第24話 記憶のカケラ

『ミュウって本当に悪役好きだよなぁ』


『悪役じゃないよ!ダークヒーロー!』


そんな言葉がミュウの頭の中を駆け巡る

悪役?ダークヒーロー?

訳がわからない、きっとエイトも同じ事が起きているのだろう


(…私はミュウ.フローラ、フローラ家の娘で…アメリカ合衆国からやって来た…)


不意に頭の中で思った事に疑問を覚える

アメリカ合衆国なんて、この世界にはない

しかし、間違いなく其処は自分の生まれ故郷だ


「……………」フラッ


頭の中がぐちゃぐちゃになっていて、訳がわからないが取り敢えず、シルフィ達の元へ行く


「ミュウ!大丈夫か!?」


ふらふらと動くミュウを心配して、カイトはやって来て、抱き締めようとしてくる


「触らないで!」


「え?」ビクッ


いつもなら無視か、#躱__かわ__#すだけなのだが、今のミュウは頭の中で起こっていることに困惑しており、普段と違う事をした


「ちょっと!カイトお兄ちゃんが心配してくれてんだよ!」


「そうよ!なのになによ!その態度!」


「幼馴染みだからって調子に乗らないでよ!」


「そうよそうよ!」


「貴女なんかに負けないんだからね!」


(#五月蝿い__うるさ__#、あんな奴どうでも良いのよ!)


彼女達の言葉は二日酔いに響く様な声で、ミュウの頭を刺激する

関わりたくないので無視してシルフィの所まで行く


「お…おい、大丈夫か?ミュウ」


「…ごめんなさい、ちょっと#瑛人__エイト__#の隣で休ませて。」


「わ…わかった」


「………」


エイトは先程よりは落ち着いているが、まだ何かを考えている様だ、シルフィはミュウを心底心配した顔で駆け寄り、エイトの側に座らせる


「ミュウ様、次は私が行きます、なので#暫く__しばら__#く#此処__ここ__#でお休みください。」


「ええ、ありがとう、シルフィ」


そう答えるとミュウはエイトの隣で休む

エイトはミュウに気付き、顔を#此方__こちら__#に向ける


「…ミュウ」


「心配しないでエイト、私も今困惑中だから。」


そう言ってエイトに今考えている事を話す


「…前世…と言って良いのかな?」


「…多分な」


前世、今の世界で生まれる前の世界

エイトは日本国で生まれ

ミュウはアメリカ合衆国で生まれた


「小さい頃にパパの転勤で日本に移住して。」


「#其処__そこ__#で、ミュウと出会った。」


親は日本語、英語で困惑して

子供は仲良くなりたいから必死に覚えて

それで他の子達よりも格段と仲良くなって


「高校の時に」


「…死んだ」


そしてこの世界に転生した、それは異世界転生作品とは違う、記憶を消してからの新しい人生だった


「…#魔王__ダークヒーロー__#…私が前世で思い描いたオリジナルヒーロー」


エイトの#英雄__ヒーロー__#と同じで前世の世界で思い描いた、自分だけのキャラクター、光と闇、逆の2人が織りなすWヒーロー

そのキャラクターの職業に自分達はなっている


「多分だけど、同じ能力も使える筈だ、頭の中でその技が浮かぶしな。」


なんで職業の儀式の時に思い出したのかはわからない…でも


「俺がお前に惹かれた理由がわかるよ。」


「私もなんでエイトには普通に話せたのか、今なら理解出来るよ。」


顔を見合わせて2人はクスリと笑う


「またお前の事を好きになるなんてな。」


「ホント、どうかしてるわ2人とも。」


『大きくなったら私をお嫁さんにしてくれる?』


『僕だけのお嫁さんになってくれるなら良いよ』


淡い記憶のカケラ、そんな懐かしい事を思い出して、2人は言う


「「彼奴だけは赦さない」」


そして2人は自分達が死んだ原因を作った人に目を向ける、激しい憎しみと共に


——————————————————————

続く

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