141話 式典と調査
------(テンタ視点)------☆
感謝状贈呈式の前日、ガイゼル(ガンボー)さんをカザード
国へ送り届けたレツさんとダイさん(ケンタウロス)が帰って
来た。
早速俺は2人にあることをお願いした。
彼らからもらった『一日運転手券』を見せ
「あの~帰って来て早々悪いんだけど~明日『感謝状贈呈式』
があってね、俺と
ほしいんだけど~大丈夫ですか?」
とお願いすると、2人は笑顔で
「兄い~のためなら喜んでw」×2
と言ってくれた。
「本当、ありがとう」
「ありがとうですw」
2つ返事で引き受けてくれたレツさんダイさんにお礼を言う
俺と
(よかったw)
◇
次の日、朝9時ごろに俺と
(ケンタウロス)が引く馬車で、聖クリスタル教会へと向かう。
乗っている馬車は、冒険者用なので、窓がなく外の景色が見えない
ので、そのまま
馬車が停止した。
「着きやしたぜぇ、兄い」
と正面の覗き穴からレツさんの声が聞えたので、
馬車を降りた。
「ふぅ~」
馬車を降り、眩い日差しにそう息をついた俺は、肩に
「じゃ、待機所で待っててください」
とレツさんダイさんに伝えるとそのまま聖クリスタル教会の正面入り口へと
入って行く。
正面入り口で、案内役のシスターに名前を名乗り、案内役のシスターと
共に感謝状贈呈式の会場である元老院議会室がある地下3階へと向う。
感謝状贈呈式の会場である元老院議会室へ向かう途中に
は、小さな小部屋がいくつもあり、その中の部屋の1つの
前で、案内のシスターが足を止めると、
「しばらく、こちらでお待ちください」
と告げられた。
\ガチャ/
俺が部屋の扉を開け、中に入るとそこにはすでにチーム
『デビライザー』のマヤ(デーモンレディー)さんにエディー
(ザマタン)さん、ジェシー(イマタン)さん、チャド(ガ
マタン)さんが丸いテーブルに座りお茶を飲んでいた。
そしてその隣のもう一つの丸いテーブルには、チーム『ナル』
のマカナ(マリーナ)さんと、ナイア(トリン)さんも同じく
お茶を飲んでいる。
「テンタ君、オトアちゃんこっちこっちw」
とナイア(トリン)さんが手招きするので、俺はチーム『デビ
ライザー』のマヤ(デーモンレディー)さん達が陣取る横の
チーム『ナル』のマカナ(マリーナ)さんと、ナイア(トリン)
さん達が居るテーブルに向かった。
「ここに座ってw」
ナイア(トリン)さんに促され席に着き、肩に載せていた
を俺は自分の膝の上に座らせると、マカナ(マリーナ)さんが
お茶(紅茶)を俺達前にカップを2つ置き入れてくれた。
その時、隣のテーブルに居たマヤ(デーモンレディー)さんが、
”クスクス”笑うと同時に俺の所まで来て、
「ねぇ、テンタ君……それ、学校の制服じゃないのぉ~」
と聞いて来たので、
「はい、トムさんがこれで良いって言ってくれて、前回もこれで
式に出ました」
と答えると、俺のテーブルに居たマカナ(マリーナ)さんとナ
イア(トリン)さんが驚き、
「えっ、そーなの!?」
「えっ、学生服って学ランじゃなかった?」
と言うと、マヤ(デーモンレディー)さんが、
「いえ、ブレザーの学校もあったはずよ」
と驚く2人に答えた。
そして、俺の方に向き、
「いや、前の時はこっちに来て間もなかったって事で、トム
(バルジャン)さんもそう言ったかもしれないけど……
もう、今度のことでS級の冒険者になろうと言う人が何時
までも学生服ってのもねぇ」
と言われて俺は改めてみんなの服装を見ると、男性陣は
黒のフロックコートに黒のパンツで、胸元にはネクタイ
……と言うよりスカーフに近い物を付けていて、エディー
(ザマタン)さんが黒のスカーフ、ジェシー(イマタン)
さんが黄色のスカーフで、チャド(ガマタン)さんが、赤い
スカートを巻いていて、女性陣は、それぞれチュニック
と言われるウェストあたりで絞めてあり足元が隠れるく
らいの長い丈のスカート姿のドレス姿で、マヤ(デーモ
ンレディー)さんが、黒、マカナ(マリーナ)さんが
で、ナイア(トリン)さんが淡い桜色のドレス姿だった。
その姿に俺は、
「はぁ」
と気のない返事を返すと、マヤ(デーモンレディー)さん
が、
「じゃぁ、式典が終わったら昼食後、みんなでいテンタ君
の礼服を見に行きましょう」
とみんなに声を掛けると、
「おお、そりゃいい」
「うん、そーだな」
「だな」
「うんそーね」
「私が見立ててあげるw」
とエディー(ザマタン)さん、ジェシー(イマタン)さん、
