20話 悪魔の企みとミクドナルド



------(第三者視点)------☆




 テンタ達が居る大陸とは別の大陸の地下深く岩でできた、


地下城の以前の小さな謁見の間の様な作りの部屋を拡張し大


広間となった部屋で、玉座に座る悪魔皇帝ダリウス


(オトアの体)。


その向かって右に、玉座に次ぐ椅子に座る悪魔子爵ゴースン


(腕や下半身には岩のようなものが覆う女の姿)と、向かって


左の玉座に次ぐ椅子に座る悪魔男爵バンバ(坊主頭に、青白い顔


つきの男)が居た。


そして、ゴースンとバンバの前には、各配下の幹部が膝まづいて


いる。


「やはり教会が出張って来たか……」


悪魔皇帝ダリウス(オトアの体)がポツリと言う。


「デケムの動きが奴らに悟られた……か」


続いて、悪魔子爵ゴースンも呟く。


「デケムは我が軍団中で、悪魔波動を隠す一番の使い手……


そのデケムの動きが奴らに悟られるとは考えられん」


悪魔子爵ゴースンの言葉を、悪魔男爵バンバが否定するが、


「いや、波動を隠すと言ってもわずかながらは漏れる」


と悪魔男爵バンバの言葉をさらに悪魔子爵ゴースンが否定する。


「……バカな!100年前はそんなこと起こりえなんだ」


と悪魔子爵ゴースンに言い返す悪魔男爵バンバだが、


「いや、その100年の間に奴らがその技術を開発したと


言うことじゃろうて……」


と悪魔皇帝ダリウス(オトアの体)が言う。


「なっ、何と!」


その言葉に絶句する悪魔男爵バンバ。


「あの小僧と猫が、あの国に居る間は、うかつに手が出んと


言うことか……」


と少し考え込む悪魔皇帝ダリウス(オトアの体)。


と、そこへどこからともなく、みみずくが飛んできて、バンバの


腕に止まった。


このみみずくは、みみずくの姿に擬態したバンバの使い魔である。


みみずくは、バンバの耳元で何やらこそこそと話す。


それを聞いて、悪魔男爵バンバが叫ぶ。


「何と!それは誠か!」


驚く悪魔男爵バンバにみみずく頷いた。


「どうしたバンバ!」


悪魔皇帝ダリウス(オトアの体)が、悪魔男爵バンバに聞く。


「はっ、使い魔の報告によりますと、例の小僧が近々聖クリ


スタル国を離れるよしにございます」


と一旦お辞儀をしてから悪魔男爵バンバが答えた。


「近々あの小僧が……して、猫も一緒か!?」


と少し前のめりに言う悪魔皇帝ダリウス(オトアの体)に、


「それは……分かりませぬ」


俯き答える悪魔男爵バンバの言葉に悪魔子爵ゴースンが、


「いや、おそらく同行するであろう」


と口を挟む。


「「何と!」」


それを聞いた悪魔皇帝ダリウス(オトアの体)と悪魔男爵バンバ


が驚き声を上げる。


「何を根拠に申されるゴースン殿?」


と悪魔子爵ゴースンの言葉に悪魔男爵バンバが聞く。


「以前からの行動でもそうであったように、先日デケムに襲われ


た時も、小僧の前に立ち威嚇した挙句自身と小僧を守るための障壁


を張りおった」


「確かに……」


悪魔子爵ゴースンの言葉に、悪魔男爵バンバは同意する。


「あの猫自身、小僧を守る能力があるとは思えんが、少なくとも


守ろうとしていることは明白」


「なるほどな……」


悪魔子爵ゴースンの言い分を聞いて頷く、悪魔皇帝ダリウス


(オトアの体)。


「では、早速!」


と言って自身部下の方に振り返り、


「ノウェム!聖クリスタル国を出るあの小僧を猫の目の前でやれ、


そして、必ずやここにその猫を連れてまいれ!」


と配下のノウェム(左目眼帯をした紳士風の男)に命令をする。


「待て、バンバ!」


と配下に命令をする悪魔男爵バンバに、悪魔皇帝ダリウス


(オトアの体)が止める。


「はぁ?」


悪魔皇帝ダリウス(オトアの体)の方に振り返り言う。


「それでは、デケムの二の舞いになるだけじゃぞ」


悪魔皇帝ダリウス(オトアの体)にそう言われ、


「あっ、はい」


と畏まる悪魔男爵バンバ。


「そうですぞ、バンバ殿、小僧が単独行動をとると言っても、


悪特隊や転生者のあのバルジャンのこと、復活した我等(悪魔)


