26話 クリスタル警察署






------(第三者視点)------☆






 時間は、テンタ達がデーモンゴブリンジェネラルやデーモン


ゴブリンキングと戦いを始める少し前までさかのぼります。


 聖クリスタル国中央区、ここは、この国の中心部であり、


教会関係施設(悪特隊本部やCG隊本部含む)があるため、


全世界にいるクリスタル教信者が訪れ、大変にぎわう場所で、


そのため、商業、旅館業が集中している場所でもある。


 ここに、聖クリスタル国に訪れる他国の人のために、エクス


チェンジャーと言う所謂、手数料を取り、他国のお金をクリス


タル国のお金に両替する両替商も存在している。


その中でも大手の両替商、”カムカム・エクスチェンジャー”


商会が、ここ、中央区の一番南側、クリスタル教会本部から


4ブロックほど南にある。


 聖クリスタル国の東区から、ここ中央区の大通沿いにある


明治時代の銀行のような石作りの3階建ての建物。


”カムカム・エクスチェンジャー”の前に1台の幌馬車が停ま


る。


 停まった幌馬車の御者台から、白のタキシードにシルクハ


ットの紳士風の姿をした男が降りると、幌馬車の中に居た


フード付きのローブで、フードを深くかぶった10人の


男達も馬車を降りる。


 白のタキシードにシルクハットの紳士風の姿をした男が、


建物正面の扉を押し開け中に入ると、それに続いて、10人


の男達も建物の中に入った。


 この白のタキシードにシルクハットの紳士風の姿をした男の


名はオクトー。


悪魔男爵配下ナンバー8のベビルデーモン級の悪魔だった。


 建物の中は、現代の銀行に似た構造で、開店と同時に両替に


訪れる人々でにぎわっていた店内も、今はお昼前と言う時間帯


で、訪れる人もまばらになっていた。


 オクトーが、カウンターの前に進み出た。


「いらしゃいませ、クリスタルコインへの両替でしょうか?」


とカウンターの係の女性が、オクトーに訪ねると、


「いえいえ、私どもは両替に来たのではありませんよw」


とにこやかにカウンターの女性に言う。


その言葉に、


「はぁっ、?……では、どのようなご用件でしょうか?」


戸惑うカウンターの女性。


 オクトーは、戸惑うカウンターの女性ににっこり微笑んで、


「それはねぇ……w」


と言いかけ、カウンターの女性はオクトーの次の言葉を待って


いると、急に悪魔の様な形相に変わり言う。


「ここにある金を全部いただきに来たのさ」


「ひえぇ~っ!」


オクトーの言葉と形相に驚き震えるカウンターの女性。


そして、オクトーの言葉と共に、オクトーの後ろに居た10人の


男達は、一斉に深々とかぶっていたフードを脱ぐ。


\キャー/


\うわぁ~/


フードを脱いだ10人の男達の姿を見て、店の店員や客が


驚き悲鳴を上げた。


 その姿は……頭は山羊で体が人間……そう、レッサーデー


モンが人間に宿った悪魔人間だった。


 その騒ぎを聞きつけ、店(両替商カムカム)に警備員とし


て、雇われていた冒険者2人が店の奥から現れる。


「どうかしたのか!?」


 店の奥に居た店主らしき人物に、訪ねる普通人族(東洋系)


の革鎧を着た剣士。


「……」


 ただ、店の奥に居た店主らしき人物は、何も言わず、震える


指で、カウンター前に居る男を指さした。


「んっ、?」


不審に思った革鎧を着た剣士は、バトルアックス(大斧)を持


ったもう一人のドアーフの冒険者と共にカウンター前へと向


かう。


そして、カウンター係の女にもう一度聞く。


「どうした?」


鎧を着た剣士に聞かれたカウンター係の女は、


「あわわ、あわわ」


と言いながら震える指で、オクトーを指さした。


それを見た革鎧を着た剣士は、隣に居たドワーフと共にカウンタ


ーを乗り越えオクトーの前に立つ。


「あんた、何者なんだ!?」


と尋ねるが、オクトー男は、薄笑いを浮かべ言う。


「ただの、悪魔ですよw」


オクトーがそう言うと、オクトーの後ろに居た10人の悪魔人間


が、その男後ろに整列した。


それを見た革鎧を着た剣士は腰の剣を抜き、居たドワーフもバト


ルアックス(大斧)を構えるが、


”シュッシュッシュッ”


