第97話 誇りを捨てた者達 カイトside

「薬で?」


「うん、私って魔法使いでしょ?だから一時的に強くなる魔法とかじゃなくて、永続的に強くなる薬だって作れると思うの。」


確かに魔法使いの職業の人間にはそう言った事を専門とした者達も確かに存在する…しかし、メグミは質問する。


「アイ、貴女その薬を作る方法知っているの?」


「え?知らないけど」


「…んじゃあどうやって作るつもりなのよ?」


そんな知識のない人間がそんな薬を作れるわけがない、カイトもそれは知っているので止める。


「アイ、君の気持ちは嬉しいよ、けど、そんな確証もない物を待つわけにはいかない。」


「だからこそ作れば良いんだよ!」


「だから!貴女は!」


「お金を使って!」


「…え?」


「お金?」


その言葉を聞いて、メグミや女性達は驚く

しかしアイは笑顔で言う。


「それに作れないなら、買えば良いんだよ、ね!カイトお兄ちゃん!」


買えば良いと言う言葉を聞いてカイトは立ち上がり


「…そうか…その手があったか!」


「え?何?どう言う事?」


いまいち話の展開に追いつけていない彼女達を尻目にカイトは意気揚々とはしゃぐ。


「僕は勇者で貴族だ!そう言う人達も知ってるし、僕が頼めば、すぐに買える!」


「そうだよ!そうすれば楽に強くなれるよ!」


「アイ?一体何の話をしているの?」


カイトとアイしかわかっておらず、サユリや他の女性達は頭の上に❔マークを浮かべていた

カイトは自慢げに話し始める


「簡単な話さ、作れないなら持っている人達から貰えば良いんだよ。」


「え?それってつまり…」


「そう、金の力さ」


「この世界には、摩訶不思議な種がある、それを食べると少しだけ自身を強化できる。」


「まさかそれを!?」


「そう買い占めるのさ。」


これはカイトだからこそ出来る事である

その種は特別高価と言うわけではないが

流通は少ない、しかしそこでカイトの貴族の力を使って買い占める事が出来れば

楽して強くなれるのだ。


「これを私達が毎日食べれば、努力しなくで最強になれるわ。」


「なるほど!それは確かに良い案ね!」


「そうすれば、あんな奴にもう負けない!」


そう言ってアイ、メグミ、サユリを筆頭に彼女達は頷いた。

最早彼女達に努力と言う言葉は存在しない

強くはなりたいが、汗水流して苦労する事はしたくないのだ。


だからこそこの様な事を思いつくのだろう。


「そうと決まれば、早速購入する準備だ、皆んな手伝ってくれ。」


「わかったわ」


「勿論よ」


カイトがそう言うと彼女達は

その種を購入するための準備をし始めた。


(待っていろよ、モブ野郎、すぐに強くなって、君をボコボコにして僕の婚約者を取り戻してみせるからな!)


そして、洗脳を解いて

ミュウ達は自分の元へと走り

モブは悲しみ、自分達は幸せを掴み取る。


そう言う妄想が広がり

それを現実にするべく、彼は行動する。


人としてのプライドを捨て

勝つ為に手段を選ばない屑へと成り代わろうとしていた。


——————————————————————

~数日後~


「へぇ、もう届いたんだ。」


カイト達が頼んだ種は、数えきれない程入っていた、しかしその種の1つだけではあまり効果が出ない。


なのでこの種を食べる人を決め、その人達だけが強くなる事を決めたのだ。


「それじゃあこれを私達で食べれば良いんだよね?」


「ええ、そうすれば私達は今よりもずっと強くなるわ」


「それじゃあさっさと食べちゃいましょ?」


そしてその食べる人達は、前回エイト達に負けて屈辱を味わった

カイト、アイ、メグミ、サユリの4人だ。


4人はそれを出来るだけ食べやすい様に加工し、綺麗に4等分に分けて食べ始めた。


「たく、一粒で簡単に強くなれたらなぁ」


「そうだねぇカイトお兄ちゃん、これはこれで食べるのが辛い。」


そう愚痴を溢しながらも全てを食べ終えて

彼等は確実に強くなった。

…しかし


「ふぐっ!?」


「あぐっ!?」


サユリ、メグミが腹痛でうめき声をあげ始め、他の人達も同様に苦しみ始める。

種の食べ過ぎにより

1週間はトイレに篭もることになったのはまた別のお話


——————————————————————

学園内でまた戦うか、それとも戦わないで終わらすか…どちらにしよう

少しはザマァ展開にした方が…?


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る