50話 悪魔達のそれぞれと謎のクエスト




------(第三者視点))------☆





 テンタ達が居る大陸の東にある北晋王国、晋王国、南晋王国


の3つの国がある。


 そのさらに海を隔てた東に、魔人と呼ばれる人達が納める国。


 三日月魔王国があった。


「ここは……」


悪魔子爵ゴースン(腕や下半身には岩のようなものが覆う女の姿)


が、三日月魔王国北部にある山城跡を見て言う。


「ここは、かつて人鬼が納めし国の城でございます」


と問う悪魔子爵ゴースン対して、答えるゴースン配下のプサイ


(顔がバラの花で体は茨で出来た女の姿)。


「ふむ、あれは200年前だったか、魔人どもとの戦いで敗れた


と言うあの人鬼か……」


プサイの言葉に、何かを思い出す様に言う悪魔子爵ゴースン。


「左様で」


「しかし、ここは、戦いの後、魔人達が封印し、監視しておるので


はないのか?」


その言葉に、


「はい、確かに麓の砦にて魔人達は、この山を監視しておりました」


プサイが答えると、


「おりました……とはどういうことか」


と再びプサイに問う悪魔子爵ゴースンに、


「はい、すでに我の配下のレッサーデーモンを同化させ、我の支配


下にあります」


「ふーん、なるほどな……なら魔人どもに悟られることもないか


……」


プサイの言葉に納得する悪魔子爵ゴースン。


そして、悪魔子爵ゴースンは10人の配下全員に言う。


「では、これより、ここを我らの拠点と定める!」


「は、はぁっ!」×10


と悪魔子爵ゴースンの言葉に、配下のベビルデーモン達が頭を下げ


言うのであった。














 そのころ、テンタ達が居る大陸とは別の大陸の地下深く岩でできた


地下城の中にある悪魔伯爵シャッキー(頭を覆いつくす蛇の髪、目玉が


一つで、体を赤いマントで覆っている男)が、謁見の間のような大きな


部屋で、配下のベビルデーモン10人達といた。


「モルス、アーマーよ、帥達は、この魔大陸北東におる、ドラゴンと


巨獣たちを狩ってまいれ」


「「ははっ」」


悪魔伯爵シャッキーの命令に傅き言う、モルス(死神風顔の半分骸骨の男)


とアーマー(赤いフルプレートアーマーで、顔を覆いつくした兜の男)。


2人は直ぐさま命令を実行するため、”ボワ”っと、姿を消す。


それを確認した悪魔伯爵シャッキーは、次に、


「ゾル、ヘル、帥達はこの魔大陸の東南に居る巨人たちを狩ってまいれ」


「「ははっ」」


悪魔伯爵シャッキーの命令に傅き言う、ゾル(ロビンフット風の男)と


ヘル(エジプトファラオ風の男)2人は直ぐさま命令を実行するため、


先のモルスとアーマー同様に\ボワ/っと、姿を消す。


そして三度、


「ファングよ帥は、この魔大陸の北西に住んでおる人間を20人で


良いから、さらってまいれ」


と、ファング(マンモスの頭蓋骨の兜にインディアン風衣装の男)に


命じると、ファングと呼ばれたベビルデーモンは言う。


「たった、20人の人間でよいのですか?」


と悪魔伯爵シャッキーに聞き返すと、


「そうじゃ、20人で良い……ただし無傷で攫ってまいれ」


「ははっ」


悪魔伯爵シャッキーの命令に傅き言う、ファングは、直ぐさま命令


を実行するため、それまでの命令を受けたベビルデーモン達同様、


\ボワ/っと、姿を消した。


 最後に、残った5人のベビルデーモン達に命じた。


「お前達は、この魔大陸と彼の大陸を繋ぐ通路を探してまいれ」


「「「「「ははっ」」」」」


悪魔伯爵シャッキーの命令に傅き言う5人のベビルデーモン達


だった。














------(テンタ視点))------☆





 アルセダイン王国の古代文明研究所所長のアノル博士の


クエストの詳しい話を聞くため、『スカイバリアン』、


『マリンバリアン』のテストの次の日、俺は、三毛猫オトアとシェリ


ーさん、タミーさんを伴い、ギルド北支部に向かった。


 ガイゼルさんは、今回参加しない。


ってのも、実は、『スカイバリアン』の固定武装のミニガンや


『マリンバリアン』の小型魚雷の予備弾を、各機の武装テスト


終了後にはなるが、10セット注文したのだった。


 だが、そんなに多くの予備弾を冒険者でもあるガイゼルさん


1人で作成するには、無理があるので、追加で500万チル


(約1億円)を鍛冶屋ガウに支払い、当然ガイゼルさんの指導


の下、製作してもらっているためである。


鍛冶屋ガウに支払った500万チル(約1億円)には、ミニガン


の予備弾や小型魚雷製作用の工作機械を新たに製作してもらう


ための費用も入っている。


 しかも、今回は俺達に悪特隊北支部の護衛は付かない。

 

