138話 秘密の御前会議
------(第三者視点)------☆
テンタが、バタバタしているころ。
聖クリスタル国にある聖クリスタル教会本部。
この建物の『地下4階』にある御前会議室。
本来ここでは、聖クリスタル教の神(柱)5人に元老院議会室
で決まったことの報告や、また元老院で結論が出ないことについて
、聖クリスタル教の神(柱)5人の裁定を受ける場所なのだが、
今回は、限られたメンバーによる極秘の会議が行われていた。
部屋の正面席には、クリスタル教の5柱、『クリスタルマン』
ことニム博士、『クリスタルマンエメラルド』ことガレン(
表向き風来坊)、『クリスタルマントパーズ』ことグロル
(天堂(ティエンタン)オーナー)、『クリスタルマン
サファイア』ことルフーン(ニム博士専属シェフ)、
『クリスタルマンルビー』ことカラン(表向き海運業)
が座っている。
そしてコの字型の席の正面左手には、クリスタル教の大司
教と
ー・ドルフが座っており、反対の右側には、エレメンタリ
ーマンこと冒険者ギルド協会の
が座っていた。
そこに……光と共に現れたのは、光の精霊エードラムで
あった。
もっともこのエードラムは
エードラムの分体である。
部屋に姿を現したエードラムは、そのまま……歩くっと
言うより”スー”と滑るように移動し、エレメンタリー
マンこと冒険者ギルド協会の
の隣の席へと座る。
「うっ、ふん」
払いし、自身の椅子に座り直すのだった。
ここで、クリスタル教の大司教が声をあげる。
「えー、皆様お揃いのようなので、はじめさせていただきます」
その言葉に一同が頷くと、それを確認した大司教が、続けて
「えー現在、ルビー柱のご活躍で、悪魔伯爵シャッキー一党を
倒せたとは言え、悪魔公爵ヤブー一党並びに悪魔皇帝ダリウス
の行方が以前つかめておりませんが……」
と言いかけた時、その横に座る
キーファー・ドルフが手を挙げると、『クリスタルマン』こと
ニム博士が、
「ドルフ発言を許可します」
とキーファー・ドルフに向け言うと、キーファー・ドルフは、
『クリスタルマン』ことニム博士に一旦頭を下げ席を立ち、
「その件で、先日我が
同支部キャップの報告がありまして、数週間前に悪魔レーダ
ーの反応が一瞬ありまして、すぐに現場に向かったようです
が、既に悪魔達は消えていなかったそうです」
と報告すると、すかさず、『クリスタルマンエメラルド』こ
とガレン(表向き風来坊)が、その場で
ドルフキャップに尋ねた。
「場所は?」
その言葉にドルフキャップは持っていたレポート用紙をめくり、
「えー、あーあっ、コラクル国とルベン国の国境沿いから『グ
ロルの森』に数十キロ入った所だと……」
ドルフキャップの答えに更に『クリスタルマンエメラルド』こ
とガレン(表向き風来坊)が、
「で、現場の様子は?」
とさらに尋ねると、ドルフキャップは持っていたレポート用紙
に書かれた文字を指でなぞりながら、
「えー、現場……現場は、森の中にある小さな洋館の家だった
そうで、そこには恐らく3~4人ほど人が住んでいた形跡が
あったそうで……ただ」
「ただ?」
今度はドルフキャップの答えに『クリスタルマン』こと
ニム博士が聞くと、
「はい、ただ、その洋館の地下に何やら巨大な倉庫と言うか
施設があったそうです」
その言葉に、『クリスタルマンエメラルド』ことガレン
(表向き風来坊)が、
「地下に……か、うーん気になるな」
と一言言って少し考えた後、
「よし、俺がCIC(クリスタル中央情報局)を連れて現地
に調査に行くか」
と言うと、
「ちょっと待ってください、エメラルド柱」
と言いながら、と冒険者ギルド協会の
が手を挙げた。
それを見たと、『クリスタルマン』ことニム博士が、
「
が
ことニム博士に一旦頭を下げ席を立ち、
「その再調査には、冒険者ギルド西支部のアロム達が適任化と」
と発言すると、『クリスタルマン』ことニム博士が、
に向け、
「ほう、なぜその調査にアロム達が適任だと思うのかね」
と尋ねると、
「はい、地下の巨大倉庫が気になります、7年前の西方大戦
のこともありますので……もし、それに絡むものであるとすると、
当事者だったアロム達の方が何かわかるかと思いますので」
