29話 謎の洞窟




------(第三者視点)------☆





 ちょうど、SSフィールド《スペースシェリフシールド》


内でトムヤガイゼル、悪特隊、それにクリスタル警察が、


悪魔人間と戦っているときのことだった。



\ガチャ/


”カランコロンカラン”


ここは、冒険者チーム『ガンブレイブ』のチームハウス内にある


お店。


 その名を喫茶『ゴン』。


 そこへ、悪特隊のオーブ隊員(女性)が慌てて店に入って来た。


 店に入るなり突然言う、


「すいません!うちのキャップと無線がつながらないんです」


悪特隊のオーブ隊員(女性)。


 店は、ちょうどお昼を過ぎ、お客が引いて、トムの妻ミリーと、


その娘のシェリーとタミー、それにガイゼルの妻アナが、遅い


昼食まかないを食べていた。


「どうしたの?そんなに慌てて」


と食事の手を止めて言うトムの妻ミリー。


「あっ、お食事中でしたか!すみません、すみません」


と頭を何度も下げる悪特隊のオーブ隊員(女性)。


それを見て、ガイゼルの妻アナが言う。


「とりあえず、そんなとこつったてねーで、一緒にメシでも


食わねーか?」


その言葉に、


「いえ、大丈夫です!」


と断る悪特隊のオーブ隊員(女性)に、トムの娘の一人の


シェリーが、水をコップに汲んで


「とにかく、これを飲んで落ち着いてください」


と言いながら、自分達が食事をしているテーブルの横の


テーブルへと、水の入ったコップを置いた。


「じゃ、はい、いただきます」


と言いながら店の入り口付近から店の中へ入り、置かれた


テーブルの水を一気に


”ゴクゴクゴク”


