第49話 か、勘違いしないでよね!?
前回のあらすじっ!
どうやら、俺の両親はもうダメみたいだ………以上っ!
俺の両親のことは、ほっといて寝ることにした。
そして翌朝日曜日、父さんと母さんはどうやら朝早くから出かけたらしい。少しの間だけでも帰ってきてくれたことに感謝しながら朝食を食べる。
今日は昼過ぎまでは喫茶店でバイトだが、その後は暇なので、溜まっていたマンガやアニメを消費しようと考えていたが……
「お兄、今日はバイト終わりにアウトレットに付き合ってもらうから」
「えっ!なんで!?」
「そ、それは………そう!荷物!荷物持ちのためよ!ちなみに、お兄に拒否権はないから」
「………はい」
どうやら、今日も俺はアウトレットに行くらしい。
(3日連続アウトレットに行くって、どこの陽キャだよ!)
そんなことを思う凛であった。
バイトが終わり、舞との待ち合わせ場所に到着する。
その時…
「ねぇねぇ!君一人のようだけど、これから俺たちと一緒に遊ばない?」
「結構です。人を待ってますので」
「そんな固いこと言わずにさ!」
と、そちらを見てみると、舞が男二人に絡まれてた。そして、あろうことか、舞が嫌がっているにも関わらず、男一人が舞の手を握っていた。
(おい!俺の妹になにしてんだよ!)
そう思ってすぐに舞のもとへと向かう。
「おい、お前、なにしてんだ?」
そう言って、舞を掴んでた男の手首を握る。
「痛ぇ!」
と、言って舞の手を離す。あとで舞の手を消毒しないと。
「テメェ!なにしやがんだよ!?」
「あ?それは俺のセリフだ!俺の妹に手を出してんじゃねぇぞ!?」
「妹?はっ!笑わせるな!お前みたいなパッとしない陰キャとこのかわいい子が兄妹?冗談は顔だけにしろよな!」
今の俺は目を髪で隠しているためか、そんなことを男たちが言う。
(いや、その通りなんだけど!でも!俺と舞が兄妹なのは事実なんだ!ここはしっかりとお兄ちゃんらしいことをしないと!)
そう思って、男たちに反論しようとすると、いきなり舞が俺の腕に抱きついてきた。
「!!」
咄嗟のことに俺が驚いていると…
「よ、よくわかったね!私と、か、彼は、こ、こここ恋人だから!」
顔を真っ赤にして男たちに言う。それを聞いた男たちは“ぽかーん”としてた。そりゃそうだ。見るからに陰キャな奴が、美少女の舞と恋人とか信じられないからな。しかも、舞がこんな陰キャと付き合ってるって言う噂が流れるのはよくない。
なので、一刻も早く誤解を解こうと、声を上げる。
「い、いや!そんなこ…痛っ!」
誤解を解こうとしたら、舞に勢いよく足を踏まれた。
なので、舞に文句を言ってやろうとしたら、“ねぇ、お兄、少し黙っててくれる?”と目が訴えていた。本気で。人を殺せるような目で……。
(それ、お兄ちゃんに向けたらダメな目だよ?)
「だ、だからもうほっといて!」
そのように、舞が男たちに言うと渋々引き下がってくれた。
男たちが見えなくなると俺は舞に声をかける。
「あ、あの……そろそろ手を離してもらえると……」
そう!まだ、あれから舞が俺の腕に抱きついたままなのだ!もう男たちはいなくなったからすぐに離してくれると思ったが……
「え、えーっと……あ!また私がナンパに合うかもしれないから、きょ、今日だけだけど、と、特別に、お、お兄の……か……彼女になってあげる!」
そんな提案を舞がしてくる。
たしかに今日の舞はいつもと違い、服もオシャレな気がする。
今日の服装は長袖の白のブラウスに黒のロング丈のフレアスカートを着ている。清楚な服装と、時折揺られるスカートが舞を一段とかわいくしている。
たしかに、この格好の舞が一人で歩いていると、男どもが声をかけてくるだろう。だが、舞の名誉のために、こんな俺が彼氏のフリをするのはよくないとは思うので…
「いや、こんな俺がフリをするのは、まずい痛っ!」
そんなことをしないよう提案するが、何故か足を踏まれる。痛いんだが!
「いい、お兄。答えは“はい”か“YES”か“任せて、ハニー”のどれかしかないんだよ?」
「最後の選択肢が一番おかしくね!?」
しかも選択肢は“彼氏になる”しかないんだが!?
「はぁ、わかったよ。今日だけだからな」
そう答えると満面の笑みで…
「う、うん!あ、じゃなくて………か、勘違いしないでよね!?べ、別に、私がお兄の、か、彼女になってみたかったとか、そ、そんなんじゃないんだからねっ!」
と、思ったけど、満面の笑みは一瞬だけだった。顔赤くしながら一瞬で俺から目線を外してそんなことを言いだす。
(こんな調子で俺たち今日一日、恋人のフリとかできるんかなぁ)
そんなことを思ったが…
「あ、あのね?えーっと……さっきは助けてくれて…あ、ありがと……」
と、時折目を合わせながら、モジモジしながら言う。
「お、おう」
(まぁ、今日くらいはいいかな)
そんなことを思う凛であった。
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