がそれを狙って来ると予想しているはず、必ずどこからか


助けに入ることは、目に見えておりますぞ」


と、悪魔子爵ゴースンが、悪魔男爵バンバを諭すように言う。


「ではどうすればよいと言うのか?ゴースン殿」


と聞き返す悪魔男爵バンバに


「陽動か?ゴースン」


と悪魔皇帝ダリウス(オトアの体)が言う。


「はい、左様で」


と答える悪魔子爵ゴースン。


「では、オクトー!お前は……」


と悪魔男爵バンバが言いかけると、白のタキシードにシルクハット


の紳士風の姿をしたオクトーと呼ばれるバンバ配下のベビルデーモ


ン級の悪魔が先に答える。


「はっ、さっそく!」


「いや儂はまだ……」


オクトーの返事に悪魔男爵バンバが言うと、


「我に策がございます」


と答えるオクトー。


「ほぉ~、策と申すと……」


悪魔男爵バンバに変わり、悪魔子爵ゴースンがオクトーに聞く。


「はっ、デケムが利用した転生者の居た組織を使いまする」


「転生者の居た組織を利用するとは?」


と言ってオクトーに聞く悪魔男爵バンバ。


「はっ、シルバースターは、警察に捕まった転生者の自白により、


今追い詰められておりまする、奴等を使い聖クリスタル国で事件を


起こせば、悪特隊や転生者のあのバルジャンをおびき出し、そこに


奴等を釘付けにするくらいはできましょう」


「ほぉぅ~それは名案じゃ、ならば任したぞオクトー」


オクトーの言葉を聞き、悪魔男爵バンバは言うと、


「ははっ」


オクトーがすぐさま、聖クリスタル国に向かおうとするのを、


「待て、オクトー」


と悪魔子爵ゴースンが呼び止める。


「はっ、」


悪魔子爵ゴースンが呼び止められ、振り向き傅くオクトーに、


「これを、持っていかれよ」


と小さな宝石箱を出した。


「ははっ」


恐る恐る、悪魔子爵ゴースンの前に出て、恭しく受け取るオクトー。



「これを使えば、聖クリスタル国の連中に貴様の行動は追えぬ」


「これはな、悪魔波動を消すアイテムじゃが……、これを使えば完全


に波動を消せる」


「しかし、1度きり、しかも12時間しか持たないアイテムじゃ、それ


を踏まえて使うがよい」


「ははっ」


オクトーの返事を聞いて、悪魔子爵ゴースンがノウェムの方を向いて


言う。


「小僧の相手をするノウェムこれへ」


とノウェムを呼ぶ悪魔子爵ゴースン。


「ははっ」


と畏まりながら悪魔子爵ゴースンの前に出るノウェム。


「これは、我達が復活するおり、我等の体の素となった奴らのおもちゃ


だ」


\ドサッ/


と言って、冒険者達が使っていた魔法の武器をその場に出す。


「何かの役に達かもしれん、持って行け」


「ははっ、ありがたく拝借つかまります」


と膝をついたまま頭を下げるノウェム。


その様子を見ていた悪魔皇帝ダリウス(オトアの体)がぽつりと言う。


「しかし、聖クリスタル国でデケムに荒らされたと言うのに、クリスタル


マン(柱)らが一向に姿を見せんとはな……」


それを聞いた悪魔男爵バンバが、


「デケムにに恐れをなしたのでは?」


と言うが、それを聞くなり、悪魔子爵ゴースンが言う。


「それはなかろうて、バンバ殿」


「はぁ、」


悪魔男爵バンバが、悪魔子爵ゴースンに自信なさげに返す。


「恐れ多くも、全盛期のダリウス様と互角の力を持つ奴らが、


我等の配下ベビルデーモン級のデケムに恐れをなすなどあり得ん


だろう」


と言い放つと、


「さようですな」


と悪魔男爵バンバが頭を下げて言い、


「何かを企んでおるのだろう……」


「いずれにせよ、今の我等では、奴等クリスタルマン


対抗する力はない」


と悪魔皇帝ダリウス(オトアの体)の言葉に、


「なにか対策を考えねばなりませんな」


と悪魔子爵ゴースンが言った。


