135話 「こんなこともあろうかと……だよ」




------(テンタ視点)------☆




 悪魔伯爵シャッキーは、自身が持っていた杖で\ポン/と


地面を突くと、自身の体をモクモクと黒い煙が体を包み込み、


そしてその黒い煙が消えると、そこには体長30mの巨大


な3本角で一つ目の黒い巨人の姿へと変わった。


(あー、またまたヤバイ状況)


相手は、大蛸(ラ・モール大魔導士)と言うベビルデーモン1体、


それに巨人(悪魔伯爵シャッキー)と言うアークデーモン1体……。


 しかし、俺が唯一対抗できる手裏剣は、今手に持っている1枚


だけ……それに、上空に待機しているレッサーデーモン千体ほど。


 まぁ上空のレッサーデーモン千体に対しては対抗策があるので、


それは今は考えなくてもいい。


そんなことを考えていると、巨人(悪魔伯爵シャッキー)が、俺の


方に\ズシン/、\ズシン/と足音をさせながら近寄って来る……


と同時に、大蛸(ラ・モール大魔導士)は、俺が吹き飛ばした粘液を


再び体中に噴出させ、触手を俺の方に伸ばしてきた。


(ヤバイ、どうする俺)


と心で思たその時だった。


夜空に浮かぶ赤い月が、急に\\バキバキバキ//と音を立て、ヒビ


が入ったかと思うと、\\ボロボロボロ//


と崩れだし、次の瞬間!\パッ/と俺のいる景色が変わる。


墓場は消え、夜空も消え、目の前に迫る大蛸(ラ・モール大魔導士)


と巨人(悪魔伯爵シャッキー)の後ろに大きな城の建物が見える。


「えっ!」


「な・何っ!」


「うんっ!?」


同時に驚く俺と、俺に迫る巨人(悪魔伯爵シャッキー)と大蛸(ラ・


モール大魔導士)。


3人共あたりをキョロキョロ見回していた時だった。


「ルビニューム光線!」


と叫び声がしたかと思うと赤い光弾を3発


”●ピシュー”===


”●ピシュー”===


”●ピシュー”===


と飛んできて、空中に居るレッサーデーモン千体の上と下そして


後ろから、レッサーデーモン達を襲った。


\\グオー!//×700


「おのれ~クリスタルマンルビー」


苦虫をかみ砕くような表情で唸る巨人(悪魔伯爵シャッキー)。


俺は、それを見て、一瞬”ホ”っとするが、


「儂がクリスタルマンルビーの相手をするゆえ、ラ・モールお前は


その小僧を早く始末して、猫の魂を取り出せ」


と巨人(悪魔伯爵シャッキー)が大蛸(ラ・モール大魔導士)に


命令する。


「ははっ」


大蛸(ラ・モール大魔導士)は巨人(悪魔伯爵シャッキー)は自身


の8本の触手を俺に伸ばしてくる。


またまた、その時だった。


『よし、精霊力が復活したわ』


と俺のヘルメット内左モニターのエードラム様が、声を


あげる。


その言葉を聞いた俺はすぐさま、


そのまま今度は、目の前に居る大蛸(ラ・モール大魔導士)に向け、


「ソニックバスター!」


((((((キュィーン))))))


と金属音がすると共に


\\\ズバーン///


と衝撃波を放ち、奴の体を覆っている粘液を吹き飛ばすと同時に両刃


の剣をイメージしながら左腕のガントレットにある魔法のナイフを抜く。


そして、剣の刃に左手を撫でるように這わしながら、


「ソーラーブレード!」


と言うと、両刃の剣の刃がビームソードのように光りだした。


と、


同時にのエードラム様が俺の体を赤い光で包むと同時に俺は光の速さで


奴の目の前に立ち、奴の目と目の間の眉間部分に光の剣を突き刺した。


\ズブッ/


\\グギャー//


大きな悲鳴と共に大蛸(ラ・モール大魔導士)はその動きを止めた。














\ビシッ/、\バシッ/、\ボコッ/


大きな杖を振り回す巨人(悪魔伯爵シャッキー)に対し、クリスタ


ルマンルビー(カラン)さんは、その杖の攻撃をうまくかわしながら、


自身のパンチ、チョップ、キックを的確に巨人(悪魔伯爵シャッキー)