 今回、護衛が付かない理由は、のちにわかるのだが……。


 俺達は、ケンタウロスのレツさん、ダイさんが引く馬車ケンタウロスしゃ


で、朝7時には出発し、ギルド北支部には、夕方到着する。


そして、いつものように、北支部にある仮に借りている


ガンブレイブのチームハウスに泊った。


 翌日、朝一番に俺は、三毛猫オトアとシェリーさん、タミー


さんを伴い、ギルド北支部の建物に向かった。


 俺達はギルドの1階の正面入り口から入り、そのまま受付に


進んだ。


 受付で、名前(冒険者登録名俺の場合バルバン)を名乗り、


小槌を見せると、受付右横の扉を開けてくれて、前回とは違い


メンバー全員が通路を通り奥の部屋に案内された。


「ここで、少々お待ちくださいw」


俺達を案内してくれた受付のお姉さんにそう言われ、部屋に


入る。


 この社長の部屋って感じの部屋に置いてあるソファーにみん


なで腰掛けしばらく待っていると、部屋のさらに奥の部屋に続


く扉が\ガチャ/と開き中から、ピンクの髪の猫人のミンスさん


(シスタームーンのリーダー)が出てきた。


「おはよう~、今日はオトアちゃんも連れてきたのね」


と気さくに俺達に声を掛けるミンスさんに、


「おはようございます」


「おはようございます」


「おはようございます、初めまして、シェリーです」


「タミーです」


と俺、三毛猫オトアに続き、シェリーさんとタミーさん


も席を立ちミンスさんと挨拶を交わした。


「えーと、早速ですが、僕かオトア指名のアノル博士のクエスト


の内容と言うのは?」


と単刀直入に聞いてみた。


俺の言葉に、ミンスさんは”ああ”って顔で、


「簡単に言えば、古代文明研究所所長ニム・アノル博士の依頼の


遺跡調査の案内かな?」


その言葉に、


「えっ、遺跡の案内……って、僕とオトアは、この世界の遺跡って


知りませんよ」


と言うと、ミンスさんは”違う違う”って感じで首を横に振り、


「遺跡って、ほら、テンタ君とオトアちゃんが飛ばされたダン


ジョンのような洞窟のことよ~」


その言葉に、俺と三毛猫オトアは、”なぁ~んだ”って顔で、


「ああ、ヴァジェト(巨大コブラ)を倒したところですか!」


と言うと、ミンスさんは、”そうそう”って頭を立てに振る。


 しかし、


「でも、ヴァジェトを倒して、転移魔法円で外に出たので、


あの洞窟の入り口は僕もオトアも知りませんよ」


と言うと、ミンスさんは、右手を”ヒラヒラ”させ、


「いいの、いいの、私達と出会ったマラフトの森まで案内


してくれれば、後は、博士達が探し出すから~」


と軽く説明する。


そこに、シェリーさんが、割って入り、


「あの~報酬は?」


とミンスさんに聞くと……。


「ああ、……報酬!?」


とミンスさんの言葉にシェリーさんとタミーさんが前のめりに


なる。


「えーと、報酬はアルセダイン王国のお金で75万タム(約1千


500万円)だよw」


と言った瞬間、シェリーさんとタミーさんが急に、


「やりますw」


「やります、やりますw」


とミンスさんの手を取り言う。


(いや……あなた達だけやる気になっても、俺かオトアでないと、


あの森のどこなのかわからんと思うけど)


