44話 アダマイトの坑道(前編)




 一夜明けて、次の日。


 朝6時に朝食をとり、7時にホテル1階のロビーに全員集合


して、目的の鉱山のある地下35階へと転送魔法円で降りる。


そして、朝8時にはアダマイトの坑道入り口前に到着した。


 広い円形の広場、その中心には、転移魔法円、そして、その


円形広場の周りに放射状に12個配置された坑道の入り口の


扉が配置されていた。


 俺達は転移魔法円を出て、12個ある坑道の入り口の一つ


時計で言う、1時の方角の扉に向かう。


坑道管理の人(ドワーフ)が、重い金属の扉についている


小さな扉の鍵を開けてくれて、そこから、俺達は坑道に入


った。


「ひっろ!」


思わずそうタミーさんが言う。


タミーさんが言う通り、中のトンネルは馬車で行き来できる


ぐらい……いわば高速道路のトンネルって感じで、優に2車


線分ぐらいあり、中の明かりは、明るいとまでは言わないが、


視界は十分な明るさだった。


 ここの入り口から、現在アダマイトを掘っている場所まで、


約6kmはあるらしい。


 俺の肩から、三毛猫オトアが地面に降りる。


「じゃぁ~いきますかw」


とタミーさんの言葉に俺と、シェリーさんが頷くと、


それぞれ、コンバットスーツを着用する。


黄着おうちゃく!」


紫着しちゃく!」


そして、


赤着せきちゃく!」


変身ポーズをとり、べルトバックルに取りつけた、楕円の


金属板が光る。


と同時に俺の体が赤い光に包まれ、俺は、赤いコンバット


スーツ姿になるとすぐに、


「宇宙シェリフバルバン!」


とポーズを決める。


「しゅっぱぁ~つw!」


そして、張り切り、みんなの先頭を進むタミーさん。


それを見て姉のシェリーさんが、


「あんまりみんなと離れちゃだめよ、タミー」


と注意する。


「ふぁ~い」


と不服そうに返事をするタミーさんだった。













坑道の入り口に入ってから、200m進んだところで……。


出ましたモンスター!?……。


「「「サーチャースコープ!!」」」


俺、シェリーさん、タミーさんの3人がサーチを掛ける。


あれ?


【スライム】(青色)


HP      30

MP       0

運動性    20

攻撃力     40

防御力     40

命中       28

回避     2

10Cm×10


30Cm×15


50Cm× 5



【アシドスライム】スライム亜種(黄色)


HP      35


MP       0

運動性   20

攻撃力   60

防御力    40

命中      28

回避   3

10Cm× 5


30Cm×20


50Cm× 1



【アイゼンスライム】スライム亜種(黒色)

HP      30

MP       0

運動性   20

攻撃力   60

防御力    60

命中      28

回避   0


30Cm×10



「あーん、スライムじゃん」


魔物をサーチして、がっがりするタミーさん。


 タミーさんが、がっかりするのは、このスライム


ってやつは、ゲーム同様雑魚キャラ……ってだけでなく、


無価値、つまり素材としても無価値だし、冒険者のスキル


ポイントも全く入らないと言う魔物だからなんだ。


 でも、一般人には安全か?と言えばそんなことなく、


相手を侵食して魔力を奪ったり(スライム)、また、


剣や槍、農機具などの金属製品を溶かして食べる


(アシドスライム)などがおり、決して安全な魔物


と言う訳ではない。


「文句言ってないで、さっさと倒すよタミー」


とシェリーさんの言葉に、少々ふてくされ返事をする


タミーさん。


「ふぁ~い」


 まずは、スライムから、


「イエローバスター!」


”ビシュー”


\ポン/


タミーさんの放ったビームが当たるとポップコーンの


ように弾けるスライム。


「パープルウイップ!」


\ピシッ/、\パシッ/


\ポン/、\ポン/


シェリーさんの光鞭が当たると同じように弾けるスライム。


そして、


「ライトソード!」


腰の装甲版からライトソードを取り出し、光の刃先を出し、


\ズボ/


っと突き刺す。


”キュ~ゥ”