に当てるクリスタルマンルビー(カラン)さん。


そんなクリスタルマンルビー(カラン)さんの背中に向け上空に居た


300体のレッサーデーモン達が、槍を突き出し、突進してきた。


「あ・あぶない」


俺は咄嗟に


「ソニックバスター!」


((((((キュィーン))))))


と金属音がすると共に


\\\ズバーン///


と衝撃波を放つ。


当然だが、クリスタルマンルビー(カラン)さんの背中に突撃する


300体のレッサーデーモンの正面でなく、オトアがあらかじめ


リフレクターソーサーを奴ら下に設置していたのでそれを狙った。


\\グオー!//×300


俺の放った衝撃波は、見事リフレクターソーサーに反射され、


レッサーデーモン達を下から襲った。


「な・なに!」


一瞬、巨人(悪魔伯爵シャッキー)は、倒されたレッサーデー


モン達の方を見たため、目の前のクリスタルマンルビー(カラン)


さんから目を離した。


それをクリスタルマンルビー(カラン)さんは、見逃さなかった。


「ルビーノバ!」


と言って体全体から赤い光を放った。


当然、光を放つと同時にブランチスキル『理』(コトワリ)を


発動させて……。


すると、巨人(悪魔伯爵シャッキー)が放つ悪魔闘気を吹き飛ば


し……


「なぁっ!」


驚く巨人(悪魔伯爵シャッキー)に対し、すかさず、クリスタ


ルマンルビー(カラン)さんは必殺光線を放った。


「ルビニューム光線!」


”●ピシュー”===


\\\ズバーン///


「うぐっ!」


クリスタルマンルビー(カラン)さんが放った光弾は、巨人(悪魔


伯爵シャッキー)の胸を貫いていた。


\ガクッ/


\\\ドスン///


巨人(悪魔伯爵シャッキー)は、両ひざをつき、そのまま地面に


倒れこむのだった。













 戦いが終わった後、まず、コールタールのようなもので刃を固められ、


地面に突き刺さるカムイさんを回収と共に、そのカムイさんの刃に


エードラム様の精霊力を流し込み固まったコールタールを剥がし、腰の


鞘にカムイさんを仕舞う、そして、俺とクリスタルマンルビ


ー(カラン)さんが協力して、チーム『デビライザー』の4人を城の堀外


から、俺達が居た城の中心の建物の前にある広場まで運んできた。


その横で、俺が倒した大蛸(ラ・モール大魔導士)の死骸を”ムシ


ャムシャ”食べてる禍龍かりゅう


(お前ねぇ……)