と飲み干して、


\プッハ~/


「落ち着いた、初めからは話してw」


とトムの妻のミリーが優しく言うと、


「はい、事の起こりは……」


と今までの経緯を話し出した。


 突然、悪特隊の悪魔センサーが、ベビルデーモン級の悪魔


の反応が一瞬あったので、ドルフキャップはじめ、フォルン


隊員、グラン隊員の3名が現場に向かうも、そこでは、ベビル


デーモン級の悪魔ではなく、レッサーデーモンが宿った悪魔人


間が人質を取り立てこもっていて、警察と対応を話しあってい


たと言うことや、その時、再び、悪魔センサーに別の場所に


ベビルデーモン級の悪魔の反応があり、そのことをオーブ隊員


(女性)はドルフキャップに連絡したのだそうだ。


そして、たまたま現場に現れたエメラルド柱が、別の場所に現


れたベビルデーモン級の悪魔に対処してくれると言うことに


なり、レッサーデーモンが宿った悪魔人間の方は、警察と悪特


隊に、そして、警察が応援に呼んだトムとガイゼルが加わった


メンバーで対処すると連絡があったが、その後、冒険者育成用


の砦『ジャスタン』に居るリャンなる人物から緊急応援要請が


入り、そのことをドルフキャップに連絡しようとしたが、急に


連絡が取れなくなり、 仕方なく、悪魔人間が人質を取り立て


こもっている現場に向かうも、非常線が張られていて、いくら


悪特隊だと言っても、現場に入れてもらえず、応援にトムと


ガイゼルが来ていたことを思い出し、ここ喫茶『ゴン』に来た


と説明した。


悪特隊のオーブ隊員(女性)の話をここまで聞いて、


シェリーが聞く。


「『ジャスタン』からの救援要請って?」


その問いに悪特隊のオーブ隊員(女性)は言う。


「何でも、デーモンゴブリンジェネラルやデーモンゴブリン


キングが現れ、しかも、それらは500体のゴブリンを従え


ているとの連絡で……」


それを聞いていた、トムの妻ミリーと、その娘のシェリーと


タミー、それにガイゼルの妻アナが驚く。


「「「「えぇ――――――――っ!!!!」」」」


あまりにみんなが驚くので、


「いえ、それは大丈夫なんです」


とミリー達を落ちすかそうとジェスチャーするオーブ隊員


(女性)。


「いっゃー、大丈夫なわけねぇだべさ」


とガイゼルの妻アナが言い、トムの娘のシェリーとタミー


も、


「ご・ゴブリン5、500って!」


「ゴブリンジェネラルやゴブリンキングだけでも強力なのに


そこに悪魔が宿ってるって!」


そんな中、トムの妻ミリーは冷静に言う。


「ちょっと黙ってみんな」


そして、


「大丈夫って……説明してオーブさん」


そのミリーの言葉に、


「はい、えーと、キャップが居なかったので、悪特隊からは応援


が出せなかったんですけど、応援についてはCG隊(クリスタ


ル警備隊)に行ってもらいましたし、第一……」


と言いかけて、間を開けるオーブ隊員(女性)にタミーが突っ込


む。


「第一って何ですか?」


タミーに突っ込まれ、少しタジタジになりながら、話の続きする。


「いや、転生者ってすごいな~って思いましてねぇ」


その言葉にタミーが、


「転生者がすごいって、どうすごいの?」


と再び突っ込む。


その突っ込みに、


「生徒6人と、先生合わせて7名で、何んと!そのデーモン


ゴブリンジェネラルやデーモンゴブリンキングに500体の


ゴブリンをCG隊(クリスタル警備隊)が到着する前にです


ね……全滅させちゃったんですよw」


と話すオーブ隊員(女性)の言葉に、またもや全員が、


「「「「えぇ――――――――っ!!!!」」」」


と驚いた。


が、しかし


冷静になったトムの妻ミリーは言う。


「なら、ドルフキャップと連絡なんて取らなくても良くて?」


の言葉に、


「いえ、違うんですよ、現場に着いたCG隊(クリスタル警備隊)


からの連絡で、悪魔やゴブリンは全滅したのは良いんですけど……


その時、テンタ君とオトアちゃんんが行方不明になったんです」


と言うオーブ隊員(女性)に、三度。


「「「「えぇ――――――――っ!!!!」」」」


と全員が驚いた。












「本当だわ~通じない」


とトムの妻のミリーが言う。


「あっら、うちの人にも通じないべ」


とガイゼルの妻アナも言う。


その言葉に、オーブ隊員(女性)が、


「通じませんか……無線も念話もダメって」


その言葉に、トムの娘シェリーが、


「私がやってみる!」


とトムに念話を送り出した。


「誰がやっても一緒よシェリー」


とトムの妻のミリーが言うがそんな中、トムのもう一人の娘


タミーが、ぼそりと言う。


「お父さん達に念話できないなら、テンタ君やオトアちゃん


に直接念話してみたら?」


何気ないタミーの言葉に、トムの妻のミリーが”ハッ”として、


「それはそうねぇ……タミー、オトアちゃんに念話して、


私はテンタ君にするから」


「はーい」


トムの妻のミリーと娘のタミーがテンタとオトアに向け念話する


のだった。











≪オトアちゃん、オトアちゃん≫


”ニャァ?”


頭の中声で、三毛猫オトアは目覚める。


あたりを見回すと、自身の近くにテンタが倒れていた。


≪テンタ君、テンタ君≫


テンタに念話したがテンタは起きない。


 その時、再び頭の中で声がした。


≪オトアちゃん、オトアちゃん≫


”ニャァ?”


(この声はタミーさん?)


≪タミーさん!?、オトアですw≫


≪あっ、通じた通じたw≫


オトアと念話が通じ喜ぶタミー。


≪タミーさんどうしたんですか?≫


との三毛猫オトアの疑問に、


≪どうした……って、オトアちゃんとテンタ君が行方不明


って言うから≫


と答えるタミーに、首を傾げ三毛猫オトアは言う。


≪行方不明……私とテンタ君が!?≫


三毛猫オトアの疑問にタミーが、


≪そう、ゴブリン戦の後、2人が消えたって≫


とタミーの言葉に、三毛猫オトアは少し考える。


(えーと、デーモンゴブリンキングをテンタ君が倒して……


あっ、デーモンゴブリンキングの杖をテンタ君が壊したら、


なんか穴に吸い込まれて……)


≪オトアちゃん聞いてる、今どこ?≫


しばらく、記憶をたどっていて、タミーの話を聞いてなかった


三毛猫オトアは、あたりを見回す、暗く湿っぽい……恐らく


洞窟の中に見える。


そこで、タミーの問いかけに、


≪洞窟みたいです≫


と答えた。


≪洞窟!?って、あのあたりに洞窟って、あったっけな?


