第33話 なんですか?シスコンセンパイ?

前回のあらすじっ!

 後輩とアウトレットでショッピングしてます。おうち帰りたいです。以上っ!




 しばらく待ってタピオカを注文する。俺は抹茶味のタピオカを、山野はチョコバナナ味のタピオカを注文する。


「やっぱりタピオカって久々に飲むと美味しいな」


「ですね!ウチも久しぶりだったんですけど、やっぱり美味しいです!」


 そう言いながらストローでタピオカを飲む。


「そういえば、チョコバナナのタピオカって美味しいのか?」


「美味しいですよ!あ!なんなら一口飲みますか?間接キスになりますけど」


 ニヤニヤしながら俺に言う。


「ふっ、別にチョコバナナ味のタピオカが飲みたいってわけじゃない。美味しいか聞いただけだ」


「ふぅん、そーなんですね。その割にはさっきからすごくタピオカを持ってる手が震えてますけど」


(な、なに!?俺が“間接キス”って言葉に動揺しているだと!?い、いや、落ち着け!所詮間接キスだ。そんなので動揺するのは陰キャだけだ!………あ、それ俺のことだわ……)


「ま、まぁ、間接キスくらいでビビってないよ?今考えれば間接キスくらい妹とよくするから問題ないな」


「へぇ、センパイ、妹とよくするんですね。あのかわいい舞ちゃんと」


 山野は舞と同じ中学なため面識がある。そのため、ジト目で「この人、妹になにしてんだろう?」って伝えてくる。


「あ、あぁ。いや、よくするってわけじゃ………」


「シスコンセンパイ」


「いや、シスコンじゃねぇよ!?」


 全力で否定するが、山野のジト目が収まらない。


(いや、だってさ!ケーキとか甘いもの食べる時に舞が「お兄の味も食べてみたい」って言って口を開けて待機してくるんだよ!?だから、仕方なく“あーん”することになって…。それで妹とよく間接キスをすることになっちゃうんだよ!結論から言うと俺は断じてシスコンではない!)


「まぁ、センパイがシスコンなのは棚の上に置いといて……」


「いや、待って!置いとかないで!棚の上から引っ張り出して!」


 全力で止めに入る。


「仕方ないですね。なんですか?シスコンセンパイ?棚から引っ張り出してきましたよ?」


「あのですね……」


「なんですか?シスコンセンパイ。はやくしないと時間がなくなっちゃいますよ。シスコンセンパイ?」


「いや、もう棚の上に置いてください」


(引っ張り出してって言ったけど、話題だけだよ!誰が呼び名まで引っ張り出してんだよ!)


 置いとかないと一生“シスコンセンパイ”って言われそうだ……。


「そんなことより!ウチのタピオカ一口いりますか?」


 と、そんな提案をしてくる。


(あー、元々はそんな話だったなぁ)


「そうだな。折角だし一口もらうよ。あ、一口もらった後に“JKとの間接キスはお金が発生します”とかはなしだからな!?」


「いや、ウチそこまでひどくないですよ!」


 そんな会話をしつつ一口もらう。


「うん!チョコバナナ味も美味しいな!」


「ですよね!じゃ!センパイの抹茶味を一口ください!」


「ああ、いいぞ!」


 と言って山野に俺のタピオカを手渡すが……


「お、おい、そんな俺のタピオカを睨むように見ても何も起こらないぞ?」


「あ、あぁ!すみません!………えい!」


 そう言って覚悟を決めたかのように一口飲む。いやいや、覚悟を決めるほどなら飲まなくてもよかったんだけど!顔を見るとちょっとだけ赤くなってる気がする。


「ふぅ、美味しいですね!抹茶味も!」


「だろ?でも、覚悟を決めるほどなら飲まなくても……あぁ、なるほど。もしかして俺との間接キスを意識してしまったんだな?」


 いつもからかわれてばかりなので少しだけ揺さぶりを図ってみる。


(まぁ、そんな事はないんだろうけど……)


 すると……


「え、え!!そ、そそそんなことあるわけないじゃないですか!セ、センパイじゃないんですから!これだからセンパイは陰キャで童貞なんですよ!」


「ど!どどどど童貞じゃないやい!」


 少しからかったら何倍もの悪口が返ってきました。


(なんか思ってたのと違ったが、俺の心にダメージを負わされてしまったのでこれ以上はやめとこう)


 その時……


「う〜〜、不覚です。センパイとの間接キスを意識してしまいました……」


 と、ボソボソ言っているのは周りがうるさかったため、聞こえなかった凛だった。

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