139話 「本題に戻ろう」



------(第三者視点)------☆




 エードラムの話は続く。



「えーダリウスはそもそも異界から『神』によって召喚された


人間だったの、元の世界に居た時の名前もこの世界に来てから


の名前も今ではわからなくなっているの、ただ、『魔王』


を南の大陸に封印したあとダリウスはこの大陸に戻り、荒れた


この地を復興するために人々を1つにまとめようとこの大陸に


巨大な一大帝国を築き、ダリウスはその王となったの、その時


に名乗った名前が古代語で『ダレイオス』【膳を保持する者】


っていう意味だったんだけど、その名前が時がたつにつれ、


いつしか『ダリウス』と呼ばれるようになったの、そして


『ダリウス』は、王となったと同時にその力(神の権化)を


持っていることからいつしか『神』と崇められるようになった


のよ」


ここまでの話を聞いて、『クリスタルマンルビー』ことカラン


(表向き海運業)が、エードラムに質問する。


「悪魔が『神』……ですか?」


その言葉に、エードラムが、


「悪魔になったのはその後よ」


と返し話を続ける。


「そして、ダリウスの死後、帝国は4つの国に分裂したんだけど、


それが、古代文明の、チムー神官王国、イーリオス国、チョーラ


帝国、ルガル帝国で、その各王こそが、ダリウス配下のアーク


デーモン達なのよ」


ここまでの話で、再び疑問に思ったことを口にする『クリスタル


マンエメラルド』ことガレン(表向き風来坊)。


「うん?神が悪魔で、王が悪魔???」


それを聞いたエードラムが”いやいや”と言う顔で、


「悪魔になるのはその後って言ったでしょw」


と言い、再び話を続けた。


「その後、4つの文明に悲劇が訪れるの、恐らく傲慢になった


人間達へ『神』からの罰だったのかもしれないんだけど。


 まず北にあったルガル帝国で、天候不良による飢饉が起こり、


人々は反乱を起し、国が滅亡。


つづいて大陸の東にあったチョーラ帝国は、海底の大地震で国


が海底に沈み滅び、南にあったイーリオス国は、海底火山の爆


発により起こった津波で国が壊滅、残った西のチムー神官王国


も疫病により、国民がすべて死んでしまい滅亡したわけよ。


そして、人々はかつて神と崇めた『ダリウス』は人々から忘れ


られて行った。


神として祭られた居た『ダリウス』は死後、神殿に魂だけは大事


に保存されていたのだけれど、天変地異で国が滅んびわずかに生


き残った人間達が自分達を救わなかった『神ダリウス』に対して


『ダリウス』の魂が入った箱を破壊したことで、『ダリウスの魂』


は怒り、その人間達を滅ぼし、その時得た人間の魂と骸を使い悪魔


を召喚、自身がその召喚した悪魔同化することにより、悪魔と


なると同時に、滅んだ国々の王達も悪魔としてよみがえらせ、


全人類への報復を誓ったっんだけど、その時、全知全能の『神』、


つまり本物の神が、その悪魔とかした『ダリウス』達に


対抗するため、新たに救世主メシアとして、異界から人間を


召喚し、その人間に『悪魔ダリウス』を倒す力として新たに


『ブランチ』の能力を与えたのがこの世界の転生者が持つ


特殊能力である『ブランチ』のはじめって訳」


エードラムが話を終えた時、一同から、


「ほぉ~」×8


と言う声が上がるのだった。


そして、大司教がエードラムに向け、


「なるほど……では、さしずめ柱達は、その神の使いである


救世主メシアと言う訳ですな」


と言うと、エードラムが首を振り、


「いいえ、この子たちは救世主メシアではないわよ」


と否定する言葉にまたまた一同が、


「え―――っ!」×8


と驚くのだった。













「えっ、えっ、しかし、柱達は100年前にダリウス達悪魔を


倒したじゃありませんか」


と大司教がエードラムに聞くと、冒険者ギルド協会の本部長グランドマスター


山武尊さんぶそんもそれに同意するように、


「そーですよ、エードラム様、柱達は表向きS級の冒険者と


なっていますが、実際はそれをはるかに超えるSS《ダブルエス》級の力を


お持ちですぞ」


とエードラムに言い返すが、エードラムはその2人の言葉に、


”ふぅ~”とため息をついて、


「そうね、確かに……でも救世主メシアは、冒険者のレベルで言うと、


SS《ダブルエス》では足りないわねぇ~さしずめSSS《トリプルエス》以上のレベルが無いとねぇ……」


と言うと、それを聞いた冒険者ギルド協会の本部長グランドマスター山武尊さんぶそんも大司教も


驚き、


「と・ト・トリプルエスですと!?」×2


と思わず叫んだ。


驚く2人にそれは当然でしょって顔で、


「転生者のブランチと同じブランチ能力といっても、救世主メシアのそれは、