まぁ良いわ≫


≪それで、テンタ君は一緒なの?≫


とタミーに聞かれ、


≪はい、でも気を失ってるみたいです≫


と答えると、タミーがすかさず、


≪あら、そうだったの、お母さんが念話しても通じないって


……気を失っていたのねぇ~≫


と納得するタミーだが、


≪オトアちゃん、テンタ君にも事情聴きたいから起こして


くれる?≫


とタミーに言われ、


≪はい、やってみます≫


と元気よく答える三毛猫オトアだった。












------(テンタ視点)------☆





生暖かい……ザラとしたものが頬をつたう。


 何度も何度も。


≪テンンタ君、テンタ君……≫


それに、何処かで聞いたことのある母親のような女性の声。


「んっ!」


(い・い痛い!)


 ハッとして目が覚める。


”ニャー”


目の前に猫……三毛猫オトアに、その時はっきりと、


≪テンタ君起きた?≫


とミリーさんの声が頭に聞こえる。


(あっ、念話か!)


ハッとした俺は念話に答える。


≪はい、テンタです、ミリーさん≫


テンタの声に安心したように


≪よかったぁ~、無事ねw≫


とミリーさんの言葉に、俺は自身の体を確認し、三毛猫オトア


も、ちゃんと俺の側に居ることを確認し、


≪はい、無事ですw≫


と俺が答えると、


≪オトアちゃんの話だと今洞窟らしいけど、どこの洞窟かわから


ない?≫


とミリーさん言われ、


≪へっ、洞窟!?≫


慌てて周りを見回すが、暗くて何も見えない。


ただ、今いる地面がかなり湿っぽいって、事だけはわかる。


 仕方ないので、起き上がり、


赤着せきちゃく!」


変身ポーズをとり、べルトバックルに取りつけた、楕円の金属板が


光る。


と同時に俺の体が赤い光に包まれ、俺は、赤いコンバットスーツ


姿になるとすぐに、


「宇宙シェリフバルバン!」


と再びポーズを決めるのだった。


(ん―――っ、こんな時にキメのポーズっていらんよな~)


とは、自分でも思っている、思っているけど、トムさんに叩き込


まれていて、体が勝手にポーズをとてしまうのだ。


「ナイト・スコープ!」


自身の視界を暗視モードに変える。


 天井までの高さ約4mほど、幅は2mほどの……洞窟?


天井のあちらこちらから、ポタポタと水滴が落ちてきていて、


壁も鍾乳石のように滑らかっぽい。


そして、前方に行くにしたがって、緩やかに下って行く感じ。


(鍾乳洞!?かな)


と思い、


≪どっかの鍾乳洞見たいです≫


とミリーさんに答えると、


≪鍾乳洞!?、あの付近にそんなのあったかしら≫


俺の答えに驚き言うミリーさんだったが、続けて俺に


≪こちらで調べるから、しばらく2人はそのままじっとして


おいてね≫


と言われるので、


≪わかりました≫


とミリーさんの念話に俺は返事するのだった。













 ミリーさんには、ジッとして居ろと言われたが、前方の方が


少し明るいような気がしたので、そちらに三毛猫オトア


一緒に行ってみることにした。


 天井までの高さ約4mほど、幅は2mほどの洞窟は緩やかに下


っている。


 しばらく進むと、学校の教室2つ分くらいの広さの広場のよう


なところに出た。


 天井までの高さ……約10メートル。


天井からは、つらら状の鍾乳石が伸び、広場奥にあるテーブル型の


鍾乳石が連なる所に……何かいた。



\ピッ/


【ガーゴイル】

HP     200


MP      150


運動性   100


攻撃力    200


防御力    200


命中       80


回避 60


×1


目から石化光線、口から高圧水流



(ヤバイ!)