 カラン(クリスタルマンルビー)さんが、変身(ブランチ)を解いたので、


俺も、


「フェードアウト」


「リーバース」


し、元の姿に戻る。


傍らには、三毛猫オトアが居る。


 そして、しばらくすると、チーム『デビライザー』の4人であるマヤ


(デーモンレディー)さんやエディー(ザマタン)さん、ジェシー


(イマタン)さんにチャド(ガマタン)さんが気が付いた。


「うぅ~……」×4


そんな4人にカラン(クリスタルマンルビー)さんが、声を掛ける。


「みんな大丈夫か」


「え、はい」×4


そして、リーダーのエディー(ザマタン)さんが、


「柱、悪魔達は?」


と尋ねてきた。


「ああ、皆のおかげですべて倒したようだ」


その言葉を聞いたエディー(ザマタン)さんが”ほっ”と胸を撫でおろし、


「そうですか、倒せたんですね」


と答えた。













 時刻は、既に夕方6時を回っていた。


このまま、帰路についても真っ暗な夜の海底を進むことになるって事で、


今日はこのままここで野営して、明日の朝戻ることになった。


 それぞれ小槌から野営用のテントを出し、各自設営する。


季節は9月の末、秋って言うのもあるが、ここが、海底深くにある


場所だからか、少し肌寒い。


なので、テントの前で焚火をし、暖を取りながら各自夕食を取ることに


なった。


 各人は、自身の小槌からそれぞれ持ってきた食べ物を出すが……。


俺と三毛猫オトア同様みんなも完全に戦闘が終了し、こんな状態で


食事がとれるとは思っていなかったので、戦闘の合間でも食事がとれる


サンドイッチのような簡単なものしか持ってきていなかった。


そんな中、カラン(クリスタルマンルビー)さんだけは、大きな鍋を出して、


マグカップのようなものにその中身を注ぐ。


その中身は、暖かそうな野菜入りのコンソメタイプのスープだった。


それを俺を含む他のメンバー達も、”いいなぁ~”って顔で見ていたら、


「はいw」


とみんなにそれを配ってくれた。


「えっ!?」×6


驚く俺達に、ニッコリ笑って、


「こんなこともあろうかと……だよ」


と答えるカラン(クリスタルマンルビー)さんだった。













 食事が終わり、各自テント内で寝ることにしたのだが、見張りを


どうするか?って話になったんでけど、それに関しては珍しく、


≪儂が一晩見張りをするからみんなはテントでゆっくり寝るといい≫


禍龍かりゅうが言いだした。


俺は内心、


(んっなこと言って、どうせ途中で居眠りするんじゃないの?)


と俺は疑いの目を禍龍かりゅうに向けると、”ふん”って感じで少し


すねたような顔をする。


「まぁ、まぁ、元来龍種は睡眠をとらなくても大丈夫な種だから、


テンタ君、ここは禍龍かりゅうを信じて任せたら?」


とカラン(クリスタルマンルビー)さんが、おっしゃるので、俺は素直に


「はい」


と答えた。


(もっとも、三毛猫オトアの体の中にはエードラム様がいらっしゃ


るので、禍龍かりゅうが寝たとしても、大丈夫だろうけどね)


と言うことで、夜の見張りを禍龍かりゅうに任せ、全員各自テントで


休むことになった。


「おやすみ、オトアw」


「おやすみ、テンタ君w」


Zzz……。


が、


夜中、やはり少し心配になって、テントからそーと顔をのぞかせ、禍龍かりゅう


様子を見てみると……。


とぐろを巻いているものの、ちゃんと鎌首を持ち上げ、辺りを警戒している禍龍かりゅう


の姿がそこにあった。


(ああ、こいつもやる時はやるんだな……)


と思い、そのままそっと、テントの中に戻り再び俺は眠りに着いた。













 朝、皆で軽くシリアルで朝食を取り、テントを片付けて”さー出発”って時に、


≪これを食べたら出発するからちょっと待て≫


とあの巨人(悪魔伯爵シャッキー)の死骸を食べながら言う禍龍かりゅう


(お前ね……)


と俺は少し呆れるが、他のメンバーも呆れながらも、禍龍かりゅうの食事が


終わるのを素直に待つのだった。


そして、この海底の王都を後にして、俺達は帰路に就いた。


 貝殻の家には、お昼前に着くと、出迎えてくれたチーム『ナル』のマカナ(マ


リーナ)さんにナイア(トリン)さんに、うちのチームのシェリーさんやタミー


さん達に、悪魔殲滅の報告をすると、皆から\パチパチパチ/と拍手が沸く。


そして、みんなそろってお昼を食べた後、カラン(クリスタルマンルビー)さん


は、


「本部に報告してくる」


と言って、貝の家の外にある転移魔法円で、本国の聖クリスタル国へと帰って


いった。


それから3日後、カラン(クリスタルマンルビー)さんと共に本国、聖クリスタ


ル国から、ニム博士(クリスタルマン)と、ルフーン(クリスタルマンサファイ


ア)さん、それに聖クリスタル国にあるドルフキャップ率いる悪特隊本部の


面々と共にカラン(クリスタルマンルビー)さんが、古代王都イーリオス調査


のため戻って来たので、それと入れ替わりに、俺と三毛猫オトアかりゅう


にシェリーさん、タミーさんそれに馬車(ケンタウロス車)をひくレツさん、


ダイさんのチーム『ガンブレイブ』メンバーは、一旦、トム(バルジャン)