その言葉に少し考えて、悪魔男爵バンバが言う。


「あれが使えるかもしれません」


「あれ?とはなんじゃ」


悪魔皇帝ダリウス(オトアの体)が悪魔男爵バンバに聞き返すと、


「デイダラー」


と答える悪魔男爵バンバ。


「しかし、あれはクリスタルマンエメラルドにバラバラにされ


……」


と悪魔皇帝ダリウス(オトアの体)が言いかけ、


「それにあれから100年、今そのバラバラにされた体がどう


なったか……」


と悪魔子爵ゴースンがダリウスの言葉を継いだ。


「いえいえ、デイダラーの体は私目が隠してございます、


奴等クリスタルマンの対策にあれをまず復活させましょう」


と言うや否や、配下に命令する。


「ウーヌム、ドゥオ、トリア、クァトゥオル、クインクゥエ、


セクス!その方らは彼の地に参って、デイダラーを復活させ


て来い」


「「「「「「ははっ」」」」」」


と6人の悪魔男爵バンバ配下が返事をする。


それを見て、


「我も一緒に参ろうか?」


と聞く悪魔子爵ゴースンに


「お気持ちはありがたいが、今ゴースン殿がここを離れたら、


誰がダリウス様をお守りすると言うのですか!?」


と言い返す悪魔男爵バンバに、少したじろぎながら、


「では、オメガ!お前が我の代わりに同行せい」


と言うと、目の前で傅いていたセミの頭に人間の体のが、

 

「ははっ」


と言うと、悪魔男爵バンバ配下の6人のもとに行き、


「では、ご同行いたす」


と頭を下げるが、クレオパトラ風の姿の女ウーヌムに


「ふん、好きになさるといいでしょ」


と良いながら、オメガ(セミの頭に人間の男)に背を向け、


「ドゥオ、クァトゥオル、クインクゥエ、セクス行きますよ!」


と言ってこの場から消え去った。


それを見たドゥオ(ヘラクレス風の男)、トリア(中国の皇帝風の


男)、クァトゥオル(ヨーロッパの王妃風の女)、クインクゥエ


(フルプレートアーマーの騎士風の男)、セクス白シャツ吊りバンド


の半ズボン姿の男の子)が慌てて消えた。


それを追って、オメガも消えた。


そして、残るノウェム(眼帯をした紳士風の男)と、オクトー(白の


タキシードにシルクハットの紳士風の男も)バンバやゴースンそれに


ダリウス達に深々と頭を下げて消えて行った。













------(テンタ視点)------☆




 武器屋『リッキー』を出て、さらに通りを東に1本歩いた所、ここは、


冒険者学院の正門に続く通り、先ほどの通りより少し広めの通り。


 冒険者希望者が学院に通う通りで、多くの冒険者が転生者って事も


あり、所謂、異世界(俺達の世界)の飲食店が並んでいる。


キンタッキー(フライドチキン)あり、ラーメン屋さんあり、吉田屋(牛丼店)


もある中に……あった。


「ここ、ここ」


と少し先を歩いていたタミーさんが飛び跳ねながら指をさす。


『ミクドナルド』


木造二階建ての建物で、ほぼ俺の知る『ミクドナルド』が再現されていた。


「いらっしゃいませw」


店内に入ると、そこそこ人が並んでいる。


 正面のカウンターの頭上にあるメニューを見ると……。


・ビックミック      195クリスタル(3,900円)


・ダブルチーズバーガー  175クリスタル(3,400円)


・照り焼きミック     175クリスタル(3,400円)


・フィッシュバーガー   175クリスタル(3,400円)


・チーズバーガー      70クリスタル(1,400円)


・ハンバーガー       55クリスタル(1,100円)……


「高っけー!!」


思わず叫んでしまう俺。


すると、俺の前で並んでいた猫人(黒猫人)が振り返り、


「あっ、テンタ何でお前ここに居るんだ?」


と声を掛けてきた。


(えっ、何この人……)