咄嗟に、ビームガン(光線銃)を抜こうとするが、右の太腿の装甲


版が開かない。


「あれっ!?」


すると、ガーゴイルが目から石化光線を出した。


\ピー/


≪あぶない!テンタ君≫


三毛猫オトアが、サッと俺の前に回り込み、バリアーを張る。


\\ビシュ//


三毛猫オトアの張ったバリアーで、かろうじて俺の石化が


免れた。


≪どうしたのテンタ君!?≫


≪いや、装甲版が開かない!≫


\ピッ/


【テンタ(コンバットスーツ装着時)】


 HP    500


※MP    0/150


 運動性   100


 攻撃力   700


 防御力  600


 命中     88


 回避 82



\ガーン!/


(エネルギー切れ!!)


と思た瞬間、視界が真っ暗になり、体にズシンとコンバットスーツ


の重さを感じる。


≪エネルギー切れだ!≫


と俺が三毛猫オトアに言うと、


≪えっ!≫


驚く三毛猫オトア


≪何も見えないよ、オトア≫


≪とにかく、リバースして≫


俺の泣きそうな声に、三毛猫オトアが的確に俺に指示する。


≪ああ、わかった、リバース≫


その間も、口から高圧水流を浴びせてくるガーゴイル。


\\ビッシャー//


\\バッシャー//


それを跳ね返す、三毛猫オトアのバリアー。


コンバットスーツをリバースして、元の姿に戻ったものの、


周りが暗すぎて見えない。


≪見えないよオトア≫


と弱音を吐く俺に、


≪私が誘導する!≫


と冷静に答える三毛猫オトア


≪わかった≫


俺は、三毛猫オトアにそう返事を返すと、左脇から銃を


抜き、フレームからシリンダーを横に振り出して、ゴブリン戦


で撃った、空薬きょうを地面に捨てる。


\チャリンチャリン/


で、


すぐさまスピードローダーを取り出し、素早く弾を装填し


シリンダーを元の位置に戻す。


≪オトア準備できたよ≫


と俺の合図に三毛猫オトアが言う。


≪1時の方向≫


三毛猫オトアの指示に俺は頷き、銃を構え撃つ。


\\バキュン//、(((ワ~ン、ワ~ン、ワ~ン)))


「うっわ!」


”ニァー!”


発射音が当たりに響くき、驚く俺と三毛猫オトア


\\バッキーン//


岩を砕く音も同時に聞こえたが……。


≪ダメ!、テンタ君、左足に当たっただけ≫


\\ビッシャー//


\\バッシャー//


ガーゴイルもこちらに攻撃してくる。


≪横方向11時、腕は45度≫


三毛猫オトアのさらなる指示が飛ぶ。


≪うん≫


\\バキュン//、\\バキュン//


(((ワ~ン、ワ~ン、ワ~ン)))


今度は2発発砲。


\\バッキーン//


\\\ドス~ン///


≪やったか!≫


俺の言葉に、


≪ううん、ダメ、だけど左の翼を破壊したわよ≫


の言葉に続いて、


≪奴は動けない、そのままの位置で腕を10度下げて≫


≪うん≫


三毛猫オトアの指示に俺は頷き。


\\バキュン//、\\バキュン//、\\バキュン//


3発発砲する。


\\バッキーン//、\\バッキーン//、


\\バッキーン//


(((ワ~ン、ワ~ン、ワ~ン)))


”パラパラパラ”


\ボト/、\ボト/、\ボト/


何やら、砂と一緒に天井から落ちてきたものが、


あるみたいだが……。


≪やったか!≫


≪うん≫


三毛猫オトアのその言葉に俺は銃を下すのだった。


 ただ、今だに耳鳴り……銃の発射音の反響が、頭に残る


俺と三毛猫オトアだ。




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