第6章 始動編

第168話 権力者の会談

~カルデア王国~


「そうか…反省の色なし…か」


国王陛下の謁見の間に、カルデア学園学園長

ターピー•ダイヤルはそこにいた、周りには護衛兵達が学園長に睨みを聞かせているが、学園長は特に気にせず淡々と話す。


「はい国王様、勇者としての使命を真っ当させる為に隔離寮にて約3年間我々の監視下の下、矯正を行いましたが、効果は無いようでした。」


学園長単独の行動、それがカイトの隔離寮矯正の1つだが、国王の側近とも言える者達の情報網により、見つかり2年前ここに来て、学園長は事情を説明していた。


国王自身、最初は勇者に対する非道な行いとして言及しようと思っていたが、ついでに調べたカイトの情報を聞いてその意見を変えたのだ。


「そうか…3年で人は変わると思ったのだがな。」


「こればかりはどうしようもありません、まさかあいつがあそこまでの人間とは思いもよりませんでした。」


学園長の話は悪い意味でも話だ

それはそうだろう、日本にも似たような学園があり、そこに放り込まれた人間は死ぬか真っ当な人間になるかの2択だった。


隔離寮もそれに似た所であり、そこにいるとなれば、その捻じ曲がった根性、性格、精神を叩き直され、多少なりともまともになる筈だ。


ならなかったと言う事は、馬鹿のままなのである。


「まぁ良い、それならそれで利用するまでだ。」


「それならば、私はもうここでリタイヤさせていただきます。」

(あの様な自分の事を頭の良い人間だと思っている馬鹿は使い易いが、面倒なデメリットもある。)


戦争の時にも使われる言葉だが

1番の敵は強い敵ではなく、無能な味方だ

と言う言葉と同様にカイトはその無能の部類に近い存在だ。


そんなものをわざわざ自分の仲間、もしくは利用する…なんて事は

元ギャンブラーの男にとっては、プロ対素人で素人側に全財産を賭けるほどの危険性があるのだ。


「分かった今までご苦労だったな、報酬は学園への援助金の増加にしてやろう。」


「は、ありがたき幸せ。」


(ここが潮時だな…これ以上の深入りは身を滅ぼす)


ギャンブラーとしての勘がそう言っている

余計な事をすれば、己の身を滅ぼす事はよく知っている。


「では、下がって良いぞ。」


「はい、失礼します。」


そう言うと立ち上がり、扉へと向かう

兵士の1人が扉を開けて、学園長を通す

扉が閉まる前に振り返り、学園長はもう一度お辞儀をして扉はしまった。


「ふぅ」


緊張の糸が解け、学園長は深いため息をこぼす、国王との話は例えどんな時であろうとも緊張するものだ。


国王とは文字通りこの"国"を治める"王"の事を言う、逆らったり、逆鱗に触れたりすれば首と胴体が2度とくっつかなくなる。


(エイトよ、あとは頼んたぞ)


学園長がやれる事は既にやった、カイトの性格上、必ずエイト達と敵対する、国王は利用すると言ったが、果たしてどこまで利用出来るのか?


(ああ言う馬鹿は煽てれば木に登るが、一歩間違えればそうはならない。)


例えば「姫と結婚」か「ミュウと結婚」等の叶いそうで叶わないものとかを出された時、動かすのは簡単だろうが、問題はその後だ。


もし「ミュウとの結婚」が無理だった場合、その後は言う事を聞かないし、最悪の場合、厄災の方に寝返る可能性もある。


「…さてと、お手並み拝見といきますか…エイト君?」


そう言って、学園長はもう1つの希望に賭けた。


——————————————————————

最近、寝落ちばっかしている(^◇^;)


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