第112話 ご挨拶
~8時間後~
辺りはすっかりと暗くなり、風の音しか聞こえなくなる
客間では先程起きたエイトが眠たそうにシルフィの肩に頭を乗っけている
「…………」
「フフフッ」
「エイトの馬鹿」
ミュウは血眼になってシルフィを睨みつけシルフィは勝ち誇った様に鼻で笑っていた
アリアンは心底ため息をついて、エイトの図太い神経に尊敬の意を示す
「ごめんなさいね、ちょっと遅くなってしまって」
「いえ、気にしておりませんよ」
「そう言ってくれると嬉しいわ」
ミュウにそう言って艶々の顔で言っているのはエイトの母親だ
「エイト…お父さんを売るなんて…酷いぞ?」
「普段全く家に帰ってこない父さんが悪い」
今度は枯れ果てた顔でエイトを非難しているのがエイトの父親だ
「しかし、エイトさんの両親はエイトさん達の為に働いているのですから、それは酷いのではないのですか?」
「…まぁそこは感謝してる?」
「最後の?はなんだ?は」
「まぁそこは私達も悪いと思ってるわ、けどこれも全て貴方達の為なんだからね」
「それはわかってるよ、父さんと母さんには感謝してるよ」
その気持ちは本当だ、ここまで育ったのも、学園に通えているのも全部両親のお陰だ
寂しいと言う気持ちもあるが、そのせいで自分達の暮らしが辛くなるなら我慢するしかない。
「良いご両親だね」
「そうですね、これから家族になる方の両親ですから、安心しました。」
「ん?」
「家族?」
「あ、申し遅れました、私、エイトさんとお付き合いさせていただいているメイドのシルフィと申します、以後よろしくお願いします。」
その言葉を聞いてエイトの父親が驚く
「はぁ!?彼女!?お前が!?」
「いや、彼女くらい出来るでしょ」
「は?彼女は私でしょ?」
「あら?」
今度はエイトの母親がミュウの発言に驚く
シルフィはミュウを見て不敵に笑う。
「私もですからね?間違えないでください」
「泥棒猫」
「自己紹介ですか?」
そもそもシルフィは前世猫なのであながち間違っていない
「お前らエイトの両親の前なんだから落ち着けよ、あ、あたいはエイトの友達のアリアンです。」
「ああ、彼女じゃないんだ」
「こいつの彼女になったら面倒ですよ…特にこいつらのせいですけど。」
そう言って視線をミュウ達に向ける、その状況を見て理解したエイトの父は白目を向ける
「…ああ」
アリアンと父親は同じ境遇と言うか、似た様な環境にいる為とても気が合う様だ
エイトに同情の目を向ける。
「いや、俺は平気だからね?」
「やっぱり俺の家庭はヤベェ奴を引き寄せる家族なのかな?」
「おじさんが始まりじゃないんですか?」
アリアンはそうエイトの父に聞く。
「おじ…まぁいっか、そうなんだよ、俺の曽祖父よりももっと前から、何故か1人もしくは複数の女性に死ぬ程愛されるんだよ、うちの家庭は。」
そこまで愛されるのならとても喜ばしい事だと思うが、複数と聞くとこれよりも増えそうで少し怖い。
「確か、おばあちゃんもそうだったな。」
「お前の家系は何の呪いにかけられてんだよ。」
アリアンそうツッコミを入れられる。
それを理解しているのにエ○本を買ってこっそりと隠していた父親も自業自得なのでは?
と思ってしまったが、言わないでおこう。
「ふふ、エイトも私達の血を引いているって事ね。」
「義母さん、孫は何人欲しいですか?」
「愛の結晶は求めるんじゃないわ、自然とデキるのよ?」
「成る程、自然とデキるものなんですね。」
ミュウとシルフィは既にエイトの母と意気投合しており、
なんか知らないけど孫の話をしている。
「母さん、孫の話はまだ先だろ?学生なんだから。」
「それもそうね、でも貴女達なら大歓迎よ?えっと…」
エイトの母はミュウの名前を知らないので何と言えば良いのか分からない、その為、ミュウが自己紹介をする。
「あ、申し遅れました、私は隣国のフローラ家長女 ミュウ•フローラと申します。」
「フローラ…って貴族の!?」
「知ってるの?」
エイトの母が驚いている事に疑問を持ち、エイトは父に話しかける。
「当たり前だ!フローラ家と言えば、代々隣国に使える正真正銘の貴族だぞ!?」
自称貴族や成り立て貴族ではなく
歴とした貴族がフローラ家だ、そのフローラ家の長女の彼氏がエイトと言う事になると
驚くのは普通だろう。
——————————————————————
アイ達の話は多分次回です(多分…)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます