第35話 さっきから俺に対しての対応雑だな!?

前回のあらすじっ!

 後輩とショッピングしてます。そしたら後輩が手を握ってきました。俺、テンパってるなうです。以上っ!




「な、なぁ、お、俺はもう逃げたりしないから、て、手を、は、離してもいいよ?」


 そう俺が提案するが……


「い、いえ、ど、どうせセンパイのことなので、また言い訳して逃げるはずです」


(うっ、否定できない…)


 しかし周りからもチラチラ見られているので……


「あ!こ、この服!すごく山野に似合いそうだな!」


 できれば自然に手を離すよう促す。試着まで促せれば俺の勝ちだ!


「え!?どれですか!?」


 そう言われたので手に取った適当な服を見せる。


 すると…


「……………ホントにそれ、ウチに似合うと思ったんですか?」


 なぜかジト目をされる。


「え!あ、あぁホントホン……ってなんじゃこりゃ!」


 そう言われて確認すると俺が持っていたのは、なんとメイドのコスプレ衣装。


(いや!ピンポイントで選んではいけない衣装を選んでるやん!)


 そう思って訂正しようとしたが、女性店員さんがダッシュでコチラに向かってきて……


「お客様、お目が高いですね!こちら今、コスプレキャンペーンを行っておりまして、店内にいくつかのコスプレ衣装を陳列させていただいております!その中で人気の高いメイド服を選ばれるとは……。グッドですね!」


「いや、なにが!?」


 名札を見ると“店長”と書かれていた。このキャンペーンの中心者かよ!


「またまた〜、そちらの彼女さんに着ていただくために選ばれたんですよね!?」


「いや、ちが……」


「え、そのためじゃない!?じゃあ、もしかして、君自身がメイドのコスプレ衣装に興味があったか、メイドの服に触ってみたかった変態ってことに………」


「違います!コイツに着てもらおうと思ったんです!」


 そう言って山野を見る。


(コイツもメイドのコスプレなんかしたくないだろうから、断ってくれるだろう)


 そんなことを思っていたが……


「せ、センパイってメイド萌え?そ、それなら恥ずかしいけど着てみるのもいいかも。そしたら少しはウチを意識してくれるはず……それにあの胸だけ大きい女には負けてられないからね……」


 と、なにやら一人でぶつぶつ言っている。


(なに喋ってるかは知らんが、はよ断って!俺、ずっとメイド服持ったままなんだけど!!)


 そんなことを思ってたら、いきなり顔を上げて…


「着ます!」


 と、やる気に満ちた顔で返答した。


「いや、なんで!?」


「そ、それは……せ、センパイがその服を選んだからですよ!」


「うっ……」


(そう言われると返答に困るんだが!)


 と、返答に困ってると…


「おー!それではコチラへ〜」


 と、店長が山野を試着室へ移動させる。移動中に山野の耳元で何かを囁いてる。あ、山野の耳が真っ赤になった。なに話したんだろ?ってか!店長ノリノリやん!


(仕方ない。山野が決めたんだから諦めるか)


 そう思って俺は服屋から出ようとすると…


「グヘッ」


 なぜか制服の襟を掴まれる。え!今は山野いないよな!?


「ちょ!ちょっと!なに消えようとしてるんですか!」


 どうやら俺の襟を掴んでいるのは店長らしい。え!さっき試着室前にいたよな!?瞬間移動かよ!


「い、いやぁ、アイツも俺なんかに見られても……」


「はいはい、そんなこと言わないの」


 そう言いながら俺を試着室前に移動させる。


「さっきから俺に対しての対応雑だな!?あなた、店長だよね!?」


 そう言うが華麗にスルー。あれよあれよと試着室前に連れて来られる。仕方ないのでしばらく待つとカーテンが開き……


「ど、どうですか?ウチ……似合ってますか?」


 そう言いながら顔を真っ赤にしてモジモジしながら出てくる。しかも、スカートの丈が短かったようで、スカートの裾を抑えながら………。くっ!かわいい!


「あ、あぁ、かわいいし、似合ってると思うぞ?」


 可愛すぎて直視出来なかったので、顔を逸らしながら言う。おそらく、俺の顔は真っ赤になってるだろう。


「えへへへ……嬉しいです……」


「うん…………」


 と、しばらく無言の時間が続いたのであった。

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