\ブス/、\ブス/、\ブス/、


「グフッ」


「かはっ…」


オクトーは、目にもとまらぬ速さで、ステッキを振るい、革鎧を


着た剣士とドワーフの心臓を突き言う。


「ん―――、やはり並みの魂ってとこですね」


”ジュリジュリ”


とステッキの先をなめる。


\キャー/


\ひぇ~/


 店の奥に居た店主らしき人物は、この様子を見て、震える手で、


自身が座る机の下のレバーをそっと倒した。


 その瞬間、


オクトーが、いつの間にか、自身の側いることに気づき驚く。


「へっ!……」


震える店主に向かって、オクトーが言う。


「金庫を開けてもらおうか?」


「あっ、はい」


と返事をしながら、その言葉に顔がこわばりながらも、机の引き出し


から、金庫のカギを取り、ゆっくりと金庫の扉前に移動した。











 店主が、秘密のレバーを引いた直後、屋上にある小さな鳩小屋の


扉が開き、中から1羽のハトが、北東の方に向かい飛び立った。


\バタバタバタ/












 時を同じくして、ここは聖クリスタル国の中央区、メインの大通りより


2筋東にあるクリスタル警察署。


 正面玄関には、明治時代の警官のような黒い爪入り(学ラン)に似た


服を着、腰には日本刀を刺した門番役の警官が2名立つ。


 レンガ作りの3階建ての建物で、3階は、署長などの幹部の部屋があり、


2階は、宿直のための仮眠室、休憩室などがあり、その1階部分には、


警察署の受付と各課のオフィースがあり、それらは、ワンフロアになった


作りになっていた。


そこへ、身長172Cmほどの普通体系の白人風の中年の男と身長169


Cmほどの猫人(黒猫人)が、昼食を終え、警察正面玄関から署内に入る。


 名前は、ケヴィン・ロックハート40歳(白人系)階級は巡査部長。


転生者で、彼のブランチは日本の刑事ドラマ”ヤバ刑事”滝沢敏樹。


通称タッキー。


そしてもう一人がコラット40歳(猫人)階級は同じく巡査部長で、


彼も転生者である。


彼のブランチは日本の刑事ドラマ”ヤバ刑事”大川勇人。


通称ユウジン。


 玄関正面の受付に、軽く会釈をして、L時のカウンターを置へと進む。


受付のすぐ後ろの交通課、そしてその後ろの警邏課けいらかの横を


抜け、一番奥の刑事課にたどり着いた2人はカウンターの切れ目から、


自身の机に戻る。


 カウンターから見て左奥の席がケヴィン・ロックハートで、その右隣


がコラット(黒猫人)。


そして、ケヴィン・ロックハートの向かいに座るのが、同じく白人系で


身長175Cmの男性、ロッド・ラフィット35歳で、階級は警部補。


彼も転生者。


彼のブランチは、日本の特撮ヒーロの”ロボットデカ・D《ディ》”


その隣に、同じく白人系身長165Cmの女性ローラ・リチャードソン


22歳(ちなみにCカップ)、階級は巡査。


彼女も同じく転生者で、ブランチは、日本のアニメヒロイン”ミスティー


ハニー”


そして最後に、ケヴィン達の左奥、課長の席に座るのは、白人系、身長


175Cmの男性、パトリック・ダナウェイ40歳、階級は警部で、


この刑事課の責任者である。


彼も他のメンバー同様転生者で、ブランチはアメリカの刑事ドラマ


”刑事コンボ”のピーター・コンボだ。


ケヴィンとコラットが席に着くのを横目で見ながら、食べ終わった”愛妻


弁当”の弁当箱を自身のカバンに仕舞う。 


まさにその時だった。


壁に設置した連絡用鳩小屋に1羽のハトが入って来た。


\バタバタバタ/


”クルックル”