一部とはいえ、神の権化が与えられた力ですもの」


とさらっと言い放つ。


そこに、悪特隊あとくたい本部のキャップであるキーファー・ドルフが、


「では、なぜ100年前柱達がダリウス達を倒せたのです?」


と疑問を口にする。


「それはねぇ、まぁ、悪魔のさがっていうのかねぇ~その当時


この大陸の真ん中にシャイザック帝国って国があったでしょ」


と言うと、その言葉に、大司教と、悪特隊あとくたい本部のキャップである


キーファー・ドルフが、


「あ・はい」


「あ・でも帝国と言う割には100万人程度の小国だと記憶


していますが……」


その2人の言葉にエードラムが頷き、


「そう、そこの第13代帝王のゴルテウスって王がね、自身


を『神』と崇めるゴルテウス教を国民に信仰するように強制


して、反対する国民の多くを弾圧しただけじゃなくて、ゴル


テウス教信仰する者も反対する人々もすべての国民の魂と骸


を生贄に『悪魔召喚』の儀式を行いダリウス達を召喚したん


だけどね」


そこまでの話を聞いていた『クリスタルマンエメラルド』


ことガレン(表向き風来坊)が、口を挟む。


「いったい何が目的で」


その言葉に、頷き話を続けるエードラム。


「目的は、そのゴルテウス教をこの世界に広めること


……のためには世界征服しなければならなかったって訳」


その言葉に大司教が、


「世界征服……と言ってもそんな小国が……」


とエードラムの話の途中で呟くが、その呟きに、エード


ラムは大司教を指さし、


「そう、だから悪魔の力を利用しようとしたわけじゃない」


と言うと、指を指された大司教は、


「なるほど……」


と納得する。


「悪魔は契約を遵守する、なので、はじめはダリウス達も


ゴルテウス王の願いを叶えるように動こうとしてたのよ、


まぁ、最終的にはそのゴルテウス王の魂と体をダリウスが


乗っ取ったんだけどね、その直後にあなた達(柱)がダ


リウス達を急襲して倒してしまたって訳」


「つまり、我等は初動で対処出来たためダリウス達を


倒せたっと言う訳ですか」


と『クリスタルマンエメラルド』ことガレン(表向き風


来坊)がエードラムに聞くと、


「そうね、それもあるけど、一番の原因は、本来復活する


時に復活していないのが原因かな」


それを聞いて、今度は『クリスタルマン』ことニム博士


が、エードラムに聞く。


「っと言いますと」


その言葉にエードラムは、『クリスタルマン』ことニム


博士の方を向いて、


「そうねぇ、本来ダリウス達は千年に一度復活している


のよ、なぜ千年に一度なのかは私にもわからないけど、


例えば、悪魔界で復活に必要なエネルギーを溜めるのに


かかるとか……兎に角千年に一度の復活なのよ、その代


わりそれに合わせて救世主メシアも神から召喚される


だけどね、前回から数えてその千年と言うのが本来は、


今なのよ、だから100年前に現れたのはイレギュラー


と言うか、ダリウス達も本当の力が発揮できなかったの


かもね……ただねぇ、」


と話を止めるエードラムに、『クリスタルマン』ことニム


博士が、


「ただ、何です?」


と話の続きを促すと、


「あ・うん、ただ、その千年周期でダリウス達が復活する


と考えると、1つ腑に落ちないことがあるのよ」


「と言いますと」


エードラムの話に『クリスタルマン』ことニム博士が、


相槌を打つと、


救世主メシアが現れていないでしょ」


と言うと、びっくりした顔で、大司教がエードラムに


聞く、


「えっ、テンタ殿がそのメシアではないのですか!」


その言葉に、『クリスタルマン』ことニム博士以下の


5人の柱も、悪特隊あとくたい本部のキャップである


キーファー・ドルフも、冒険者ギルド協会の本部長グランドマスター


山武尊さんぶそんも黙って首を横に振る。


「私もはじめそうかな~って思ったんでけどね、オトア


ちゃんと同時にこの世界にやって来たからね、転生で


無くても異世界に召喚されたなら本来ブランチの能力が


無いのはおかしいし、もしそれが無くても膨大な魔力とか


強靭な体力とか……あるはずなんだけどねぇ~、それら


が彼には全くない、彼がどうにか戦えてるのはあの


スーツとオトアちゃんの魔力に私の力で何とかって


感じだから、とてもとても救世主メシアと言う存在で


はないわね」


と言い切るエードラムに大司教が、またもや驚き、


「では、彼は……」


の言葉にエードラムが一言、


「単にオトアちゃんの召喚に巻き込まれたって


だけだと思う」


その言葉を聞いて、大司教は”ガク”っと肩を落とす


のだった。













「さて、話を元に戻して、本題に戻ろう」


とエードラムの話を聞いて皆が少し落ち着いてから、


