第61話 メイドの本性
「………シルフィさん?」
「はい?」
さも当然の如く腕に抱きつくシルフィを見て
エイトは呆れながら話しかける
「なんでそんなこと言うの?」
「もう面倒くさいですし、いっその事私達を娶(めと)ってくださいよ」
確かに十数年間カイトに付き纏われて、どんなに話しても言葉が通じず、あまつさえ今こうして相手の意見を無視して戦おうとしているのだ
もう疲れたと言っても責める事は出来ない
(それでもほぼ初対面の相手にこれはない)
(前世の記憶がある分、そうしたい気持ちはあるが…)
相手は貴族、しかもミュウとカイトの両親は仲が良い、カイトがミュウと婚約したいと言えばそうなる可能性は高い
「今の現状だと駆け落ちになる可能性があるけど?」
「私は上等です…お2人がどうかはわかりませんが?」
そう言うとシルフィはミュウとアリアンに視線を向ける
ミュウは口を膨らませながら、嫉妬していて
アリアンは口を抑えながら笑っている
「…私の彼氏から離れてシルフィ…!」
「…え?何言ってるんだい?彼氏は…恋人は僕だろ?」
ミュウの言葉に動揺しながら、訂正の言葉を言う
「メイドの癖に…その邪魔な脂肪をエイトから離して。」
しかしミュウは完全に無視してシルフィに詰め寄る
今までなら絶対にしない事をしていて
エイトとアリアンは驚いている
だが、シルフィは更に見せつける様に胸を押しつける
「彼氏とは…まだですよね………まだね?」
その顔は小悪魔と言うより悪魔の顔に見えて
エイトは恐怖を感じた
「……まだじゃない、エイトとはもう愛し合った仲よ、私の想い人から離れて…命令よ?」
「あ…愛し合った?…き…君は僕と言う婚約者がいながら浮気したのかい?」
シルフィ「嫌です、昔から好きだったんです、あの時私を命をかけて守ろうとしてくれたこの人を瑛人の事を、私は心から愛しています」
「………え?」
「…シルフィ?」
男2人が除け者にされている中、シルフィが言った言葉は、ミュウも「やっぱり」と言って話を進める
「…エイトさん、ありがとうございます、私の命を守ろうとしてくれて…私の様な者を大切に育ててくれた恩、貴方の隣で返させていただきます。」
「……と言う事は、君は…あの…」
「…ピャ?」
シルフィが放った小さな声は、前世の記憶の中にある、仔猫のシルフィの声にそっくりだった
「……………」
ミュウは何も言わないでこちらに近づく
無言でエイトの反対側の腕に抱きついて
シルフィを睨む
「…………」
「…………」
2人の女性の口論で黙っていたカイトは
静かになったのを見計らって
エイトを睨みつける
「どう言う事だ!僕の婚約者を寝取って!どう言う神経をしていたらそんな考えが出来るんだ!」
そう怒鳴ると、アリアンが笑いながら
カイトの質問に答える
「つまり、あたい達はそれくらい彼が好きって事さ、これでわかっただろ?あたい達がエイト側に付く理由が?」
(…あ、そう言う…回りくどいな)
(…まぁ前世の記憶と貴方に対する想いは本当ですけどね?)
(シルフィの事だから何か企んでいると思って乗ったけど…普通に嫉妬してた)
芝居がリアルと言うか分かりにくいと言うか
兎に角、これで勇者ではなく英雄のエイト側に行く理由を教えていたので よし とする
「まぁそう言う事です、貴方の言う無口なお嬢様が、こうして話す程、心を許しているんですよ。」
「…もう…諦めて。」
完全なる拒絶反応を見しているが、それで引き下がる男ではない
「…ああ、なるほどそう言う事か。」
そう言ってカイトはエイトに哀れみと挑発的な顔で
「魅了か、洗脳魔法を使ってまで僕の婚約者を寝取るなんて…なんて憐れなんだ。」
と、彼は皆んなからの同情を誘いながら
とても理解できない事を言い始めた
——————————————————————
話のネタは頭の中に浮かぶのに
ノートや小説を書くと表現できなくて辛い
続く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます