第125話 大変な世界

「…貴族に?」


「うん!」


何言ってんだ…こいつ

そう思いながらも、ミュウがふざけて言う空気ではない為、何か策があるのだろう

なかったら、この後の時間、とことんいじめる(意味深)


「その…どうやって?」


「それは…正直、確証があるわけじゃないの。」


「確証がない?」


「うん、でもアイツらなら、やりかねない事を利用するの。」


「アイツら…か」


アイツら、この言葉で大体は理解できた

そもそもミュウが言うアイツなんて1人しかいない。


「カイトと女神アダマス」


「うん、正解、そいつら2人は必ず私達に…いえ、世界になんらかの現象を起こす。」


「厄災…か?」


「かもね」


未だにわからない厄災、遥か昔から語られて来た話の事だが、エイトもミュウもその厄災について何も知らない。


それを知っているのは女神アダマスと

女神アマスだけだ、だからこそ確証はないのだ。


「女神アダマスが世界の厄災を引き起こし、」


「勇者カイトが世界を救う。」


「と言うのが多分今の世界の筋書きなんだろうな。」


「うん、シルフィと話した時も、そうなるだろうって言ってた。」


まぁこれはメグミに取り憑いた(?)女神アマスのおかげでもある情報だが

逆に言えばこれは起きる厄災の時間が分かったと言っても過言ではない。


「でも、それと俺達の関係と何が関わるんだ?」


その混乱に乗じて駆け落ちでもしろとでも?

そんな事をすれば地の果てまで追いかけてきそうだが?

そう考えたが、どうやら違う様だった。


「私達の職業は何?」


「英雄と魔王…ってまさか!?」


「うん、そのまさかだよ。」


「確かに、その考えなら上手くいけば、俺は爵位がもらえるかもな…でも」


その考えは賭けではあるが、他に手は(あるかもしれないがこれ以上の好条件は)ない

しかし、


「下手すれば俺達は死ぬぞ?」


その賭け自分達が強くなければならない

カイト程度などと同等の力では意味がないのだ。


「別にいいじゃない?」


「え?」


「カイトの嫁になる地獄の未来が待っているなら、エイトと一緒に地獄に落ちた方が100万倍嬉しいわ。」


「…ミュウ…お前」


「どうせ私達は天国には行けない、だったらエイト、貴方と一緒に何処までも堕ちてあげる。」


その目は本当で、文字通り覚悟の上の話らしい、ならば話は早い。


「だったら、シルフィ達にも話をつけとこうぜ?後はアリアンがOKするかどうかだな。」


「そうね、シルフィはもう記憶も戻ってるし、癪だけどエイトの彼女でもあるからね。」


だがアリアンはそれがない

正直に言って学園生活が終わればそれで関係も終わりでもいいのだ。


「アリアンはいい奴だ、アイツを俺達と同じ道に行かせるのは、嫌だな。」


「うん、アリアンは大切な友達だから。」


そんな友達を自分達の我儘に付き合ってもらうのは、流石に酷いだろう

今でも充分迷惑をかけているが、そこは黙っておく。


そうやって考えていると

布団の中のせいもあるのか、急激に睡魔が襲って来た。


「ふぁあああ…ま、その話は数時間後にしよう、眠い。」


「ふみゅぅぅぅ……そうね、ちょっと頭を使い過ぎて眠いわ。」


そう言って2人はお互いの体を引き寄せて脚を絡み合わせる。


「後はミュウの両親に挨拶?して許可を得るかだなぁ」


「まぁほぼ不可能に近いと思うけど…一応…ね?」


可能性は低いが、やらないよりはマシだと思う。


エイトの両親には許可を得ている

後はミュウの両親だけだ。


(本当、俺達は)


(どんなラノベ主人公よ)


結ばれる為にこんな面倒なことをしなければならないとはと頭を悩ませながら

深い眠りにつき………


寝過ごしてシルフィにしばかれるのは言うまでもない。


——————————————————————

いつもより早く起きて、得した気分で寝て

起きると遅刻ギリギリになる事ありません?

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