と思いつつも、シェリーさんとタミーさんの熱意にに負けて、


俺と三毛猫オトアは引き受けざる負えなくなった。


俺と三毛猫オトアがクエストの受理に同意すると、ミンスさんが


言う。


「じゃ、出発は3日後、集合は北支部東門の前、朝の7時集合ね」


「「はいw」」


俺と三毛猫オトアに代わり、元気に返事するシェリーさんとタミー


さんだった。














 3日後、北支部の東門から目的マラフトの森に向け出発する。


俺、三毛猫オトア、シェリーさん、タミーさんは、ケンタウロス


のレツさん、ダイさんが引く馬車ケンタウロスしゃ


 その後を、悪特隊北支部のユニコーンが引く白い馬車が行く。


 この馬車ユニコーンしゃには悪特隊北支部のメンバー5人と、古代文明研究所


所長ニム・アノル博士と博士の弟で、今回の旅で、専属シェフ


として同行するルフーン・アノルさん。


 兄弟らしく、顔は似ているが兄のニム・アノル博士は銀髪で


弟のルフーン・アノルは、青い髪だった。


2人は悪特隊の馬車に乗る。


 悪特隊北支部の馬車ユニコーンしゃの中は6人乗りだが、悪特隊のメンバー


が交代で、御者を務めるので、定員オーバーではない。


 今回の旅の用意があったから、前回俺達が、北支部とカザード


国を行き来した折の護衛に付かなかった……って言うより、付け


なかったってわけ。


 2時間おきに休憩し、2回目の休憩はちょうどお昼になった。


 馬車を止め、お昼の用意……。


俺達は、自身の馬車とケンタウロスのレツさん、ダイさんを繋ぐ


金具を外す。


その間に、専属シェフのルフーンさんが、悪特隊の馬車ユニコーンしゃの後ろの


荷台から、寸胴鍋を下す。


そして、その鍋の蓋を開け、中から料理台やら、食材やら調理器具、


果てはテーブル椅子などを出す。


 これは、たぶん俺達冒険者が使う”小槌”と同じ仕組みなんだろう


と思う。


そして料理を始めた。


その間に悪特隊北支部の女性隊員のリラ隊員(リラ・ウエン)が、


自身が被る尖がり帽子を脱ぎ、逆さまにして、そこからよく酪農


家が使う搾乳缶のような大きなミルクタンクと、馬用の飼葉入れの


ような大きな丸太をくりぬいたようなものを出し、その飼葉入れ


のようなものをハル隊員(男性)に手伝ってもらいながら、2頭


のユニコーン前に置くと、搾乳缶のような大きなミルクタンクの


蓋を開け、2人で、そこに”ドバドバ”と注いだ。


2人が注いだのは所謂ヨーグルトなのだが、これがユニコーンの


餌と言うことを聞いて、俺と、三毛猫オトアは驚いた。


これは、ユニコーンが暮らす森に湧く、ミルクの泉のミルクの


ようなものらしい。


 各人がテーブルに着く。


 ケンタウロスのレツさん、ダイさんは別テーブル(椅子なし)


で、


俺達は、ミートボールのスパゲッティーで、ケンタウロスの2人


には、鹿肉のステーキ。


 これは、馬車を引くので、ケンタウロスの2人には、高カロリー


食が良いとの専属シェフのルフーンさんの言葉。


「いただきます」×6……?


俺と、三毛猫オトア、それにシェリーさん、タミーさんが手を合わせ


て言うのはわかるが、エルフ族であるニム・アノル博士やその


弟の料理人であるルフーン・アノルさんまでが手を合わせたの


には、少し驚いたが……。


 だって、他のエルフ族の悪特隊の人達は、手を合わせてのいただ


きますは言わなかったから……。


(まぁ、いいか)












「ごちそうさまでした」×6


?……また、ニム・アノル博士やその弟の料理人であるルフーン・


アノルさんまでが手を合わせた……。


(前世は日本人なのか?)


と思いながらも、出発の準備をする。


 再びマラフトの森を目指して出発する。


 前回、『シスタームーン』さん達の空飛ぶ馬車では、数時間で


北支部に着いたのだが、やはり地上での移動は時間がかかる。


 昼食後、2時間おきの休憩を2回取りながら進み。


夕方近くになり、野営をすることになった。


 俺達は、ケンタウロスのレツさん、ダイさん用のテントを設営し、


馬車の内部のシートをアレンジして、シェリーさんとタミーさん


が、そこで寝る。


 俺と三毛猫オトアは、馬車の天井に設置してあるテントを起こし、


そこで寝る。


 悪特隊と、ニム・アノル博士に料理人のルフーン・アノルさんは、


同じく自分達の馬車の内部のシートをアレンジして、そこには、


ニム・アノル博士に料理人のルフーン・アノルさんが寝。


 他の悪特隊メンバーは、別にテントを設営し寝る。


と言うことで、みんながそれぞれ、寝床の準備をしている間に、


料理人のルフーン・アノルさんが、夕食の準備をしていた。


で、


夕食の準備が整ったので、昼間のように、各人がテーブルに着く。


「いただきます」×6……?


若干2名のいただきますに違和感を覚えながら食事をする。


 料理は、フルコース料理。


 まず、前菜にはスモークサーモンのピンチョス。


シャキシャキ野菜をサーモンでくるんだ一品。


シャキシャキっとした食感がおいしかった。


次にスープは、オニオングラタンスープ。


オニオンスープに焼いたチーズをパンに乗せスープに


入れたと言うスープだが、スープに溶けたパンと焼いた


チーズが絶妙だった。


 そして、メインは、イチゴ酢ソースのポークソテー。


イチゴ酢の酸味と甘みがポークの肉にとても合うって


感じ、俺はこれをすごく気に入った。


そして、デザートは、リンゴのオーブン焼き。


焼いたリンゴの上にクッキーが散らせてあり、これは三毛猫オトア


をはじめ女性人に人気だった。


 とても、野営で食べるような料理ではない豪華な料理。


俺や、三毛猫オトアや、シェリーさん、タミーさんが、


豪華な料理に驚く中、料理人のルフーン・アノルさんは、


「いや、こんなのは簡単な料理ですから」


と謙遜なのか、本当なのかわからないが、そう答えるルフ


ーン・アノルさん。


 因みに、食事中本来飲み物としてアルコールが出るのだが、


俺や三毛猫オトア、シェリーさん、タミーさんは、ガイ


ブレイブの掟(お酒は20才から)があるので飲まないが、


他の人たちも一切アルコールはこの旅の間、口にしていない。


 これは、いつ魔物に襲われるかわからない野営の時のマナ


ーと言うかルールだそうだ。 


食事が終わり、片付けをしたら、今日は寝ることにする。


 ただ、夜の見張りについては、悪特隊メンバーが交代で


行うので、俺達は、ゆっくり寝ることが出来た。


(夜の見張りがないのは、本当に助かる)

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