23話 初めてのゴブリン戦






 俺達が陣形の話し合いで、陣形が決まったころ。


俺達から離れて、別のテーブルに座っていたリャン先生のもとへ、


砦の職員らしき人が近づき先生に耳打ちする。


「うん、わかった」


職員からの話を聞いたリャン先生は、そう言うと徐に立ち上がり、


「みんな聞いてくれ、ゴブリン達が集まってきたようだ、今すぐ


1階に集合してくれ」


と言う。


「「「「「「はいw」」」」」」


先生に言われ、全員で元気よく返事をした。


(いよいよだ)












 砦1階に俺達は集合した。


「よし、各自戦闘形態になれ」


集合した俺達にリャン先生が言う。


「「「「「「はい!」」」」」」


元気よく全員で返事した後、まず、マヤさんが変身ブランチする。


「デ~ィモン~!」


\\バリバリバリ//


マヤさんの体が違う女性の体に変わる。


と同時に体の周りで放電が起こり見る見る体が変化してくる。


服が破け……。


(おー!)


これ以上は言えない。


腕、足が黒い体毛に覆われ、胸と大事なところも毛で覆われている。


 で、


背中には蝙蝠の羽が生えたいかにも悪魔って感じの姿になる。


身長が175Cmほどだが、本来は身長175Cm~20mと身長も


自由に変えられるらしいが、今はブランチレベルが低いため大きくは


なれないそうだ。


胸もマヤさんの時はDカップだったのがさらにEカップ(テンタ推定)


とでかくなったようだ。


 次にソマーズ・ワグナーさんは、が変身ブランチの前に、小槌を出して、


モーニングスターと呼ばれる(棘付の鉄球に鎖で持ち手とつないだ武器)を


取り出してから、


「サイバティック!」


と叫び変身する。


 だが、これまたマヤさんと同じようにワグナーさんとは違う身長172Cm


の細身の白人女性へと変わる。


 ただ、マヤさんのようにお胸のサイズは変わっていないようだ。


このサイバティック・ジェイミーは、ジェイミー・ワグナーと言う女性


宇宙飛行士が事故で、左手、両足、左目、右耳を失ったが、ある政府の


秘密機関にサイボーグ手術を施され、その能力を使って悪と戦うと言う


ものらしい。


その次は、マイケル・バウアーさん。


「チェンジ!」


と言いながら変身ポーズを決めると、半分黒で半分白色の身長2mの


戦闘アンドロイドの姿に変わる。


 なぜ半分黒で半分白かって言うと、設定ではこのアンドロイド


メカイダーを作成したのは、作成者の博士が悪の組織に捕らわれ無理やり


戦闘アンドロイドを作らされていた時に、その組織から脱出するため、


組織の目を盗み秘密裏に作成していたため心臓部(動力)の小型核融合炉


が不完全なため、それを補うためにボディーの半分にソーラーパネルを


配したため……らしい。


バウアーさん続いては、ルーク・ジョーダンさん。


「チェンジ・メカイダー00《ダブルオー》!」


とこちらも変身ポーズを決める。


身長2mの全身真っ黒の機体。


これは、メカイダーを制作した博士が若かりし頃作成した戦闘アンドロイド。


 言わば、メカイダーのプロトタイプ。


 完成したメカイダー00《ダブルオー》は、戦闘力が高いものの、動力エネルギー


を太陽光に頼っていたため、太陽光がない所では戦闘力が1/10となるなどの欠点


により、開発後破棄されていたのだが、悪の組織と戦うメカイダーが見つけ、


再起動させ共に戦うこととなったと言うことらしい。


 なので、ボディーが真っ黒なのはすべて太陽光パネルなんだとか。


その次変身したのは、アルウェン・メルさん。


「サイキックパワーオン!」


身長185Cmで細身アルウェン・メルより少しお胸が大きくなる(Dから


Eかップ)チューブトップの水着型衣装におでこにはティアラをつけ、ロング


ブーツを履いた細身の女性って感じ。


 これは、サイキックレディーが幼いころ(少女時代)に宇宙人の円盤にさら


われ、その時に宇宙人からサイキック能力を付与されたって設定らしい。


(確かにその恰好で前衛は……危ないかも)