その発言には、『クリスタルマン』ことニム博士をはじめ、
CIC(クリスタル中央情報局)と再調査に向かうと発言した
『クリスタルマンエメラルド』ことガレン(表向き風来坊)もが、
うーんと考え込む。
そんな中、『クリスタルマン』ことニム博士が、
「わかりました、調査は冒険者ギルド西支部に任せましょう」
と言うと、『クリスタルマンエメラルド』ことガレン(表向き
風来坊)は、半ば仕方ないっと言う感じで、
「兄さん(クリスタルマン)がそう言うなら、西支部に任せ
ましょう」
と発言したことにより、調査の兼はそれに決まった。
※
ガレン・ジェラグ元公爵が自身が開発した『魔導騎兵』を使っ
て起こしたルベル国での反乱を発端に、他の西方3ヶ国を巻
き込んでの戦争のことである。
その時、若干15歳だったルベル国王子キャスバル・ジェラグ
(サー・アズナベール)を助けるため、これまたバーン王国
スカイラーク公爵家嫡男で若干11歳だったルーク・スカイ
ラーク(アロム・ビダン)達が自身のブランチ能力を駆使して
ガレン・ジェラグ公爵の『魔導騎兵』達を退け、大戦を終結
させたのだった。
◇
大司教が次の議題に移ろうとした時だった、今まで黙って座
っていた光の精霊エードラムが、ポツリと呟いた。
「いずれにしろ悪魔達の所在がつかめないのは、ひょっとして
別の場所に居るのかもしれない……」
その言葉を聞きつけた『クリスタルマン』ことニム博士が、
エードラムに聞く、
「それは、どういうことでしょうか?エードラム様」
その言葉に、エードラムは、”あら聞えたの?”って顔で、
『クリスタルマン』ことニム博士の方に向き直り言う。
「いやね、私には悪魔感知能力があるでしょ」
そのエードラムの言葉に『クリスタルマン』ことニム博士
も同意するように頷く。
「まぁ、私の悪魔感知能力を模倣した劣化版の悪魔レーダーが
悪魔達を見つけられないってのは、わかるけど……私の感知を
悪魔達がかいくぐれるってのはねぇ……ちょっとおかしいと
思うのよ」
その言葉に、『クリスタルマン』ことニム博士も
「確かに」
と同意する。
それを見てエードラムはさらに続ける。
「まぁ、多次元に潜んでるって事も考えられるんだけどね、
私のこの能力にも1つ欠点があってね」
「欠点と言いますと」
エードラムの言葉に乗り出して言う『クリスタルマン』こと
ニム博士。
その博士の顔を”チラ”っと見て、エードラムは話を続ける。
「私の悪魔感知能力の欠点はこの世界以外の世界……異界や
異空間に居る悪魔を検知できないんだけど、今悪魔達は受肉
をしてこの世界に干渉できる体を得てるから、あまり考え
られないんだけど……、あともう一つ感知できない場所が
あるのよ」
と言いかけると、
「それはどこです!」
と今度は『クリスタルマンエメラルド』ことガレン(表向
き風来坊)が身を乗り出し、エードラムに聞く。
「それはねぇ、この世界にある失われた大陸」
「失われた大陸!?」×8
エードラムの言葉に一同が声をそろえて驚く。
そして、改めて『クリスタルマン』ことニム博士が、
エードラムに尋ねた。
「失われた大陸……と申しますと」
すると、エードラムが語りだした。
「それは、今から数千年前のことよ……」
エードラムが語る話によると、今から数千年前、まだ、
エードラムを含む8大精霊(光、闇、火、風、水、冷気
、土、雷)達が自我に目覚める前、人間達は今より多く
数百の国々を作り栄えていた。
そして、その頃、この大陸から南に何千キロと進んだこの
星の南半球にあるもう一つの大陸があった。
その大陸には、はじめ生物が存在しなかったが、その
大陸に所々『魔力溜』が生じて、魔物や魔獣、やがて、
巨獣や、ドラゴンなどが生まれた。
しばらくしてそれらがお互い己の勢力を広げようと
戦が始まった。
やがて、魔物達の中に優劣が出来ると、その魔物達
の頂点に君臨する種族が生まれ、その中に人間のよう
に知恵を付けたものが現れると、それらの者達は自身
の種族を『魔族』と名乗り、その中の1人が魔族の王
となり、『魔王』と名乗った。
ここまでの話を聞いた『クリスタルマンエメラルド』
ことガレン(表向き風来坊)は、エードラムの話の途中
で、
