第35話 魔法のコテージが進化しました
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こちらの前の話を投稿していませんでした。
これの前に1話、追加しました。
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魔法のコテージが強化されて魔道車になった!
操縦席が追加された!
ベッドが二つ増えた!
バスルームが広くなった!
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ぐぐん、と見た目が変わったと思ったらキャンピングカーみたいになった!
私が知ってるあれとは大きさも違って、元のコテージと変わらない!
タイヤもついてるし、多少の悪路でも通れそう!
「ま、魔道車……。かつて英雄が使用していたと言われているあの魔道車が目の前に! 師匠、あなたはもしや」
「中は! 中はどうなってるのかな!」
「あ、師匠!」
急いで乗り込むと多少、縦長にはなったもののしっかりと居住性はある。
操縦席は私の世界にあった車と変わらないから、これがちょっと不安かもしれない。
当たり前だけど私は免許を持っていなかったもの。
「ミリータちゃん、運転できそう?」
「まーやってみるか」
ミリータちゃんが運転席に座り、さっそく機器を確認する。
ふんふんと何か納得したようにレバーやらハンドルを動かし始めた。
そしてさすが地の民、鉱石だけじゃなくて道具の扱いにも長けたドワーフのミリータちゃんは魔道車を動かし始める。
「こいつ、動くぞ!」
「わぉ!」
「さすが師匠!」
なんか当然のように乗り込んでる子がいるけど、この際どうでもいい。
動き出した魔道車は町を離れてグングンと進む。
まさかこの世界にきて車に乗ることになるとは思わなかった。
だけどスピードはそこまで出ないみたいで、あっちの車ほど速くない。
でもこれで徒歩での移動よりもだいぶ楽になるはずだ。
つまり、よりミッションに早く近づける。
「それにしても魔道車とはなぁ。こういうのは一部の国でしか作られてねぇんだ」
「飛空艇なんてのもあったりして?」
「ある」
「あるんだ」
次々と移り変わる風景を眺めながら、私は改めてミッションに期待を膨らませた。
あのレイムゲイルの時はなぜか発生しなかったけど魔王討伐に行くと宣言した手前、やめるわけにはいかない。
これで万が一、ミッションが発生しなかったら最悪だけどその時はフィムちゃんがいる。
なるほど、それなら師匠設定も悪くないかもしれない。
ミッションが発生しなかったときはこの子に任せればいいんだ。
「マテリ、ミッションがなかったらフィムに任せようとか考えてねえか?」
「そ、そんなわけないじゃん」
「おめぇのスキルはやべーけど、安定しないのがデメリットだなぁ」
「そうなんだよねぇ」
などと考えながらぼんやりとしていたら、車窓に霜が張り付いてきた。
少し寒くなってきたかな?
「雪……だと思ったら吹雪いてきたなぁ」
「天候不良かー」
「師匠、何かおかしいです!」
「え」
フィムちゃんの言う通り、あっという間に吹雪で視界が遮られてしまった。
ミリータちゃんによればここはすでに魔王領。
つまり必然的にお迎えがあるわけで。
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ミッション発生!
・アイスゴーレム×5を討伐する。 報酬:オーロラガントレット
・アイスソルジャー×10を討伐する。報酬:冷晶の魔石
・フリスベルクを討伐する。 報酬:アイスソード
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「師匠、あそこになにか」
「っしゃぁぁあーーーーー!」
「師匠!?」
魔道車から飛び出して一気に冷気が吹きつけるけど何も感じない。
のっそりと迫るアイスゴーレム、そして奥にいるのが――。
「おや、何かと思えば年端もいかない小娘とは」
「ファファファファファファファファファファイアボボボボボボボボボボォアァァァル!」
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ミッション達成! オーロラガントレットを手に入れた!
効果:防御+30 攻撃+20 すべての属性攻撃が強化される。
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「だが、その命もここまで……ここがお前達の墓標と」
「ファファイファイファイファイファイアボボボゥゥル!」
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ミッション達成! 冷晶の魔石を手に入れた!
効果:永遠に冷やし続けると言われている魔石。
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「なるのだ……って、話を聞かんか!」
「最後はお前だぁーーーー!」
「なっ……」
「ファイアボォッ!」
「ぐうううおぉぉーーーー!」
ラスト!
アイス! アイス! アイスソード!
アイス大好き!
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ミッション達成! アイスソードを手に入れた!
効果:攻撃+170 冷気による追加ダメージを与える。
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「念願のアイスソードを手に入れたぁーーー! あ、あれ?」
「吹雪が止んできた?」
吹雪が止んで視界が開けてくる。
空から覗く太陽が大地を照らして、まるで嘘みたいに天気が変わった。
どういうこと?
「し、師匠……恐れ入りました……。あの四天王の一人、氷霊のフリスベルクを討伐するとは……」
「えぇ?」
「あの敵はレイムゲイルより強いのでしょう? 師匠はそれを見抜いて、あえてボクに手を出させなかった……言わずともわかります」
「ど、どうだろうね」
どれがそのフリスベルクだったんだろう?
あの氷の巨人みたいなのかな? それとも氷像の剣士風の魔物かな?
「師匠、ボクはあなたに一生ついていきます! あなたこそが真の勇者であり、必ずやこの国に平穏を取り戻す方です!」
「聖女の次は勇者かー」
フィムちゃんが礼儀正しく頭を下げた。
「マテリ、なんでもいい。悪い奴じゃなさそうだし、連れていってもいいんじゃねえか?」
「ここまで勝手についてこられちゃね。フィムちゃん、私は師匠じゃないけど、ついてきていいよ」
「決して自らを師匠と驕らない謙虚な姿勢……さすがです。ありがとうございます! 師匠の下で日々、邁進していきたいと思います!」
この思い込みの強さはちょっと傷かな?
報酬が手に入ったから何でもいいや。
今の私の心はこの晴天のように晴れている。
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