さんが居る、本国のチームハウスに戻ることにした。


俺達が本国に戻るため、転移魔法円に入った時、ニム博士(クリスタルマン)


から、


「テンタ君、本国に帰ったら1週間後にギルド本部に行ってみてくれ」


と言われた。


「あ・はい……」


と俺が何の事だろうと思いながら、そう生返事を返すと、それを見た


カラン(クリスタルマンルビー)さんが、にこやかに


「多分それくらいで古代王都イーリオス調査が終わっていると思うので、


それまでの分と合わせて、報酬が受け取れると思うよw」


と言われた。


(そーいや、南支部が崩壊したからここでの報酬を受取ってなかったっけ?)


と俺は思い、今度ははっきりとした


「はい、わかりました」


と返事を返し、そのまま我が『ガンブレイブ』メンバーと共に、聖クリス


タル国へと戻るのだった。













\ガチャ/


”カランコロンカラン”


「ただいま~」×2


「ただいま戻りました」×2


シェリーさん、タミーさんに続き、俺と、かりゅうの背中に乗る


三毛猫オトアが声を掛けながら、チームハウス1階にある喫茶ゴン


の中に入り声を掛けると。


「おお、戻ったか、テンタ、オトアw」


とにこやかに返事をする……!?トム(バルジャン)さんの姿があった。


「えっ、あ……、もうお体は大丈夫なのですか?」


俺は驚きながらも目の前で店番するトム(バルジャン)さんに聞くと、


「ああ、この通りもうピンピンしてるぞ」


と軽くその場でジャンプして見せるトム(バルジャン)さん。


そんなトム(バルジャン)さんにシャリーさんとタミーさんが


「ママ達は?」×2


と聞くと、トム(バルジャン)さんは、


「ああ、いま買い出しに行ってるところだ」


と答え、


「テンタにオトア、色々あって疲れただろうから、一旦部屋に


行って休んで来い、お昼のランチまでにはミリー(トム妻)達も


戻るだろうから、それまで部屋で休んでいろ」


と俺と三毛猫オトアに言う。


「ありがとうございます、ではそうさせてもらいますね」


と俺は答え、店の左奥の扉から2階の部屋に向かおうとすると、


再びトム(バルジャン)さんが、俺と三毛猫オトアに向け、


「後でお昼持って行ってやるから、何が食べたい?」


と聞いて来たので、俺と三毛猫オトアがお互いの顔を見合わせ


考えていると、すかさずシェリーさんとタミーさんが、


「私、オムライスw」


「私もw」


と俺達より先にリクエストすると、トム(バルジャン)さんは


にこやかに笑いながら、


「わかった、わかった、けど、なら部屋に戻る前についでにレツ


とダイにも聞いといてくれw」


と返すと、2人は


「わかったw」×2


と返事をし、そのまま店を出て、ダイさん達の部屋に向かった。


「で、テンタとオトア……」


と言いかけたところで、思い切り、トム(バルジャン)さんを


見つめ尻尾を”ブンブン”も振り回すかりゅうが目に留まり、


「ああ、禍龍かりゅうお前は……そうだなグランライジャー


スペシャル(特大大盛カレー)にしろ」


と言うと、意味が分かってないかりゅうだが、何だが嬉しそうに


尻尾を”ブンブン”も振り回すのだった。


俺と三毛猫オトアは、結局、俺がミートソースのスパゲティー


で、三毛猫オトアは、ナポリタンにしたのだった。


\ガチャ/


2階の自分達の部屋に入った俺と三毛猫オトアだったが、自分達の


部屋を見て、そんなに長い間ここを離れていたわけではないのに、2人


ともなんだか懐かしい~思いになるのだった。


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