「えっ、それって三日月魔王国の魔王の先祖かなんかで
すか?」
と思わず口を挟み、『クリスタルマン』ことニム博士
に睨まれたが、話の腰を折られたエードラムはそんな
事は気にせず、
「いいえ、あの三日月魔王国の『魔王』は『魔人』
の王の魔王で、こっちのは『魔族の王』で『魔王』
なのよ、だからどんな形をしていたかは知らないけど、
『魔族』は魔人達のように人の形をしていなかった
と聞いているわ」
と『クリスタルマンエメラルド』ことガレン(表向
き風来坊)の質問に答えた。
そんなエードラムに『クリスタルマン』ことニム博士
は、
「話の続きをお聞かせください」
と話の続きをエードラムに催促した。
それを受けて、エードラムは話始める。
「えーと、何処まで言ったっけ……あっ、そうそう魔族・
魔族の話の続きね」
そして再び話始めた。
そしてその『魔王』は自身の配下の魔族達と、その魔族
が使役する魔物や魔獣達を従え、北にあるこの大陸へ
とやって来て、今度はここに住む人間達を自分達に従
えさせようを攻め入った。
そして、この大陸にあった数百の国々を滅ぼし、沢山の
人々を殺して行ったらしい。
その時、この世界の全知全能の『神』が、ある人間を
異界から召喚した。
そしてその召喚した人間に『神の権化』を与えた。
そして、『神の権化』を与えられた人間は次々と『魔王』
配下の魔族達を退けて行き、魔族達を元の南の大陸へと
押し戻した。
しかし、他の魔族達と違い、『魔王』は、
その『神の権化』を宿した人間の力と互角……以上の
力を持っておりその人間はやもうえず、その『魔王』
と魔王の周りに残った魔族達を南の大陸に結界を張
り封印した。
ただ、この時、『神の権化』を宿した人間自身も
その大陸に居たため、そこを脱出するためその人間
は、南の大陸に『神の権化』を使い『転移トンネル』
を作ったと言うことらしい。
そして、その『転移トンネル』の出口と言うのが、
あの『グロルの森』のどこかにあると言う訳だった。
「私としてはもし、ダリウス達が『グロルの森』に
ある『転移トンネル』を使って南の大陸に居るとし
たら、私の悪魔感知に引っかからないと言うのも
納得なんだけどね」
と話の最後にそう付け加えるエードラムだった。
エードラムの話を聞いた『クリスタルマン』こと
ニム博士は、
「では、早速その『グロルの森』にある『転移ト
ンネル』の調査は、私と
と言うと、エードラムは軽く、
「そうね、そーして頂戴……あっ、因みにさっきの
話に出てきた『神の権化』を宿した人間ってのは
『ダリウス』のことだからね」
とさらっととんでもないことを言いだした。
それを聞いた一同が、
「「「「「「「「えー―――っ!」」」」」」」」」
と驚愕するのだった。
◇
「は・はぃ~い!?」
「何と!」
「えっ!」
「う・うっそ!」
「何ですって!」
「あ・あわわ・あわわ」
「んがっ!」
「……」
『クリスタルマン』ことニム博士、『クリスタルマンエメラルド』
ことガレン(表向き風来坊)、『クリスタルマントパーズ』こと
グロル(天堂(ティエンタン)オーナー)、『クリスタルマン
サファイア』ことルフーン(ニム博士専属シェフ)、
『クリスタルマンルビー』ことカラン(表向き海運業)、
そして、大司教、
キーファー・ドルフが驚きの声をあげる中、エレメンタリー
マンこと冒険者ギルド協会の
あまり声が出ないでいた。
そんな中、『クリスタルマントパーズ』ことグロル
(天堂(ティエンタン)オーナー)が、エードラムに
「そ・そんなこと、100年前にはおっしゃらなかった
ではないですか!」
と抗議似た声をあげるが、そんな『クリスタルマントパーズ』
ことグロル(天堂(ティエンタン)オーナー)に
エードラムはあっさり、
「あの時は、あっさりあなた達がダリウス達を倒したものだから
言いそびれちゃったのよw」
と答えるエードラムに『クリスタルマン』ことニム博士が、
「では、今回はダリウスについて、エードラム様が知りうる
事をお教え願いますか?」
と尋ねると、エードラムは、
「わかった、今から説明するわw」
と言うのだった。
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