で、最後に俺が変身(強化スーツ)する……前に、


三毛猫オトアをお願いします」


と言って、リャン先生に三毛猫オトアを預ける。


「おお」


”ニャー”


おっかなびっくりで、リャン先生が三毛猫オトアを受け取る。


そして、


「赤着(せきちゃく)!」


変身ポーズをとり、べルトバックルに取りつけた、楕円の金属板が光る。


と同時に俺の体が赤い光に包まれ、俺は、赤いコンバットスーツ姿になるとすぐに、


「宇宙シェリフバルバン!」


と再びポーズを決めるのだった。


一連の俺達の変身を見ていたリャン先生が、俺の変身後のポーズを見終え


言う。


「もういいかな」


(あっ、はい)












 砦ジャスダムの1階と言うか、テーブルマウンテン下部にある大きな門の


ような扉が開く。


”ギー”


\バタン/


 扉(門)が開き俺達は一斉に飛び出した。


 砦ジャスダムの扉(門)の正面300mの所にそいつらは居た。


 そいつらは、そこに置かれた金銀宝石やピカピカ光る武器らしきものに


群がっていた。


 奴らが群がる財宝らしきものは、金貨に見えるのは黄銅のコインだし、銀貨は


唯の鉄のコイン、宝石類に至ってはただのガラス玉だし、武器はどれも木製の物


にピカピカ光る塗料を塗っただけの模造品である。


 ここで、俺とサイバティック・ジェイミー《ワグナー》さんが索敵を掛ける。


俺は、バトルスーツの機能のサーチャースコープを使い、ジェイミー《ワグナー》さんは


ブランチ能力の『分析』を使う。


【ゴブリン】データー


HP     100


MP       40


運動性    70


攻撃力     80


防御力     40


命中       68


回避 60


×40



【ゴブリンリーダー】データー



HP     140


MP      50


運動性   80


攻撃力   120


防御力   60


命中      80


回避 70


×4


ゴブリンリーダーとは、3年経ったゴブリンで、魔核が少し成長し


たものが進化してなる。


10人程度のゴブリンを従えることができるらしい。



 俺とサイバティック・ジェイミー《ワグナー》さんが索敵した


データーを、念話でメンバー全員と共有する。


 全員がデーターを共有した時、サイキックレディー《メル》さんが


みんなに号令をかけた。


「みんな~配置についてぇ~!」


サイキックレディー《メル》さんの号令の下、俺達は先ほど話し合っていた


陣形を取った。


 前衛壁役は、メカイダー《バウアー》さんと、メカイダーOO《ダブルオー》


(ジョーダン)さんで、左翼にサイバティック・ジェイミー《ワグナー》さんに


右翼がバルバンで、後方に司令塔としてサイキックレディー《メル》さん、


そして空が飛べるデーモンレディー《マヤ》さんが上空に待機する。


 俺達が陣形を組んだところで、宝物(偽物)に群がっていたゴブリン


達が俺達に気づいた。


 慌ててあちら(ゴブリン達)も陣形を取る……って言っても唯、各4体


居るゴブリンリーダーの前に10体づつ整列しただけの陣形。


(小学校の朝礼じゃないんだからさ)


 整列したゴブリン達は、手に持っている武器を構える。


っていってもな……殆どが石斧や石槍で、中に数体は錆びた金属製の剣や


槍を構えてが……。


 中でもゴブリンリーダー達4体は、偽宝物からピカピカの剣や槍を持ち


出し構えている。


(それ、中身は木製ですけど)


 陣形の後方に居たサイキックレディー《メル》さんが、


「サイキックフリーズ!」(念動力による金縛り)


と叫ぶと整列するゴブリンの前から3列のゴブリン達が固まった。


サイキックレディー《メル》さんの念動力による所謂金縛り。


その動けなくなったゴブリン達をメカイダー《バウアー》さんと、


メカイダーOO《ダブルオー》(ジョーダン)さんで、


\ズゴ/、\バコ/、\ドスッ/


キックやパンチで蛸殴り。


そして、その間にサイバティック・ジェイミー《ワグナー》さんとバルバンがゴブリン


達の左右に回り込み


「レッドバスター!」


”ビシューン”