それを見たロッド警部補が、鳩小屋からハトを取り出した。


「どこのハトだ」


とダナウェイ(刑事課長)がD《ロッド》警部補に聞く。


「えー、CCS4-11です警部」


そのロッド警部補の言葉を聞いたケヴィン《タッキー》が、壁に


貼ってある地図を見て、ダナウェイ(刑事課長)に言う。


「両替商のカムカム・エクスチェンジャーです警部」


その言葉にダナウェイ(刑事課長)が全員に言う。


「みんなブランチに変身後、直ちに現場に向かうぞ」


「「「「はい!」」」」


ダナウェイ(刑事課長)の言葉に全員がブランチ姿に変わる。


「ユウジン行くぞ」


「Ready.action!」


まずは、ケヴィンとコラットがダークスーツにサングラスと言う


”ヤバ刑事の滝沢敏樹タッキー大川勇人ユウジンの姿に変わり。


続いて、


「ミスティーフラッシュ!」


\ピッカー/


ローラの体が光に包まれ、赤とピンクのボディースーツ姿の


”ミスティーハニー”へと変わり、ミスティーに続き、ダブルの


スーツにハンチング帽姿のロッドがかぶっているハンチング帽を


投げると……。


”ロボットデカ・D《ディ》”(無骨なロボット)へと変わった。


そして最後にダナウェイ(刑事課長)が、スーツの内ポケットから、


葉巻を出し、それに火をつけると……。


よれよれのコートにぼさぼさ頭の”刑事コンボ”の姿へと変わった。


 刑事課全員がブランチ姿へと変わり、署の玄関へと出る。


警察署の玄関には、数台の犬力車(人力車)が止まっている。


「トール出せ!」


その中の1つの金色の派手な犬力車(人力車)にタッキー《ケヴィン》


とユウジン《コラット》が、飛び乗り犬人のトールと呼ばれる車夫に


言うと、


\\ワオーン//


遠吠えしながら走り出した。この犬力車(人力車)の車夫の遠吠えは、


所謂、サイレンの代わりである。


 続いて、ミスティーハニー《ローラ》と刑事コンボ《ダナウェイ》の


乗った黒い犬力車(人力車)も走り出す。


そして、少し大型で、車夫が2人がかりで動かす犬力車(人力車)に


ロボットデカ・D《ディ》(ロッド)が乗ると、犬力車(人力車)は


ゆっくりと動き出した。


※【ロボットデカ・D《ディ》は、体がかなり重いため、犬力車


(人力車)はスピードが出せないのだ】












 一方、”カムカム・エクスチェンジャー”(両替商)では、


オクトーが、店主に金庫を開けさせ、その金庫前にシルバースターのドン


のアル・コルレオーネとレッサーデーモンが同化した悪魔人間と、アル・


コルレオーネの腹心だったロバート・ヘイゲンとレッサーデーモンが同化


した悪魔人間2体を呼ぶ。


「さぁ、好きなだけお金を持っていきなさい」


「……」


その言葉に無言の2体の悪魔人間(レッサーデーモンが同化)


それを見てオクトーが呟く。


「まぁ、最も、元の意識も記憶もないでしょけどね」


と薄笑いを浮かべた。


 しかし、オクトーに「お金を好きなだけ持っていけ」と言われた


悪魔人間2体は、オクトーに命じられた通り、無言で、手に持って


いた、ずた袋にお金を詰めるのだった。


その様子を見たオクトーは、店内を見回す。


 すでに、正面玄関はカギをかけ、玄関の両開きの扉の取っ手を


チェーンで、ぐるぐる巻きにし、店員やお客も、後ろ手に手を縛り、


目隠しをさせて、カウンター前の床に転がせていた。


「んっ、そろそろ、あの箱の効力が切れるころですねぇ」


と呟き、


「では、ここは任せましたよ」


と店に居るレッサーデーモン達に声を掛け、持っていたステッキを


掲げると、


「無の具現たる深淵よ 我を彼の地に連れて行け」


と呪文を唱え、\ボワ/っと姿を消すのだった。











\\ワオーン//


 遠吠え《サイレン》を聞いて、”カムカム・エクスチェンジャー”


(両替商)近くの交番からも学ラン風の服を着た警官達が集まって


来る。


 クリスタル警察署刑事課の面々の乗った犬力車(人力車)が次々に


現場カムカム・エクスチェンジャーに着き、集まった警官達に


支持を出し、付近を封鎖した。


「ここからだと、中の様子が見えんな」


と言う刑事コンボ《ダナウェイ》の言葉に、横に居たロボットデカ


・D《ディ》(ロッド)が頷くと、


「マウスロボ・ゴー!」


と叫んだ。


すると、両足の甲の装甲版が跳ね上がり、ロボットネズミが2体


出てきた。


”チュウチュウ”