\ポン/


俺が光刃をスライムに突き刺すと、何かが焼けるような音


と共にタミーさん、シェリーさん同様勢いよくスライムが


弾ける。


そして、約15分後、スライムは殲滅した。


「次は、こいつらね!」


と今度は、アシッドスライムに向けタミーさんが再び、


「イエローバスター!」


”ビシュー”


\ポン/



同じようにビームを放ちアシッドスライムを攻撃する。


「パープルバスター!」


”ビシュー”


\ポン/



シェリーさんも光鞭から、ビームガンに武器を持ち替え、


ビームを放つ。


俺も同じでビームソードから、ビームガンに武器を替え、


タミーさん、シェリーさん同様に撃つ。


「レッドバスター!」


”ビシュー”


\ポン/


 何故、俺とシェリーさんがビームガンに切り替えたかって


言うのには訳がある。


このアシッドスライムって、体内に強烈な酸を蓄えている。


なので、\ポン/と弾けたときに、奴等の体内にある酸も


飛び散るので、距離を取って攻撃せざる負えない。


出ないと、爆発した奴の体から飛び散る酸を浴びれば、


俺達のコンバットスーツが溶けるから……と言う訳。


このアシッドスライムと戦うとこ、20分何とか殲滅


出来た。


「問題は……」


「こいつらね」


シェリーさんが、言いかけるがタミーさんが言う。


 問題と言うのは、後に残ったアイゼンスライムだ。


 こいつ、攻撃すると、鉄の塊になる。


 当然、通常の剣や槍では突き通せない。


 しかも、例え半分に切ったとしても、その時はスライム


状に体を戻し、切られた部分と接合してしまうと言う、


かなりやっかいな奴。


 なので、一気に倒さないといけない。


 なので、3人で力を合わせる。


 お互い顔を見合わせ、頷くと。


「「「トリプルバスター!!!」」」


”ビシュー”


\ジョワー/


3人ともアイゼンスライムが溶けきるまで、ビームガンの光線


は出しっぱなし。


”じゅるジュルじゅる~”


3人で連続3秒ビームうを照射し続け……やっと1匹、


蒸発させることができた。


これを10匹分繰り返す、俺とシェリーさんとタミーさん。


「「「ふぅ~」」」


何とか30分後、全部倒して、3人でため息を着く。


「ちょと、休憩しなぁ~い……ふぅ~」


とその場にへたり込むタミーさん。


「そうね、少し休まないと……もたないわね」


と同じくシェリーさんが言う。


2人の言葉に俺も頷き、


「「「リバース」」」


俺とシェリーさんとタミーさんは、コンバットスーツを


解除した。


そして、それぞれ、小槌から”泉の水筒”(自動で水が溜ま


る)水筒を出し、それぞれが飲む。


”ゴクゴクゴク”


