『狭く暗い闇の中に』
子供の頃見たんだ
小さな男の子がお母さんらしい人に
コインロッカーに入れられるのを
500円の1番大きなとこに
男の子は抵抗もしないで
諦観した顔をこちらに向けて
後ろ向きに
コインロッカーに入って行ったんだ
お母さんらしき人は
扉を閉めてお金を入れて
鍵を抜いたよ
私はそばにいた自分の母に
言おうとしたんだよ 今見たことを
でも言っても信じてもらえないから
また親の気を惹こうとして嘘ついて
卑しい子だよ って言われるから
言えなかったんだよ
あの男の子はまだ
あのコインロッカーに
いるかもしれないんだよ
狭く暗い闇の中に
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