奇々オルガン機構

DarkPython<bl>

かいざん

ふるまえ


「ヲレは、ネカマ一筋の男な。以後よろしく。ふうー疲れた。さてと、そろそろあれを出そうか。ええ話があんねん。

それがな、この前、レイがでるウワサの校門へ特別に入らしてもろたんやけどな。ヲレはそれほど信じるタイプではなかったんやけど、あるスポットに入ると、途端トタンに嫌な感覚にオソわれてん。

ほいで、スゥーっと耳元でたこ焼き食べたいって聞こえたんやけど、しゃーないから食堂ショクドウへ行ってみたら、ポトフが急に食べたぁなってグッツグツのポトフ食ったら、食レポしだして、幽霊ユウレイ見たらしくて怖がってはった。

思わず、幽霊のくせによう言うわってツッコんでしまい。二人のうちの一人が駄目です。と言い張るが満足やったで、君のチャックなんかもうええわ」


 疲労がピークに達したか、別れをげ後にする。もう会う機会キカイがなくなるかと思うとふと涙ぐむ。

もちろんトイレの個室だけ。鶴水栄斗つるみず えいとの姿、本能ではハナしたくはない、けれども、彼はそれを望んでいない。ならばと相手を尊重ソンチョウする他なかった。

今では立派なバンドマンとなり、最前線で観客をニギわせる。アイツはホコらしい。熱気で包まれた湯気ユゲに乗り移り、抱き寄せたいが。それは傲慢ゴウマンさと金縛カナシバりが付きまとい断念にイタる。


「なあ栄斗。そっちは、どないなん」


 マボロシか、イナか、アイツから呼び寄せることなど、不可能であろう。今ワレは大床呂鷲奈おおどころ わしならわれた身、霊だからといって忍者のように分身の術を使える訳ではない。水回りの場では規格外なナイスガイに遭遇してはアンの定お開きである。


「そうか、行きしに、そっち寄るわ」


 肝試キモダメしに、心霊スポットに向かうも夜遅くホテルへ一晩過ごそうと、チェックインを済ます。

部屋へ入ると、何故か肩が重く感じる。ベッドで一日の出来事をつぶやき終えてもなお、イタした直後から倦怠感ケンタイカンが残る。

すると、ドアをノックする者が現れる。こんな時間に、何の用があるというのだろう。タズねると、どうやら、店員さんのようだ。そっと胸をろす。開くと、そこには一人の青年男がタタズむ。


「よぅ。久しいな。会いにきたで」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

奇々オルガン機構 DarkPython<bl> @macT

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