31話 ダンジョンの主






(((ギィ――――――ィ)))


\\ズズズズズゥ――//


「えっ!」


≪あっ!≫


驚く俺と三毛猫オトアに関係なく扉が開いた。


 あまりにも単純な合言葉で扉が開いたことに、口あんぐりの俺と


三毛猫オトアだったが、ここは気を取り直して中に入る。


 広さは、体育館の倍くらいあろうか……天井までは20mかな。


その天井のあちらこちらにある、穴のようなところから、日差しが


入って来てるように思える。


(ここ、地下だよな)


この部屋の奥の方に、その天井から指す日差しにキラキラと輝く場所が


ある。


そのキラキラの正体は、金貨、銀貨、宝石などのいわゆる宝物でいっ


ぱいだった。


そして、その宝物の中心には……。



\ピッ/


【ヴァジェト】

HP    1500


MP      500


運動性   250


攻撃力   1000


防御力    800(魔法攻撃を軽減)


命中       90


回避 65


口から、金属や岩をも溶かす毒液を吐く


×1


 体長15mの大きな白いコブラが、蜷局を巻いてそこに鎮座して


いた。


「あっちゃ~!」


≪ド・ドラゴン!?≫


と驚く三毛猫オトアに、俺は言う。


≪に、しては小さいと思うよ≫


俺の冷静なもの言いに、


≪あっ、そうなの≫


と素直に言う三毛猫オトア


”シャー”


奥に居たヴァジェト(巨大なコブラ)は、入って来た俺達に気づいたのか、


さっそく威嚇してきた。


≪オトア行くよ!≫


と、俺が三毛猫オトアに声を掛けながら、前に少し前進する。


 三毛猫オトア


≪うん≫


と返事しながら俺の後を着いてきた。


「レッドバスター!」


”ビシュー”


右の太腿の装甲を開き、ビームガン(光線銃)を取り撃つ。


\\ビッシャー//


ビームが奴の鎌首を上げた腹の部分にあたるが、当たった


ビームが跳ね返された。


 よく見ると、ビームが当たったところは少し黒く煤が


付いているように見えるが、奴は何ともないようだ。


(くっー、相性が悪いな)


と俺は心で悪態をつく。


 ビームガン(光線銃)が効かないので、今度は間合いを


詰めて、右の腰の装甲を開き、ライトソードを取り出す。


そして、光の刃先を出し、


\ピシュン/


「バルバンクラッシュ」


逆袈裟切りで切りつけるが……。


”スルリ”


と、ヴァジェトの表皮で、光の刃が滑る。


 そこへ、ヴァジェトが俺に尻尾を叩きつけてきた。


\\バッシーン//


それを、後ろにジャンプしてかわす俺。


するとヴァジェトが今度は毒液を吐く。


\プッシャー/


それを、俺の前に回って来た三毛猫オトアがバリアー


を張り防いだ。


\\バッシャー//


(駄目だ、まるで歯が立たん)


 ヴァジェトの毒液を防いだまではよかったが、突然、


ヴァジェトの尻尾が俺達の左から襲ってくる。


”ヒューン”


\\バッシーン//


 三毛猫オトアの張るバリアーのおかげで、直撃は受けて


ないが、あまりの衝撃に俺と三毛猫オトアが吹っ飛んだ。


\\\ドンガラガッシャン///


\\\チャリンチャリンチャリン///


 ヴァジェトの周りにある宝物(金貨や宝石)の中に


俺と三毛猫オトアが突っ込んだ。


「いてててて」


≪……≫


≪オトア大丈夫か!?≫


俺は、三毛猫オトアを心配し、声を掛ける。


 三毛猫オトアは頭を振り、立ち上がると、


≪うん、何とか……大丈夫よ≫ 


と返事をする。


 俺は、ほっとして、立ち上がろうとした時だった。


右手に何やら当たるものを感じる。


「何だこれ?」


両刃のステーキナイフのような短剣が、そこにあった。


 立ち上がる時、そのナイフを思わず握ってしまった。


すると……


\\ビシュン//



とそのナイフは、刀身1mあまりの剣に変わった。


「何だこれ!?」


 そこへ、ヴァジェトの尻尾の攻撃が来る。


\\バッシーン//


迫って来る尾っぽを、持った剣を横殴りに振ると、


\\ビシュン//


ヴァジェトの尻尾に傷がついた。


”シャー”


痛がるヴァジェト。


「んっ、これは……」


俺はそう思い、ヴァジェトの懐に飛び込むと、


剣を振るう。


\\ズバッ//


”シャー”


深くはないが、奴の体に傷を負わせることがだ来た。


 傷が痛むのか、ヴァジェトが暴れだす。


俺はすぐさま後ろに跳ぶ。


(いけるかも!)


