第67話 やっていいこと、悪いこと。あるよね?

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アレリア遺跡に到着した! 聖女のロザリオを手に入れた!

効果:味方全体が受けるダメージを少し軽減する。

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 シンプルに素敵!

 まさに聖女の加護を受けている気分になれるね。


「マテリ、おめぇが聖女だ」

「絶対さ、心の底からそう思ってないよね?」


 とはいえ、聖女として祭り上げられたのは事実だから反論できない。

 そもそも聖女ってなにさ。ソアリス教の聖女もよくわからないし、割と謎概念だ。


「この遺跡、すごいね」


 ダンジョンマップを見ると、魔法生体研究所とは比較にならないほど複雑だった。

 迷路と迷路が合体して、指でなぞってもゴールがどこかわからない。

 なるほど。ここが危険と言われている理由の一つがこれか。

 迷い込んだら一生、出られない。シンプルに危険です。


「何がひどいかって、宝なんかほとんどない。この強く光っているところに神器があるのかな?」

「ドワーフの感覚からしても、ここは入るべきじゃねえなー?」


 私としては中心部にあるお宝が気になってしょうがない。

 このアレリア遺跡にあるお宝はこれのみ、後はトラップがある可能性が高いとミリータちゃんは言う。


「待て、抜け駆けは許さんぞ」

「うわぁ」


 遺跡に入ってきたのは一級冒険者パーティの紅の刃だ。

 王都でプリンプルンのネバネバにやられて以降、姿を見ないと思ったらこんなところに来ていたんだ。

 四天王や王都での戦いに続いて、ここまで自信満々で登場できるメンタルがすごい。


「む! だ、誰かと思えばいつかのジャリ娘! まぁたお前かぁ!」

「それあなた達の五億倍くらい私が思ってるよ」

「クソッ! やっぱり神器狙いだろう!」

「遺跡探索と古代文明の解明だよ」

「ウソをつくな! どけっ!」


 ずかずかと歩いてきて、私達を強引にどけて奥へと進んでいく。

 ウソとかひどいな。私がそんなに強欲にまみれた人間に見える?

 紅の刃、一級冒険者パーティのくせに人を見る目がない。


「あんな人達は置いて、私達も」

「落とし穴がぁぁうあぁぁぁーーーーー!」


 なんか聞こえた?

 紅の刃の姿がどこにもないけど関係ないか。

 これも欲丸出しで遺跡を荒そうとした罰だね。

 私達は堅実に歩を進めよう。


「ミリータちゃん、こっちで合ってる?」

「あぁ」


 このカビ臭い石の中みたいな通路を進むうちに、なんだか静かになってきた。

 ミリータちゃんとフィムちゃんも黙り込んでる。


「ねぇ、ちょっとダンジョンマップを見せて」

「あん? おめぇに見せるもんなんてねぇな」

「え……」

「下らねぇ遊びに付き合わされて、何が報酬だ」


 え? あの、ミリータちゃん? いや、ミリータさん?


「フィムちゃん、なんかミリータちゃんの様子がおかしくない?」

「おかしいのは師匠ですよ。いつになったら修業ができるんですか? 何も出てこないじゃないですか」

「フィムさん?」


 さん付けで呼んでる場合じゃない。

 なにこれ? なんでいきなり嫌われちゃったの?

 ミリータちゃんが腕を組んで私を睨みつけて、フィムちゃんが唾を吐いている。

 そんな子に育てた覚えはありませんよ?


「ふ、二人とも。落ち着こう。確かにちょっと強引だった、悪かった」

「謝って取り繕っても無駄だ。下らねぇ」

「じゃあ、どうすれば」


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新たなミッションが発生!

・メタモルシャドウを二匹討伐する。報酬:全上昇の実×4

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「つぇあぁぁーーーーッ!」

「ギギギィーーー!」

「ギェーーーー!」


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ミッション達成!

全上昇の実×4を手に入れた!

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 ミリータちゃんとフィムちゃんだったものを杖でぶっ叩くと、黒い影が分散して消失した。

 偽物で惑わそうとしたみたいだけど、私には通用しない。

 これまで寝食を共にしてきたおかげで、私達の絆はより深まっている。

 魔物を仲間と思い込むような浅い関係じゃないんだ。


「マテリーーーーー!」

「師匠、ご無事ですか!」


 ミリータちゃんとフィムちゃんが後ろから駆けつけてくれた。

 ほら、心は引き離せない。

 通じ合っていればこうして合流できる。


「いつの間にかいなくなっちまったから驚いたぞ……」

「師匠、どうしていなくなったんですか?」

「それはこっちのセリフだよ。突然、二人の偽物が現れてさ」

「偽物ォ!」


 話し方や癖で私は二人が本物だと確信した。

 長い間、一緒にいたからこそわかる。

 この安心感は紛れもなく本物だ。


「おめぇには呆れるべ。こんなところで単独行動するなんてよ」

「そうですよ、師匠。いくら報酬に目が眩んだからって一人で進むなんてバカですね」

「え、そこまで言う?」

「言いますよ?」

「フィムちゃん……」


 やっぱり怒ってるのかな?

 フィムちゃんがそんなことを言うなんて信じられない。


「大体、マテリ。おめぇなぁ」


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新たなミッションが発生!

・メタモルシャドウを二匹討伐する。報酬:超速さの実×4

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「たりゃあぁぁーーーー!」

「カゲェーー!」

「シャドゥアーーー!」


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ミッション達成!

超速さの実×4を手に入れた!

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 またしても影の魔物が散って消えた。

 懲りずに私を騙そうとしたみたいだけど、その手は通用しない。

 私が二人の偽物だと見抜けないわけないでしょ。

 一切動揺なんかしてない。してないけどさ。


「アレリア遺跡さぁ……ふざけてんね?」


 今まで冒険者達がまともな状態で帰ってこなかった理由がよくわかった。

 今の魔物に騙されて仲間割れなんてしたら、それこそトラウマにしかならない。

 いや、仲間割れならまだいいほうだ。

 最悪、仲間の手にかかって殺される可能性だってある。


「ダンジョンのくせに人様になにしてくれてんの?」


 もし、もしもの話だけど。

 これをやっているボスみたいなのがいるならさ。


「あんた、壊すよ?」


 私は杖で壁を破壊した。

 本物の二人をどこへやった?

 私に報酬さえ与えておけば満足すると思ったら大間違いだよ?

 アレリア遺跡、あんたにできることはとっとと二人を返して報酬もよこすこと。

 それだけだよ。


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