第170話 とある手紙

~更に月日が流れて2ヶ月~


「うーにゃーうーにゃーうーにゃー…「言わせねぇよ?」…暇」


日本で流行っていたSAN値がピンチになりそうな作品の内の1つのダンス(?)をミュウは1時間近くやっていた。


今はエイトに止められて、エイトに抱きつきながらウダウダしていた。


「ウダウダウダウダウダウダウダウダウダウダウダウダウダウダウダウダウダウダウダウダ」


「時を止めるなよ?」


コブラが活躍した名台詞(?)を今度はずっと言おうとしていたので止める…いい加減本気で殴ろうかエイトも悩み始めた。


「だってさぁ、暇なんだもん。」


「確かになぁ…」


本当だったらエイトはこの機会にギルドに行って冒険者として働こうと考えていたが、英雄と言う特殊な職業な為、公爵家と何故か学園長にも止められていた。


「なんで働いちゃいけないんだよ、ニートなんて嫌だぜ?」


「そうですねぇ、いくら公爵家の財産があるとは言え、私達が生活資金を稼ぐぐらいいいと思うのですが…」


「いや、お前はそもそもメイドと言う仕事についてんだろ。」


「…あ」


エイトとミュウが話をしているとシルフィとアリアンもやって来て話に参加してくる、どうやらエイト達と同じ意見の様だ。


「まぁ公爵家の御令嬢様がギルドに入って冒険者に入るなんて…普通は許せないからなぁ」


と、エイトは言うが、小説や漫画の世界で貴族の人達も冒険者になっている事があった。しかしそれはあくまでも次期当主になるのではなく、自立しても生きていける様にだ。

(勿論、他にも理由はあるだろうが)


貴族社会はとても厳しい世界だたった1つの失敗で全てを失う可能性がある、だからこそそうなった時の保険を用意しているのだ、それをさせないと言う事は、何かしらの思惑があるに違いない。


「でも私達、他の貴族と違って平民寄りの思考を持っているのよ?いくらなんでもここでずっと親の脛を齧るのはちょっと抵抗感があるのよ?」


「私は元々貴族ではなくメイドなので、エイトさんと同じ意見です。」


「あたいは本さえ読めれば別に良いよ。」


「相変わらずブレないなぁアリアンは。」


そこがいい所なのだが、とエイトは思うが黙っておく、それにしてもたった2ヶ月とは言え、こうも何事もないと不安になってしょうがないのだ。


「これもしかして1年とか2年とかそのくらい経ってから来る気配?」


エイトの予想もあり得そうだ、そのくらい経ってやっと動き始める可能性も大だ、そうなると学園長直々に止めに入る意味がわからないが…


「1年も待てないよぉ~…学園長とかお母様とか何考えてんの?」


「何も考えていないのでは?」


「うわ、それは酷いねぇ」


「マジでそうだよ………なぁ…???」


ミュウ、シルフィ、アリアンが話している中、エイト以外の男の声が混ざる。


「私だってそんなつもりで言ったわけではないのにさぁ~」


と、当たり前のように、学園長が話の中に入ってきた。


「「「「くぁwせdrftgyふじこlp」」」」


「うんそれ何語?」


唐突に人の家に不法侵入している、頭のおかしいやばい人(学園長)がいきなり変な事を言ってきた


「滅茶苦茶失礼な事を言われてる気がするんだけど…まぁいっか。」


「何しに来たんですか?学園長?」


「お久しぶりです…とは言え、勝手に人様の家に上がり込むのは…」


エイトとシルフィがそう言うのはごもっともだ、普通に考えてダメだろう。


「だって君達呼んでんのに反応してくれないんだもん。」


「おっさんがだもん…て」


ちょっと…いや凄くドン引きするアリアンだったが、学園長が手紙を出した瞬間、冷静になる。


「…これは?」


「国王陛下直々の手紙だよ。」


「国王陛下の!?」


エイトとミュウは驚く。

なんで学園長が持っているのか謎だが、それよりも中身だ、わざわざこちらまで来たと言う事は…


「まさか…」


シルフィはそう言って冷や汗をかき、学園長は静かに頷く。


「ああ、厄災が現れた、君達も来てくれとのお達だ。」


やはり、そう言うことなのだろう。


——————————————————————

続く。




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