って思って、固まっていると、


「あら、コラットさんもですか?」


とシェリーさんが俺の後ろから声を掛ける。


「おう、シェリー大人になったなぁ~」


と親し気に話しかける猫人(黒猫人)の男。


「あら、だって私もう18よw」


とにこやかに返すシェリーさん。


「おう、そうか、道理で色っぽくなったと思ったよw」


とシェリーさんに返す猫人(黒猫人)の男。


そこに、割り込むようにタミーさんが、


「ねぇ、ねぇ私は~コラットおじさんw」


と無邪気に聞く。


「えっ、うん……大きくなったんじゃねぇ?タミー」


と少し困った感じで答える猫人(黒猫人)の男に


「じゃなくて、じゃなくて!」


と駄々っ子のように言うタミーさんに、


「ああ、タミーはいつ見てもかわいいぜw」


と猫人(黒猫人)の男が笑いながら言い直すと、


「そうお、そうおw」


と照れながらもセクシーポーズをとり言うタミーさん。


(んっ、なんかさっきこう言うのあったよな)


(コラット、コラット……あっ!)


「ユウジンさん!?」


と少し声を張り上げてしまった。


「「ピンポンw」」


とシェリーさんとタミーさんが笑いながら言う。


(2人とも絶対、俺をからかってるでしょ)


「で、今日はキレイどころをそろえて、何ししてんだテンタ?」


と改めてコラット(ユウジン)さんが聞いてくるので、俺が答え


ようと、


「実は……」


って言いかけたら、俺を差し置き、タミーさんが、


「あのね、今度テンタ君が冒険者デビューなんで、いろいろお買


い物に来ててね……」


と3日後、冒険者の実地試験を受けることになったことや、


その買い物途中、武器屋『リッキー』に寄って、ケヴィン


(タッキー)さんに会い、俺の銃用の弾をケヴィン(タッキー)


さんが、この間のお礼だと言って、買ってくれたことまで、ベラ


ベラとコラット(ユウジン)さんに話した。


「なるほどな……ケヴィン(タッキー)がテンタにお礼したなら


俺もテンタにお礼をしないとなw」


とニッコリ笑って俺に言う。


「御礼だなんて……」


と遠慮する俺に、


「子供が遠慮なんかするもんじゃないぞテンタ」


って言われたのだが……。


「別に今欲しいものはないんですけど……」


と困り顔で言う俺に、コラット(ユウジン)さんが、


「そうか……」


ってしばらく考えて、


「なら、ここのお昼を俺がおごるよw」


と言い出した。


「えっ、でも、ここ、高いですし……」


って俺が驚き言うと、


「だから、俺が出すって、買い物して手持ちが少ないんだろ~」


と心を見透かされたように言うコラット(ユウジン)さん。


(確かに……でも、買えないわけじゃない)


って思ていたら、


「ねぇねぇ、それは私達も分も?コラット(ユウジン)おじさん。


と満面の笑みで、コラット(ユウジン)さんの腕をつかみ言う


タミーさんに、


「あっ、ああ、あったりまえだろう~タミー」


少し動揺気味に言うコラット(ユウジン)さん、しかし


「タミーとシェリー、それにそこのお嬢さんの分も……」


とCG隊(クリスタル警備隊)のアンヌ隊員を見ながら言い出すコラット


(ユウジン)さんの言葉に、アンヌ隊員が驚き聞く、


「えっ、私の分もですか!?」


その言葉に、急に二枚目の顔で、アンヌ隊員の手を”ぎゅっと握って、


「当り前じゃないですか、お嬢さんw」


と言うコラット(ユウジン)さん。


(んー、なんか下心ありそうでねぇ)


ってことで、コラット(ユウジン)さんにお昼をごちそうになる。



俺が、ビックミックセット345クリスタル

(6,900円)


シェリーさんが、照り焼きバーガーセット320クリスタル

(6,400円)


タミーさんが、ダブルチーズバーガーセット320クリスタル

(6,400円)


で、アンヌ隊員が、ベーコンレタスバーガーセット330クリスタル


(6,600円)


で、コラット(ユウジン)さんチキンバーガーセット330クリスタル


(6,600円)なんだけど……。


いつの間にか持ち帰り用で、フィッシュバーガーセット320クリスタル


(6400円(をタミーさんが追加で頼んでいた。


それを俺に渡し、耳元で言う。


「これは、オトアちゃんの分ねw」


「あっ、ありがとう」


しかし、タミーさんが余分に頼んだことは、コラット(ユウジン)さんは


、まったく気づいていなかった。


 だって、みんなで食事中ずーと、アンヌ隊員を口説いてたからw


なので、俺は心でこっそりお礼を言うのだった。


(ごちそうさまですコラット(ユウジン)さんw)






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