俺はそう思い、思い切ってコンバットスーツを


リバースする。


「リバース」


そして、すぐさまベルトの赤い☆型手裏剣2つ手に取り、


ヴァジェトの傷口目掛け投げた。


”シュルシュルシュル”


”シュルシュルシュル”


\ズボッ/、\ズボッ/


俺の投げた赤い☆型手裏剣は見事、俺が着けた傷口に2つとも


刺さり……。


\ボー/、\ボー/


と炎を噴き出した。


≪オトアこっち≫


俺は、三毛猫オトアを呼び寄せ、ヴァジェトから、


距離を取り様子を見る。


”シャー”


と苦しみながら、のたうち回るヴァジェト


\\\ドッタンバッタン///


俺の投げた、赤い☆型手裏剣は、ヴァジェトの傷口から、


ヴァジェトの魔力を吸い取りながら、燃えて行く。


ヴァジェトの魔力が多ければ多いほど、その魔力により、


炎は大きくなり、ヴァジェトの体を焼いていくことになる。


 20分ほどで、ヴァジェトは動かなくなった。


 炎に体を焼かれたから……か、すべての魔力が吸い取られたから


か、わからないが……。


「サーチャースコープ!」


俺は、動かなくなったヴァジェトをサーチする。


\ピッ/


【ヴァジェト】

HP     0 /1500


MP      0 /500


運動性   0 /250


攻撃力   0 /1000


防御力    0/800(魔法攻撃を軽減)


命中      0 /90


回避 0 / 65


【死亡】


 どうやら死んだようである。














 ヴァジェトの死亡を確認し、ヴァジェトの遺体を小槌に収納する。


魔物は素材になる場合があるので、一応取っておく。


 次に、周りにあるお宝を、ヴァジェトの遺体同様小槌に収容する。


クエストの依頼料と違い、素材となる魔物や、ダンジョンで得たアイ


テムなどは、基本その人のものとされる。


 ただ、チームでダンジョンに入り得たものや、チーム戦で倒した


ものは、そのチームで分ける。


大体は、チームリーダーが取り分を決める様だ。


 この場合、ダンジョンに居るのは俺と三毛猫オトアだけなので、


基本通りで行けば俺と三毛猫オトアだけのものになる。


 但し、チーム所属の冒険者の場合、例え、単独で得たとしても、


アイテムのうち、お金に変えられるものはお金に換え、その金額の


うち2割は、チームに納めることになる。


 金貨は1,000枚程度、銀貨は500枚、王冠、ティアラ、ネック


レス、魔法アイテム数個、中には王笏おうしゃくなんかもあり、


金の玉座、銀の玉座等の家具っていてらいいのか、大きいものまで


あった。


(ほんと、小槌があってよかったよ)


ヴァジェトの遺体を収納し、宝物やアイテム類を回収して、すっかり


片付いた感があるこの部屋。


 やはりと言うか、思っていた通り、ヴァジェトが居た真下に転移魔


法円があった。


≪じゃ、さっさとここを出るか≫


三毛猫オトアに声を掛けるが、三毛猫オトアはヴァジェトが


居た真後ろの壁を見つめ言う。


≪何だろう?これ……≫


三毛猫オトアの問い掛けに、俺が、その壁まで近づいていき、三毛猫オトア


が見つめる壁を俺も一緒に見た。


 壁には壁画っぽい物が描かれていて、頭に輪っか浮かべ、羽が


生えた女性の像があり、その下の部分に、人間らしき人達がひれ伏し


ているレリーフだった。


≪神様……女神様かな?≫


三毛猫オトアが俺に問う。


≪天使?……女神にも見えるか≫


と俺が三毛猫オトアに言うと、


≪なんかね、あのヴァジェトって、ここにあった宝物を守っていた


って言うより、この絵を守ってたって思えるの≫


と言うので、


≪どうしてそう思うんだい?≫


と俺が三毛猫オトアに聞き返すと、


≪なんとなく、なんとなくよ≫


の言葉に、俺はもう一度レリーフを見つめ、


(なんとなくオトアに似てるような……)