チャド(ガマタン)さんにマカナ(マリーナ)さん、
それにナイア(トリン)さんに至っては私が見立ててあげる
と言う始末。
(やれやれ……この世界の服って高いんだろうな)
◇
\コンコン/
「失礼します」
\ガチャ/
「そろそろ皆様ご準備を」
と控室の扉を開け、言うシスターの言葉に、俺達全員
部屋を出る。
部屋を出る時に俺は部屋に入って来たシスターに
を預けて、式典会場に向かうのだった。
式典会場の前に着くと入り口に居た人が扉を開けてくれて
式典会場に入ると、前回同様、椅子の背に名前が書いて
あったので各自自分の名前が書いてある椅子に座る。
(前回はポツンと俺一人だったけど……)
そして式の初めに……大司教のスリ・セイリオスさんの挨拶が
ある。
(この人の話長いんだよなぁ)
案の定。
「えーっ、大司教のスリ・セイリオスです、本日はお日柄も良く
……」
と延々と挨拶をするセイリオス大司教。
前回同様、100年前の悪魔との大戦での
悪魔を倒した2年後にこの国、つまり聖クリスタル国が建国し、
その後の国の発展についてとか、本当に延々としゃべるセイリ
オス大司教。
俺だけでなく、マヤ(デーモンレディー)さん達もかなりダレて
きた。
そしてようやく、話が終わり、一旦、大司教が自身の席に着くと
司会者が、
「では、順にお名前をお呼びしますので、呼ばれた方は順次
こちらに来ていただきます」
と俺達に案内すると、大司教が、再び自身の席を出て左右の
机の間に出ると、司会者が、
「チーム『ガンブレーブ』、バルバン様」
と俺の名前を呼んだので、俺がゆっくり前に進み、まず、正面
の柱達と国旗にお辞儀をする。
次いで、左側の席の司教達と、右側のギルドマスター達に
お辞儀する。
そして、体を左に向け、大司教と向かい合わせになる。
その間に、大司教は横に付いているシスターが持つ表彰盆
から、賞状と白い封筒を一緒に受け取り、一旦、封筒を外
し、感謝状を持つと読み上げる。
内容は前回と同じ
「あなたは冒険者として卓越した技能で……うんぬんかん
ぬん」
そして、大司教は、感謝状の向きを変え、先ほどの封筒を
添えて俺に渡す。
俺は、1歩前に進み、それを恭しく受け取りる。
\パチパチパチ/
会場全員が拍手をする。
他の人も俺と同じで、名前を呼ばれたら前に……
で俺と同じように感謝状を封筒を受け取り、自身の
席に戻るを切り返し、すべてのメンバーが感謝状を
受取った後、司会者の
「これで感謝状贈呈式を終わります」
言葉で式典がすべて終了した。
俺達は、その場から一旦控室に戻ると、
「えぇ~終わった終わった」
と早速、首に巻いたスカーフを緩めるエディー(ザマタン)
さん達。
俺は、控室で
腰を落とし、
「はぁ~」
と大きなため息をついた。
そこへ、マヤ(デーモンレディー)さんが来て、
「私達は隣の部屋で着替えてくるからw」
と俺達の声を掛けると、エディー(ザマタン)さん
が、マヤ(デーモンレディー)さん達に向かって、
「ああ、俺達も着替えるわ」
と声を掛けた。
マヤ(デーモンレディー)さん達が隣の部屋に着替えに行くと
早速、エディー(ザマタン)さん達は、着ていた礼服を脱ぎ、
小槌からいつもの服を出し、着替えだした。
そして、何もしない俺を見て、
「あれ、テンタ着替えないのか?」
と聞く。
(えっ、そうか、そーだよね今からみんなでご飯食べに行くし
着替えた方が良いよね)
と思い、俺も小槌から、武器を外した状態でいつもの服装に
着替えるのだった。
◇
俺達は教会の正面玄関から出て、教会の裏にある馬車の待機
場へと向かった。
馬車の待機場で寛いでいるレツさんダイさんに、
「お待たせしました」
「お待たせですぅ~」
と俺と俺の肩に載った
「いえいえ、今用意しますんで少しお待ちを」
と言ってダイさんと俺達の馬車の所に向かい馬車を引くための
器具を自身でつけだした。
それを確認して俺は、後から歩いてくるマヤ(デーモンレディー)
さん達に、
「今、用意しているから少し待てくださいね」
と伝えると、
「おう」×3
とるエディー(ザマタン)さん達が返事をし、
「うん、急がさなくていいよw」
とマヤ(デーモンレディー)さん。
その傍らで、マカナ(マリーナ)さんと、ナイア(トリン)さん
が、
「久しぶりでねぇ~」
「何を食べようか」
と2人して今から行く店のことを話していたみたい。
俺は、その間肩に載せた
レディー)さんに預け、手裏剣や銃に刀などの武器
を自身の小槌から出し、装着するのだった。