俺は自身が飲む前に、


「オトアも飲むか?」


と俺が三毛猫オトアに聞くが、


「大丈夫、私今の所、何もしてないからw」


と言われたので、そのまま水筒のコップで1人で水を飲んだ。


そして、ここで小槌からコンバットスーツ用の魔晶石出し、


再び、


赤着せきちゃく!」


とコンバットスーツ姿になり、胸の装甲版を開け、新しい


魔晶石をセットする。


 その間にシェリーさんタミーさんは、エーテル(魔力


回復薬)を服用していた。


 俺のコンバットスーツと違い、2人のスーツは、自身の


魔力を増幅する装置が入っているのだが、そのため増幅


しているとは言え、自身の魔力を消費するタイプ。


さっきので、かなり魔力を消費したようだ。


30分の休憩の後、シェリーさん、タミーさんも再びコン


バットスーツを着用し、俺達は坑道の奥へと進むのだっ


た。















 スライムの所から約1kmほど進んだ。


この間は、魔物には遭遇しなかったが、ここに来て、


また、魔物に遭遇する。


「「「サーチャースコープ!!」」」


俺、シェリーさん、タミーさんの3人がサーチを掛ける。



【ジャイアントシャベル】


HP     150

MP      80

運動性   56

攻撃力   150

防御力    180

命中      73

回避   78


1.5m×20


 ジャイアントシャベル……要はデカイモグラ。


 奴等との距離は、まだ100m離れている。


「まだ、こっちに気づいていないようね」


とシェリーさんの言葉に、”なら”と言うことで


作戦を練る。


 まず、俺はコンバットスーツを、


「リバース」


元の姿に戻り、そして小槌から射撃用イヤーマフラー


を取り出し装着する。


そして、シェリーさんとタミーさんはコンバットスーツ


を遮音モードにし、三毛猫オトアにシェリーさんが言う。


「私が飛び出したら、オトアちゃん自分にバリアー張って


ここで待機ね」


その言葉に三毛猫オトアは頷いた。


そして、タミーさんはビームガンを右手に、デザートイー


グルを左手に持ち構える。


そして、俺もS&WM629 3インチをホルスターから抜き


銃を構える。


それを見たシェリーさん自身は、ビームガンを左手に持ち


替え、右手に光鞭を持って、


「いくわよ」


とみんなに声を掛けると、それに俺と三毛猫オトアとタミー


さんが頷くのを見て、走り出した。


それを見て、三毛猫オトアは自身をバリアーで包み込んだ。


シェリーさんが走り出すと共に、俺とタミーさんも走り、


ジャイアントシャベルとの距離を10mまで詰める。


その間に、シェリーさんは、ジャイアントシャベル20匹


の中に飛び込み、


「パープルバスター!」


”ビシュー”


\ズキュン/


「パープルウイップ!」


\ピシッ/、\パシッ/


ビームガンと光鞭両方で、側にいたジャイアントシャベル


3匹を瞬殺する。


シェリーさんの奇襲に混乱するジャイアントシャベル達だが、


すぐに臨戦態勢を取りかけるが、そこへ俺とタミーさんが


攻撃を仕掛ける。


「イエローバスター!」


”ビシュー”、”ビシュー”、”ビシュー”


\ズキュン/、\ズキュン/、\ズキュン/


\\バキュン//、\\バキュン//、\\バキュン//


(((ワ~ン、ワ~ン、ワ~ン)))


それに続き俺もS&WM629を発砲する。


\\バキュン//、\\バキュン//、\\バキュン//


(((ワ~ン、ワ~ン、ワ~ン)))


臨戦態勢を取りかけたジャイアントシャベル達は、急に


現れた新手の攻撃と共に、坑内に響く銃声に大混乱になる。


「パープルバスター!」


”ビシュー”


\ズキュン/


「パープルウイップ!」


\パシッ/


「イエローバスター!」


”ビシュー”


\ズキュン/


\\バキュン//、\\バキュン//


(((ワ~ン、ワ~ン、ワ~ン)))


さらに俺も銃を撃つ。


\\バキュン//、\\バキュン//、\\バキュン//


(((ワ~ン、ワ~ン、ワ~ン)))


 約10分後、ジャイアントシャベル達は全滅した。


「今回は、割と楽勝だったねw」


「そうねぇ」


タミーさんと、シェリーさんはそんな会話を返しながら


自分たちの小槌に、ジャイアントシャベルの死骸を収納


していった。


 このジャイアントシャベルは、手のしゃべるが鋼鉄より


硬く、鉱山を掘るつるはしなどに加工できるためギルドでは、


1匹5万円で引き取ってもらえる。


 因みに、今回俺の目的はアダマイトだけなので、それ以外


の魔物の素材については、2人に譲る約束をしている。


 ここで、またもや10分休憩を取り、俺は再び『赤着』し、


再び坑内の奥へと進んだ。














 ジャイアントシャベルを倒した場所からさらに約1km


進むと、俺が依然戦ったことのある魔物に遭遇する。


「おっ、ガーゴイル」


 そこで、再び3人でサーチを掛ける。


「「「サーチャースコープ!!」」」



【ガーゴイル】



HP     200

MP     150

 