と思いつつも、


≪さぁ、そろそろここを出ようw≫


三毛猫オトアに声を掛けるのだった。













 転移魔法円を作動させ、俺達は外に出た。


 外はすっかり夜。


「ここは……いったいどこなんだ」


と俺がボソッと呟くと、


≪森の中みたいだよw≫


と暗視で見た周りの風景を俺に言う三毛猫オトア


それを聞いた俺は、再びコンバットスーツを装着する。


赤着せきちゃく!」


変身ポーズをとり、べルトバックルに取りつけた、楕円の金属板が


光る。


と同時に俺の体が赤い光に包まれ、俺は、赤いコンバットスーツ


姿になるとすぐに、


「宇宙シェリフバルバン!」


と再びポーズを決めるとすぐに、


「ナイト・スコープ!」


自身の視界を暗視モードに変える。


≪確かに……≫


自身の視界を暗視モードに変え、周りを見渡し呟く。


その俺に三毛猫オトアが言う。


≪トムさん達に報告した方が……≫


≪ああ、そうだな≫


三毛猫オトアの言葉に俺はそう返事をして、トムさんに


念話をする。


≪トムさん、トムさん、テンタです≫


と、


≪おお、テンタ……何かわかったか?≫


とトムさんが聞いてくるので、


≪取り合えず、ダンジョンは出て、今森の中です≫


と答えると、


≪えっ、なんだって!ダンジョンを出たって!?≫


すごく驚き言うので、一言。


≪はい!≫


と答えると、


≪お前1人で!なって無茶するんだ・馬鹿野郎!≫


と念話ではあるが、怒鳴られた。


≪ごめんなさい……≫


と謝る俺。


と、念話に少し間が空く。


恐らく、念話と同時に声に出して叫んだのであろう、


次の言葉は、打って変わって優しかった。


≪まぁ、なんだ、頑張ったなテンタ≫


(俺を怒鳴ったことをミリーさんにたしなめられたのかな)


と俺はトムさんの言葉にそう思いながらも、


≪ご心配おかけして申し訳ありません≫


と再度謝った。


≪それで、ダンジョンの中はどんな感じだったんだ?≫


とトムさんが効いてくるので、


 今までダンジョンで起こったことを説明した。


ダンジョンの上に上がれなかったこと、下に降りたが、


最後のボス部屋以外は魔物が出なかったこと。


最終のボス部屋では、ヴァジェトと言う白いコブラの化け物


だったことすべてを話した。


それを黙って聞いていたトムさんだったが、


≪ヴァジェトって白いコブラの魔物か……聞いたことないな≫


と俺に言う。


そして、


≪なら、今まで発見されてないダンジョンかもな……≫


と俺に言う。


さらに、


≪それで、ダンジョンを出てからの場所はどんな所だ?≫


と聞いてくるので、俺は、


≪森です、かなり鬱蒼と木が生い茂る森です≫


と答えると……。


≪森か……ならアルセダイン王国(エルフの国)の近く


かもな≫


と俺に行ってくる。


(アルセダイン王国(エルフの国)がどこなのか俺には


わからんが)


ってトムさんの言葉にそう思いながらも、


≪そうなんですか≫


と答えると、トムさんが言う。


≪もう、今は夜だ、何処か安全そうな場所を見つけ、今日は野営


しろ!≫


その言葉に俺は素直に、


≪わかりました、今から野営場所を探しますw≫


と答えたのだが、トムさんは俺に、


≪くれぐれも、闇雲に動くなよ、わかったな!≫


と念を押してきた。


なので、


≪わかりました≫


と答えトムさんとの念話を終えた。













≪さ~て、どこで野営をしようか≫


と、俺は三毛猫オトアに聞くと、


≪見通しの居場所がいいんじゃない?≫


と答えるので、


≪じゃ、もう少しあっちの方に移動してみようか?≫


と声を掛けると三毛猫オトアは元気よく、


≪うんw≫


と答えたので、野営地を探しに少し移動する俺と三毛猫オトアだった。


 しばらく、歩いていると……。


もややらしきものが出てくる。


 今もし、コンバットスーツを着ていなかったら、この


靄(もや)には気づいていないと思うが……。


≪なんか、この辺、もやってないテンタ君?≫


と俺と同じく視界を暗視モードにしている三毛猫オトア


が聞いてくる。


≪そうだな≫


と俺は三毛猫オトアに軽く返事をし、歩き続けるが……。


\ピッ/


【ゾンビ】

HP     100


MP        0


運動性    40 


攻撃力    80


防御力     80


命中       58


回避   0


攻撃


  噛みつき、引き裂き 自身が侵されてる細菌、ウイルス


  を相手に移し死に追いやる



×100


 

【ミイラ】

HP      90


MP        0


運動性    38 


攻撃力    70


防御力     75


命中       56


回避   0


攻撃


  自身を巻いている包帯から麻痺の粉を振りまく


×30



【スケルトンナイト】

HP     180


MP       60


運動性    95 


攻撃力   140


防御力     80+100(フルプレートアーマーと盾)


命中       90


回避  80


武器


   バスタードソード(長剣)


攻撃


   バスタードソードでの攻撃


×3


【リッチ】

HP     120


MP      200


運動性    85 


攻撃力   200


防御力     70+180(魔布のローブ)


命中       90


回避  60


武器


   魔法の杖


攻撃


   あらゆる魔法による攻撃

   例 アシッドショット(酸攻撃)


×2


【ワイトキング】

HP     300


MP      300


運動性    70 


攻撃力   300


防御力    100+200(魔布のローブ)


命中       80


回避  60


武器


   魔法の王笏おうしゃく


攻撃


   攻撃、麻痺、昏睡の魔法攻撃


  彼に触れられると昏睡状態になり、やがて死ぬ。

  そして、死んだ者はワイトキングの部下として使役される


×1


「えっ!」


≪えぇ――――――っ!≫


突然の多くの魔物の出現に驚き叫ぶ俺と三毛猫オトアだった。


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