第22話 ど、どうかな?やっぱり………ダメ?

前回のあらすじっ!

………あれ?前回の話が思い出せない……。




 いつの間にか朝のHRが終わっており、混乱しながら入学式の準備をする。


「なぁ、火口さん。なんかHRの記憶がないんだけど、なんで?」


「さ、さぁ……“やれやれ”みたいなジェスチャーをして、先生を哀れな目で見てたからだと思うよ?」


(はて?そんなことしたかなぁ?まぁ、どうせ大したことは話してないでしょう。っと、そんなことより…)


「なぁ、ホントに俺と一緒に弁当を食べていいのか?」


「う、うん。そのきょ、今日こそは、い、一緒に食べたいなぁ………なんて」


 顔を赤くし、モジモジしながら言う。かわいいかよ。


「いつもお昼誘ってくれてたからな。わかった。今日は楽しく食べような!」


「う、うん!」


 嬉しそうな笑顔になる。


(こんなに笑顔になってくれるんだったら、誘ってくれた時、一緒に食べてもよかったなぁ。火口さん、一人で食べている俺をすごく心配してくれてたからなぁ。多分、今日もなんか理由をつけて断られると思ってたからホッとしたんだろう)


「おーい、汐留!これちょっとステージ前まで持っていけ!」


 と、後ろの方で武田先生から声がかかる。振り返って見てみるとすごく疲れそうだったので……


「え、嫌なんで…………」


「持っていけ」


「……………はい」


 教師が生徒に向けてはいけない目をしていた。そして何故かビビり上がってしまう俺。


(な、何故だ!本能が“逆らうな!”と警鐘を鳴らしている!俺と先生の間に何かあったんだろうか!?いや、身に覚えがなさすぎる!)


 しかし、逆らうなと本能が言うので仕方なく働く。


「じゃ、また後で!火口さん!」


「う、うん!また後で」


 それを聞いて凛は先生のもとへ走って行く。

後ろの方で火口さんが


「絶対に涼風さんに負けないんだから!」


 との、気持ちの入った言葉は聞こえなかった。




 入学式の準備も終わり、昼休憩の時間となる。


「火口さんに汐留くん!今からお昼食べに行こ!」


 そう言いながら俺たちの席に来る。


「あぁ、いいぞ」


「うん!」


 そう言って涼風さんの後をついて行く。そして、いつも俺が一人で食べている場所、つまり昨日涼風さんと一緒に食べた屋上への階段に着く。


「さぁ、二人とも座って座って!」


 そう言われて俺が座ると涼風さんと火口さんが俺の左右に腰掛ける。


(ん?なんで俺を挟むの?普通涼風さんを挟んで座るんじゃないの?会話の中心となる涼風さんが真ん中に座ると思ったけど、まぁ些細なことか。女子二人の会話を真ん中で聞けるしいいかな)


 そんなことを考えてると……


「はい!汐留くん!これが今日の弁当だよ!」


 そう言って涼風さんが弁当を渡してくる。


「おぉ、ありがと!」


「ふふっ、どういたしまして!」


「ほ、ホントに涼風さんが弁当を作ってきてくれたんだ……。わ、私も!こ、こ、今度!汐留くんのために、べ、弁当を作っても……いい…かな?」


 徐々に俯きながら声が小さくなる火口さん。顔もだんだんと赤くなる。


「え!火口さんも?お、俺としては助かるんだけど……」


「ど、どうかな?やっぱり………ダメ?」


 顔を赤くして上目遣いで言う。


(くっ!かわいい!断らないと舞に怒られるんだけど、火口さんを断ることなんて俺にはできないっ!怒られる時はその時の俺がなんとかしてくれるはず!)


「ほ、ホントにいいの!?」


 先程の自信のなさから一転、満面の笑みで聞いてくる火口さん。


「う、うん。いいよ。俺も火口さんのお弁当食べてみたいから……」


「あ、ありがとうございます。わ、私、が、頑張るからね!」


 両手を体の前で握り込んで言う。かわいいかよ。


(ん?涼風さんはお礼の一環でお弁当を作ってきてくれたけど、火口さんはなんで作ってくれるんだろう?………あ!そういえば、いつもは妹が早起きしてお弁当を作ってくれてるって火口さんに言ったことあるから、少しでも妹の負担を減らそうとしてくれてるんだろう。なんて優しい子なんだ!)


 そう、一人で感銘を受ける。


「むぅ、私を放っておいて火口さんとイチャイチャするとは……」


 その涼風さんの呟きに


「い、イチャイチャなんかしてないわ!」


 と、顔を赤くして否定する俺と


「〜〜〜〜〜〜〜〜〜」


 顔を真っ赤にして悶えてる火口さんがそこにはいた。

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