運動性   100

攻撃力   200

防御力   200

命中      80

回避 60


1.6m×3

 確かこいつ、口から高圧水流で、目から石化光線を出すん


だったよな……。


「こいつ、口から高圧水流で、目から石化光線を出すから


気をつけてシェリーさんタミーさん」


と俺が、シェリーさんタミーさんに注意喚起する。


「OKw」


「わかった」


俺の注意にシェリーさんタミーさんが了解する。


(あっそうだ)


と俺は思いシェリーさんタミーさんに付け加えて言う。


「あーそれと、こいつの胸の魔核が無事だと1匹、


1万クリスタルになりますよ~w」


俺のその言葉に2人は燃えた。


「えっw」


「よーし、やったるで~!」


特にタミーさんは、鼻息が荒い。


 しかし、奴には羽がある。


(石だけど……)


「飛ばれるとやっかい」


と俺が言うと、三毛猫オトアが俺達に提案した。


「私が、オトリになる」


と、その言葉に俺は驚き、


「ダメダメダメ」


と即座に却下したが、三毛猫オトアの中に居るエードラム


様が、


≪やらせてあげなさい、オトアちゃんはみんなの役に立ち


たいのよ……それに私がついてるから大丈夫よw≫


とおしゃるので、渋々三毛猫オトアの申し入れを許可する


のだった。













 三毛猫オトアが、ガーゴイルのいる所へトコトコ歩いて


行く。


坑道を飛び回っていたガーゴイルが、未知の生物である


三毛猫(オトア)に興味を示したのか、三毛猫オトアのいる


所に降り立ってきた。


 興味心身に三毛猫オトアを3匹のガーゴイルが見つめ


ている。


”ニャー”


三毛猫オトアが鳴くと、一瞬、ビビったのか、後ずさり


するが、また、近寄って来た。


 その時だった。


三毛猫オトアは自身の体をバリアーで包んだ。


それを見た3匹のガーゴイルがビビった瞬間。


「パープルバスター!」


”ビシュー”


\ズキュン/


「イエローバスター!」


”ビシュー”


\ズキュン/


「レッドバスター!」


”ビシュー”


\ズキュン/


シェリーさん、タミーさん、俺による同時攻撃。


見事3人によるヘッドショット攻撃が決まり、


3匹のガーゴイルの頭が吹っ飛んだ。


「やりーw」


見事、3匹同時にガーゴイルの頭を吹っ飛ばし、


飛び上がって喜ぶタミーさんだった。












「「「リーバース」」」


3人とも、コンバットスーツを解除して、シェリーさん


タミーさんのガーゴイルの死骸回収の間、待つことにし


た俺。


 ガーゴイルの死骸を、楽しそうに回収する、シェリー


さんと、タミーさん。


 ガーゴイルの回収を済ませると、


「そろそろ、お昼にしないw」


とシェリーさんが言う。


 その言葉を受けて、


「そうですね」


と俺が答えると、タミーさんが嬉しそうに


「何にする~」


と小槌から食料を出す気満々だった。


そこで、シェリーさんが、


「そうね……ヴルストゲトレンク(ホットドック)


にしようかw」


と言うと、タミーさんは、笑顔で、


「それいいねw」


と言いながら、ヴルストゲトレンク(ホットドック)


が載った大皿を出した。


 俺は、小槌から、スチール製の皿1枚と、スープ皿


1枚、に泉の水筒を出し、ヴルストゲトレンク


(ホットドック)1つをその大皿から取ると、それを


3つに割り、スチール製の皿に置き、続いて泉の水筒


から、水をスープ皿に注ぎ、三毛猫オトアの前に置く。


「「「「いただきます」」」」


とみんなで手を合わせ大皿のヴルストゲトレンク


(ホットドック)に手を伸ばし、かぶりつきながら


(全長6kmのこの坑道の、約半分弱か、残り半分


強……頑張ろう)


と思う俺だった。

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