◇
-----(第三者視点)------☆
時間は少し戻り、テンタ達が感謝状贈呈式に出ているころ。
大陸の西にあるグロルの森の中にある悪魔の反応が一瞬あ
ったと言われる小さな洋館の上空には、冒険者ギルド西支部の
支部長アロムが所属するチーム『バンダム』のチームハウス
であるホワイトキャッスルが待機していた。
その下の洋館の入り口前には4人の男が立っていた。
一人は、ルーク・スカイラーク冒険者名【アロム・ビダン】。
一人は、フレヂー・ヴァルカス冒険者名【スレンダー・ハイ】。
一人は、キャスバル・ジェラグ冒険者名【サー・アズナベール】。
一人は、ゲルト・シュバイガー冒険者名【ダンバ・ダル】。
『バンダム』のチームの主要メンバーである。
「じゃ、俺はこっちにある倉庫を見てみる」
とゲルト(ダンバ)が言うと、
「ああ、
とキャスバル(サー)が答え、その言葉にゲルト(ダンバ)は
洋館の近くにあった倉庫のような建物を調べに行った。
「では、俺達はここを見てみるか」
とフレヂー(スレンダー)が他のルーク(アロム)やキャスバル
(サー)に声を掛けると、2人は頷き3人は洋館の中へ入って行く。
ダイニングルームのような部屋に3人は足を踏み入れ。
「奥がキッチンのようだな」
と部屋の奥にあるキッチンを覗き言うキャスバル(サー)。
その時、部屋である物を見つけるフレヂー(スレンダー)が、
「これは……」
と壁に立てかけた剣を見て言う。
「どうした
そこへルーク(アロム)が声を掛けると、
「この剣見覚えないか?」
と剣を指し言うフレヂー(スレンダー)にルーク(アロム)が、
その剣を見て言う。
「一見、普通の剣に見えるがな」
と返すと、フレヂー(スレンダー)は、
「ここをよく見てみろ」
と剣の柄を指さし言うのでルーク(アロム)はその剣を手に取り
柄をよく見てみると、
「ああ、ひし形のマークがあるな……んっ、これは……」
その言葉にフレヂー(スレンダー)は頷き、
「そーさ、これはチーム『コルディア』のトーベンの剣だ」
とルーク(アロム)の顔を見て言うフレヂー(スレンダー)に
「確か、これはトーベンの親父さんの形見だったか……」
とフレヂー(スレンダー)の顔を見て言うルーク(アロム)に
「ああ、俺達が3年前、元の身分を捨てて冒険者になりたての頃
一度、一緒に組んだことがあるだろう?」
「ああ、あの時か、俺達が一撃でベヒモスを倒したのを目の前で
見て口あんぐりだったあいつか」
フレヂー(スレンダー)の言葉にそう返すルーク(アロム)。
2人がそんな話をしている所へ、台所を見に行っていたキャスバル
(サー)が、2人の所に来て、
「確か、2~3週間前から行方不明……だったのではなかったか?」
と話に入って来た。
その話に、フレヂー(スレンダー)が言う。
「護衛のクエスト中に、護衛対象者共々いなくなったんだったな」
その言葉に、キャスバル(サー)が頷くと、ルーク(アロム)が
「じゃ、この家の主に護衛対象者もろとも……ってことか」
と呟くと、
「チーム『コルディア』だけじゃないようだぜ」
といつの間にか外の倉庫を調べていたゲルト(ダンバ)が3人の
話に加わって来た。
「だけじゃないとは?……」
ゲルト(ダンバ)の言葉にそう返すキャスバル(サー)に、
”ああ”って感じでゲルト(ダンバ)が、
「表の倉庫には、チーム『スイフト』や、チーム『ピアッツア』
ざっと見ただけで、3つ4つの冒険者チームの奴らの武器や
防具なんかが転がっていたぜ」
と言うと、ルーク(アロム)やフレヂー(スレンダー)にキャス
バル(サー)は難しい顔をして、3人のうちルーク(アロム)が、
口を開く。
「じゃ、ここの主は盗賊団の親玉なのか?」
その言葉にキャスバル(サー)が、
「いや、いずれのチームもせいぜいCクラスのチーム、護衛で
きる商隊の規模もせいぜい馬車2~3台だろうからな」
と言いかけると、ルーク(アロム)が口を挟む。
「確かにな、盗賊団にしたら襲う商隊の規模が小さすぎるな」
とルーク(アロム)の言葉に続けるように、キャスバル(サー)
が、
「それに、事前に調査した
とう謎の地下施設が気になるところだな」
と言うと、今度はゲルト(ダンバ)が、
「じゃ、その地下施設を拝みに行くか」
と発言すると、他の3人もそれに頷き、奥の部屋にある転移魔法
円と向かうのだった。
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