第41話美容手術2


「王女様をボーテ王国の医師に診てもらっては如何でしょうか? かの国は美容に関して近年高い評価をされております」


「ボーテ王国か……我が国に馴染みがない国だな。遠方という事もあるが医学に優れているとは聞いた事がない」


「元々は衣装や宝飾関係が有名でしたが、数年前に画期的な美容医学を確立させています。今では、世界中の上流階級の女性達から注目を集めている国です。ソバカスをのない雪のように白い肌を手に入れたとか。年配の夫人に至っては、若返りったと専らの評判です」


 怪しいな。

 大丈夫なのか?


「なかでも有名なのが醜女が絶世の美女になる手術らしいです」


「どんな手術だ! 改造されているではないか!」


「殿下、何時の世でも女性の美に対する執念は想像を絶するものです」


「り、理解できん」


「それが“女”という生き物でございます」


 男には分からん感情だ。

 だが、それほど評価を得ているのならリリアナの顔も元に戻る可能性があった。半信半疑だが何もしないよりかはマシだ。その手術費用は莫大な額らしいが、リリアナの将来を考えれば金など幾らでもだす。

 

 早速、ボーテ王国に手紙を出した。

 本当は直接病院側と話を進めたかったが「外交問題になります」と外務大臣に止められてしまった。仕方なく外交官経由で依頼した。数週間後に返事が届いた。だが、「リリアナ王女の年齢が幼過ぎるため手術そのものが出来ません」という断りの手紙だった。骨格が出来上がっていない年齢での手術は危険を伴うという内容付きであった。


 癇癪を起こしていたリリアナの月日が経つと次第に口数が減った。寝室から一歩も出ようとしない。何時も元気いっぱいだったリリアナの声が聞こえないと何やら寂しいものだ。

 このままではいけない。

 王宮から離れる事をサリーに提案し、意外にも受け入れられた。

 

 

 私達親子は南の離宮に移り住んだ。南は温暖な気候で暮らしやすく、風光明媚な土地として貴族達の別荘地帯にもなっている。何かと騒がしい王都に居続けるよりもリリアナのためになると判断したのだ。


 その後、リリアナが十五歳になり晴れてボーテ王国で美容手術を受ける事が出来た。


 

 



 「あぁ……あぁ……リリアナ!」


 サリーが人目も憚らず大量の涙を流しながらリリアナを強く抱き締めた。私もリリアナの髪を撫でる。元の姿に戻ったリリアナは初めて出会ったサリーを思い出して懐かしくなった。



 


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