 俺はビームガン(光線銃)で攻撃、


\ズキュン/


そしてサイバティック・ジェイミー《ワグナー》さんはモーニングスターをぶん回して、


\ドゴッ/、\ドスッ/、\ボスッ/


次々とゴブリン達を倒して行った。


 その間、空中からデーモンレディー《マヤ》さんが、


「デーモンクロー!」


”ピシュン”、”ピシュン”、”ピシュン”、”ピシュン”、”ピシュン”


指の爪をマシンガンのように飛ばし攻撃。


 戦闘時間はおおよそ3分30秒。


 あっという間に40体のゴブリンと4体のゴブリンリーダーが一掃された。


「へへ~ん、新記録っしょw」


と自信満々に言うメカイダーOO《ダブルオー》(ジョーダン)さんに、


リャン先生が言う。


「いや、今までの最高記録は、ゴブリン50体とゴブリンリーダー5体で


……、たしか58秒だったかな」


「えっ、え——!」


驚く、メカイダーOO《ダブルオー》(ジョーダン)さん。


 そこに同じく先生の言葉驚いたメカイダー《バウアー》さんが先生に聞く。


「ど、どこのチームですか!?」


との問いに少し考えたリャン先生が言う。


「確か……ガンブレイブだったかな?」


(えっ、うちのチームじゃん)


その時、口にはしなかったが、頭の中にカイゼルさんが、ガンボー(ブランチ)


の能力で思い切り重火器を並べ撃ちまくる姿が浮かんだ。














 ゴブリンとの戦闘を終え、ゴブリン達の魔核を回収後、一旦、ジャス


ダム砦に戻って来た。


”シャー”


 俺は自室に戻り、今シャワーを浴びてるところ。


 他のみんなは、食堂で早めのお昼を食べている。


彼らは、戦闘ではブランチと言うアバターで戦っているので、俺の


ように自身の体で戦ってるわけではない……ゆえに、汗をかかない


からなんだけど……。


 少し俺は羨ましく思うところがあるが、それは仕方ないことだ。













 3階の自室から2階の食堂へと俺は向かった。


 食堂に着くと、すでにみんなはお昼ご飯を食べていた。


「よぉ~テンタ、お前も早く食べろよ~」


とメカイダーOO《ダブルオー》(ジョーダン)さんが、俺に声を


掛けてくれた。


メカイダーOO《ダブルオー》(ジョーダン)さんを見ると、


お皿にはパンのようなものが5つ置いてあり、両手に2つ持って


”ムシャムシャ”と食べていた。 


「ああ、はい」


(お昼はパンなのか?)


 俺は、メカイダーOO《ダブルオー》(ジョーダン)さんの座る


テーブルと反対側の厨房の前にあるテーブルへと向かう。


 お盆を取り、お皿を取り……テーブルにある大皿に積み重ねら


れたパンのようなものを見る。


(?サンドイッチか)


 所謂、ピタパン(中が空洞になっている丸いパン)を半分に切り、


中に肉や生野菜を詰めたもの……?


ケバブサンドと言われるものだ。


それを4つ取り、横にあるスープカップを取ってから、スープ鍋の


スープをカップにそそぐ……。


(あれ?そーいや三毛猫オトアはどこだ)


と、ふと思い振り返って、みんなが食事するテーブルの方を見ると、


メカイダーOO《ダブルオー》(ジョーダン)さんの反対側の部屋の隅で


サイバティック・ジェイミー《ワグナー》さん、デーモンレディー《マヤ》さん、


サイキックレディー《メル》さんが座るテーブルの上に三毛猫オトアを発見した。


 何やら、三毛猫オトアを含む女性陣で、”ペチャクチャ”おしゃべりしながら、


食事を取っている様子。


(なんで、サイバティック・ジェイミー《ワグナー》さん達三毛猫オトアとしゃべれるんだろう?)