出てきたロボットネズミ2体は、建物の排水溝を見つけると、


排水溝の中へと入って行った。













 ”カムカム・エクスチェンジャー”(両替商)の通りを挟んで


向かい側の喫茶店を借り、対策本部を立ち上げる。


 そこへ、悪特隊のドルフキャップはじめ、フォルン隊員、グラン


隊員が入って来た。


それを見た責任者の刑事コンボ《ダナウェイ》が言う。


「どうして悪特隊が?」


その言葉に悪特隊のドルフキャップが答える。


「いや、一瞬だが、ここにベビルデーモン級の悪魔の反応があったんだ」


「えっ、この事件悪魔が関係してるんですか?」


ドルフキャップの言葉に驚き聞く、ミスティーハニー《ローラ》に


「ああ」


と短く答えるドルフキャップ。


その時だった。


「もうすぐ中の様が見えると思います」


とロボットデカ・D《ディ》(ロッド)が言う。


「よし、映像を映し出せ」


と刑事コンボ《ダナウェイ》が言うと、制服の警官に命じて、


ロボットデカ・D《ディ》(ロッド)の前にスクリーンを張った。


すると、ロボットデカ・D《ディ》(ロッド)の目から光がスクリ


ーンへと当たり、店内の映像が映し出された。


\\おお!//


ロボットデカ・D《ディ》(ロッド)が映し出す映像を見て、一同


声を上げる。


「これは……ベビルデーモン級ではなく……」


とタッキー《ケヴィン》が言いかけると、


「ランドウの時と同じじゃないかタッキー」


同じく映像を見たユウジン《コラット》の問いに


「ああ、これはベビルデーモン級と言うより、レッサーデーモンが


人間と同化した悪魔人間だ。」


とタッキー《ケヴィン》が言う。


「全部で8人か……」


と言う刑事コンボ《ダナウェイ》に、


「いいえ、これを見てください」


とロボットデカ・D《ディ》(ロッド)が、もう一体のマウスロボの


映像に切り替える。


「金庫室に2人か……合わせて10人の悪魔人間に、人質が8名」


とロボットデカ・D《ディ》(ロッド)が、映し出す映像に、刑事コンボ《ダナウェイ》。


「一気に行こうぜ警部(刑事コンボ)!」


と刑事刑事コンボ《ダナウェイ》に言うユウジン《コラット》の言葉に、少し


呆れたように、


「おいおい、ユウジン《コラット》前回、3人倒すのにどれだけ苦労したと思っ


てんだ」


「それに、奴らに有効な※MPD弾だって5発なんだ、一度に10体は


無理だろう?」


とユウジン《コラット》に言うタッキー《ケヴィン》。


※相手の体内の魔力を外に放出する効果のある黒い弾丸



「でもよ、あんときは2人だったからじゃないか、今はロボットデカ・D《ディ》


(ロッド)とミスティーハニー《ローラ》もいるんだし、第一悪特隊だっている


じゃないか、全員で行けば何とかなるって!」


と言い張るユウジン《コラット》。


その言葉に、


「おいおい、そんなに大勢で店内で戦闘できんだろ、前回の倉庫のような


広いスペースではないんだぞ……」


とユウジン《コラット》を説得するように言う刑事コンボ《ダナウェイ》。


その刑事コンボ《ダナウェイ》の言葉を肯定するように、


「第一、人質が8人もいるんですよユウジン《コラット》さん」


とミスティーハニー《ローラ》までもが、ユウジン《コラット》の意見に


反対した。


 みんなに作戦を否定されたユウジン《コラット》は少しへこむ。


 その時だった、


\\ピン//、\\ピン//、\\ピン//


と言う電子音と共に、悪特隊ドルフキャップの胸の五芒星のバッヂが


光る。


着ていたローブをめくり、胸のバッヂを押す。


「どうした!?」


のドルフキャップの言葉に、本部のオーブ隊員(女性)が答える。


『あっ、キャップ!さっき消えたベビルデーモン級の悪魔の反応が……』


「何っ、反応はカムカム・エクスチェンジャー店内か!?」


のドルフキャップの問いに、本部のオーブ隊員(女性)が、


『いいえ、別の場所です!』


と答える。


「どこだ!オーブ隊員」


とドルフキャップが場所を聞くと、


「……待ってください……、あっ出ました、クリスタル警察署です!」


このオーブ隊員(女性)の言葉にそこに居た全員が驚のだった。


「「「「「えぇ――――――っ!」」」」」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る