『クリスタルマン』ことニム博士がメンバーに告げると、


その言葉を受けて、大司教が言う。


「では、当面の活動として、グロルの森の洋館の調査を


冒険者西支部の支部長アロム氏達に、そして、転移トン


ネルの方は、エメラルドはしとCIC(クリスタル


情報局)で行うとして、その後、どうするかですね」


とメンバー全員への問いかけに、『クリスタルマンルビー』


ことカラン(表向き海運業)が、


「洋館の方はアロム達に任せても良いとは思いますが、


転移トンネルの方は、エメラルドにいさんとCIC


(クリスタル情報局)の局員だけではあの広大な森の中、


ものすごく時間が掛かるのでは?確か……CICってメ


ンバー2人でしたっけ?3人?」


と『クリスタルマンエメラルド』ことガレン(表向き風


来坊)に尋ねると、


「ああ、3人だ」


と『クリスタルマンエメラルド』ことガレン(表向き風


来坊)答えると、『クリスタルマンルビー』ことカラン


(表向き海運業)が、


「なら、兄弟全員(柱全員)で捜索しましょうよ、その方


が効率がいい」


と言うと、横から『クリスタルマンサファイア』ことルフ


ーン(ニム博士専属シェフ)が、


「確かに捜索に時間が掛かればそれだけ奴らに準備を


隙を与えることにはなるが……我等全員で出向いて、


万が一、奴等に裏をかかれ、この聖クリスタル国を


襲われたらどうする」


と『クリスタルマンルビー』ことカラン(表向き海


運業)に受け言うと、黙っていたエードラムが突然、


「そうね、なら……一番手っ取り早い方法としては


……」


と発言した。


メンバー全員が”えっ”って顔でエードラムを見る。


「手っ取り早い方法は、オトアちゃんを使うことよ」


その言葉に全員が”うん、そーなんだけど”って顔で


エードラムを見て、その中の冒険者ギルド協会の本部長グランドマスター


山武尊さんぶそんが、


「いえ、確かにそうですが、それではあまりにも危険


と言いますか、万が一ダリウスに彼女の魂を奪われたら、


救世主メシアのいない現状で、それはあまりにも


危険ではないですか?」


と言うと、”何を今更”って顔のエードラムは、


「何を今更言ってんのかしら、これまでもオトアちゃんを


囮にしてきたじゃないの」


と冒険者ギルド協会の本部長グランドマスター山武尊さんぶそんに向かって


言うと、山武尊さんぶそんは”恐縮です”って顔で、


「ああ、まぁ、そーですが」


と返した。


そしてエードラムは、


「精霊の私が居るんですもの、それに私は私の加護を授けた


この子達(クリスタルマン達)をいつでも召喚できるのよ」


と少々自慢げに言うのだった。


そのエードラムの言葉を受け、『クリスタルマン』こと


ニム博士がメンバーに告げる。


「捜索の方は、先に決めた通りで行う。で、オトア並びに


テンタを西に派遣する理由をどうするかだが……」


と言いかけると、『クリスタルマンエメラルド』ことガレン


(表向き風来坊)が横から、


「まぁ、本来は正直に話してやるのが誠意だとは思うが、


元々自分達が囮になることを承諾してるんだから、ここは


前回、東支部に派遣した時のように”アメ”を用意してやる


べきだろうな」


と発言すると、エードラム以外のメンバーは”うーん”と唸り


考え込むが、ここでエードラムが、


「あっ、そーだあの2人、お互いの誕生日に落ち着いたら


ゆっくり2人っきりでデートしたいって言ってっけかなぁ~」


とわざとらしく独り言のように発言すると、それを聞いた


『クリスタルマンエメラルド』ことガレン(表向き風来坊)


は、その言葉を聞き、


「そーか、そんなことを……」


と少し考えてから、


「よし、なら、それを叶えてやろうじゃないか」


と何かを思いついたように言ううのだった。













「いぇっく、シュン」


「大丈夫?テンタ君」


「風邪でもひーたべか?」


突然のくしゃみにそう言うミリー(トム妻)とアナ(ガイゼル妻)


に、テンタは


「いえ、大丈夫ですよ、ちょっと鼻がムズムズしただけです」


と答え、3日後、トム(バルジャン)がブランチのレベル上げ


のため、トム達が『ジャスタン』に向かうため、その間、店を


任されることになったテンタと三毛猫オトアは、今ミリー


(トム妻)とアナ(ガイゼル妻)に店の厨房の機器の使い方


を習っていたまさにその時、テンタがくしゃみをしたのであった。


 その裏で、自分達が今後この大陸の西にある国々へ派遣される


ともしらず、この時はトム達の留守中、この『喫茶ゴン』を


任されることにすごく緊張し、目の前のことでいっぱいの


2人であった。


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