第119話 地獄の日常 カイトside

ジリリリリ…


「は!?」


寮内に響き渡る音にカイトはパッと目を覚まして、すぐさま扉を開ける。


「遅い!もっと早くしろ!」


「はい!」


カイトはそう返事をしながら急いで廊下に出る。


時刻は午前5時

此処はカルデア学園の中にある問題児達が集まる特別な寮だ。


此処では上は絶対で、逆らえば半殺しにされる。


此処に来てから早くも1ヶ月、カイトはこの寮で何とか生き抜いていた。


(くそ!なんで僕がこんな目に…っ!)


寮という事で1人部屋ではなく先輩と後輩で2人で1つの部屋を使っている

朝の起床時間には直ぐに外に出ないといけない為、後輩は先輩が直ぐに外に出れる様に

先輩よりも早く動いて扉を開けなくてはならないのだ。


「僕も急がないと!!!!」


初日から隔離寮の洗礼を受けてカイトの体はボロボロだった

普段は少し怪我しただけでも周りにいる女の子達の回復魔法とケアですぐに治していたが

学園長の所為でそれも出来ず、今も筋肉痛と痛みで身体が悲鳴を上げている。


「遅い!1分遅刻だ!罰としてその場腕立て伏せ100回!!」


「「「「はい!!!」」」」


ボロボロの体を動かして何とか外に出たが

遅かったらしく、寮長の命令でその場で腕立て伏せをやる事になった。


やりたくはないがやらないと後が怖いのですぐさまやる。


「貴様!遅いぞ!舐めてんのか!」


そう言うと寮長は持っていた棒でカイトの背中を叩きつける。


ドスドスと鈍い音を立てながらカイトは必死に腕を動かす

やっと100回終わった頃には背中には青いあざがくっきりと残った。


朝の体操を行い

外でジョギングを始める

カイトは運動と言うのをやって来なかったのでほんの数分で息が切れる。


「テメェ!さっさと走れ!」


「ハァハァハァハォはい!!!」


集団で走り息を合わせて走っている中

カイトだけ直ぐにバテて後ろに下がってしまう、それを先輩がカツを入れるが、ついていけず離れてしまう。


「何で…僕が…こんな…目に…」


「しゃべる余裕があるなら走れ!」


そう言って足を蹴ってカイトを転ばす

カイトはすぐに転んでしまい

ふらふらと立ち上がる。


本当なら逃げてしまいたいが、逃げたら逃げたで地獄が待っている為、逃げる事は出来ない。


それからも罵詈雑言を浴びながら何とか完走する。


しかし、カイトはそれでも走り続けた

それは外ではなく、自分の部屋に

理由は先輩の朝食を作る為だ。


部屋では常に正座

夜のマッサージと朝の朝食作りは

後輩の仕事なのだ(例外あり)


(確か今日はスクランブルエッグの筈!)


そう思ってカイトは急いで

部屋に戻り、ささっと体を拭いて着替える

汗で汚れたり、臭いが酷いと殴られるのだ

冷蔵庫の中には無茶振りなオーダーにも対応出来るように、山の様に食材が入っている。


しかもこれ自腹だ。


先輩よ身の回りの世話をするのは「付き人制度」と言い、ぶっちゃけ奴隷だ

しかも先輩になったからと言って実力がないと逆になる事もあり、その先輩は負け犬として惨めに暮らしている。


「おい、何でそこにいるんだ?」


「え?朝食の準備を…」


そして使っていい返事は「はい」か「いいえ」だけで、もしそれ以外を言うと


「何か言ったか?ゴラァ!!」


ボギッと自分の顔の半分以上ある拳が

カイトの顔を殴る。


「ずびまぜん!ゆるじでぐだざい!」


容赦なく鉄拳制裁を喰らう

理不尽だが、これがこの寮のルールだ。

カイトは泣き叫びながら謝る。


そして洗濯物も後輩がやり

服が乾かないとまた容赦なく殴られる。


そして休日、この日は休めると思ったが

それは大きな間違いだ。


休みの日でも朝食は作らなくてはならなく

当然先輩よりも早く起きなくてはならない

しかし、日頃の疲労で寝てしまう事があり


「テメェ…なに呑気に寝てんだよ!メシ作れやぁ!!!」


2段ベットの上で寝ていたカイトの頭を掴み投げ飛ばす。


「グハッ!」


これが隔離寮の朝だ、朝食を作らなければカイトは暴力を受ける。

しかし此処は寮つまり学園に行かなければならないが、場所は違う。


そして学園内でもカイトは洗礼を受けている。


——————————————————————

一話で纏まらなかった(^◇^;)

カイトの地獄は後一話か長くても二話で終わらせます。

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