第30話 嫌な臭い、嫌な音、嫌な声

好きの反対は無関心…そう言う言われている

しかし世の中には好きの反対が嫌いの人もいる


それが彼女…瑛人の幼馴染みで恋人であるミュウ.フローラだ


ただしそれはある1人の人物の事なのだが…


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日本のとある学校


ミュウ達が通う学校は特に何かが秀でているわけでもなく、下でもない、何処にでもある高校だ


そこでの2人は、周りからすれば恋人同士とはとても思えないのだ


「今日の授業体育あったっけ?」


「あったよ…面倒くさい事にね。」


同じクラスでこうして話している姿は、仲の良いクラスメイト…そう見えるのだ


2人は幼馴染みである事も、恋人である事も隠している、それは


「おはよう!ミュウちゃん!」


「…おはよう。」


「なんだよぉつれねぇなぁ…僕が来たんだぞ?もっと喜べよ?」


「なんだ?海斗か?」


「早速恋人に挨拶してるぜ?」


「本当お似合いだよなぁ。」


海斗の友人達がミュウと海斗を見てそう言う


佐藤海斗(さとうかいと)、小学生の頃からの同級生で必要にミュウに迫る、とても面倒くさい男だ


「おいおい?俺を忘れるとは、失礼な奴だな?」


「いや!忘れてないよ!ただミュウが先に目に入ったから…ごめんごめん。」


瑛人がそう言うと海斗は焦りながら挨拶をする

この世界の瑛人と海斗は敵同士ではなく、最低限の会話は出来る仲(?)ではある


「お、いつもの3人が揃ったぞ?」


「相変わらず、仲の良い事で」


「…………」


「…………」


「ははは、照れるなぁ。」


何故かはわからないが、クラスメイト達からは瑛人とミュウは海斗を含めた仲良し3人組になっている


理由は勿論、海斗である

彼には2人は心底困っている

離れてくれれば良いのだが、何故か彼はずっとついてくるのである


小学生の頃も


「ねぇねぇ、どこ行くの?僕も連れてってよ!」


中学生の頃も


「おーい!2人でどこ行くんだよ!僕も連れてってよ!」


そして高校でも


「なぁ、近くにカラオケが出来たんだって!一緒に行こうよ!」


「…カラオケ…か」


「ごめんね、行きたいのは山々なんだけど…」


「え?一緒に来てくれないの?ミュウちゃん。」


まるで捨てられた仔犬の様にこちらを見つめる海斗、前回は仕方なく付き合ったが、今回はわざわざ行きたくない


「すまんな、俺達は前回でお金が残ってないんだ。」


「うん、ごめんね。」


「…そっか…なら…仕方ないか…」


「また機会があったら誘ってくれ、そんときは付き合うからさ。」


「その時は一緒に遊ぼ?」


そう言うと海斗は不満ではあるが、納得して自分の席に着く


そして2人は心底疲れた顔で見合ってため息をこぼす


「…気持ち悪い」


「ほら俺のタオル。」


ミュウは瑛人から受け取ったタオルで顔を埋めて呼吸をする

そうすると落ち着くそうだ


「…やっぱり、私、あいつ嫌い。」


ミュウは海斗が嫌いだった、生理的嫌悪感、それが海斗に抱く感情だ


海斗の臭いが

海斗の音が

海斗の声が

海斗の全てがミュウにとって嫌いなものであり


瑛人と全て逆な存在

最も関わりたくない相手…なのだが


それでも彼女達が海斗に付き纏われているのは、

彼の重度のメンヘラと被害妄想が激しいからである


今回はアレくらいで済んだがこの前は発狂しながら言ってくるため仕方なく付き合ったのだ


何故その様な事になったのか、それは小学生の頃に遡る


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続く カクヨムって書きにくい

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