじゃない?
確か、スキルの強化・追加・進化は全部AIが行ってるらしいけど、AIがいいって決めたんだからいいんでしょう。
体は疲れずとも頭は疲れるものなので、今日はもうこでログアウトすることにした。
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