とふと疑問が湧いたが、よくよく考えたら、みんな冒険者の卵なんで、例の


念話の数珠をつけていることに気が付く。


三毛猫オトアの首に着けているのが、念話の数珠だと気づきそれで、おしゃべり


しているのだろうと分かった。


≪ごめん、テンタ君先に食事してる≫ 


と俺と目が合った三毛猫オトアが念話で話しかけてきた。


そして、俺の方に来ようとするので、俺が止める。


≪いい、いい、せっかくみんなと食事してんだから、そのまま、そのまま、


みんなと食事してて≫


≪でも、テンタ君1人に……≫


とさらに気を使ってくるので、


≪いや、いいって、俺はジョーダンさんのテーブルで食べるから≫


って言って、三毛猫オトアを止めた。


 本音を言えば、ワグナーさん達女性陣に少しジェラシーだが、


元々三毛猫オトアは、明るく人懐っこい性格で、クラスの人気者だった。


 そんな三毛猫オトアを俺は好きになったんだ。


彼女に変に気を使わせて、彼女の良さを奪いたくないって気持ちで、


少々無理をしたんだけどね。


 ってことで、俺はジョーダンさんの座るテーブルに向かい、


「ここ、よろしいですか?」


と聞くと、口いっぱいにケバブサンドを頬張ったジョーダンさんが、


「※△◆◎□よ」


(?何言ったんだこの人)


と思ったが、自身の隣の席の椅子をわざわざ引いてくれたので、


(多分、すわれってことだよな)


そう思って、


「失礼します」


ってジョーダンさんに断りを入れてから座った。


 見るとさっきまで皿に5つあったケバブサンドがもう2つしかない。


(けっこうはえーな)


「いただきます」


手を合わせ、さっそく一口”ガブリ”とケバブサンドにかぶりつく。


(うっま!)


(なかなかイケルではないか)


 今度はスープをいただいてみる。


”ズー”


と音を立てて飲んでしまったが……。


(野菜のコンソメ味のスープねw)












 俺が2つ目のケバブサンドにかぶりついた時、食堂に”けたたましい”


警戒音が鳴り響く。


「んっ」


喉を詰めそうになったので、胸を叩く俺を見て、すでにケバブサンドを


食べ終えた隣のジョーダンさんが俺の背中を叩いてくれた。


(結構、この人優しいんだな)


「どうした!」


別のテーブルで1人で食事をしていたリャン先生が、食堂に飛び込んできた


砦職員に聞く。


「いや、ゴ・ゴブリンが、ゴブリンが!」


息を切らし、慌てふためく砦職員に、不思議そうな顔でリャン先生が聞く。


「ゴブリンが来るのは当たり前だろう?来るように疑似宝物おいてるん


だから」


と平然と言う先生に、


「い・や・その・そうなんですがね、数が・数がね」


って砦職員が言うので、


「何匹だ!」


冷静に聞き返す梁(リャン)先生。


「ざっと、ご・ごひゃく(500)です!」


と砦職員が答えた。


「そんな馬鹿な!そんな数集まるわけない!」


と少し興奮気味に言うリャン先生に、


「本当ですって!」


と訴えるように言う砦職員。


「んっ、ってことはゴブリンゼネラルが居るって事か!?」


とさらに興奮気味に言うリャン先生。


「はい、ゴブリンゼネラルが5体……しかも、ゴブリンキング


までいます」


その言葉を聞くや否や、先生は食堂を飛び出した。











 しばらくして、血相を変えて帰って来たリャン先生が食堂に


戻ってくるなり、俺達に言う。


「全員、この砦から退避だ!」


「「「「「「えっ!?」」」」」」


先生の言葉に俺達全員驚く。


その言葉に、メカイダーOO《ダブルオー》(ジョーダン)さん


リャン先生に、


「先生、たかが、ゴブリンの500や600俺の必殺技で


一瞬に消し飛ばしてやるよ」


と自慢げな言い方をするジョーダンさんに、


「馬鹿かお前、いくらお前の必殺技でも500は無理だろう!」


っと一括するような言い方をし、さらに言う。


「ゴブリンゼネラルやゴブリンキングも居る……それにな


そのゼネラルやゴブリンキングはただのゼネラルやキングではない!」


「えっ、先生、ただのゼネラルやキングではないって?」


とデーモンレディー(マヤさん)が聞き直すと、


「悪魔が憑依してデーモンゴブリンジェネラルとデーモンゴブリン


キングなってんだぞ!!」


それを聞いた、俺、ジョーダンさん、バウアーさんの3人は、


「「「え――――っ!!!」」


と驚くのだった。








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