第370話 帝国潜入 1
《sideナターシャ》
私は〜タシテ様と〜一緒に帝国に潜入しました。
「衛生兵! 衛生兵!」
ここは〜帝国と皇国の国境で、王国に100万の軍勢が迫るなかで気持ちはざわつきます〜。
でも〜、今は自分の生きる残る道を〜、確保することが大事です〜。
「は〜い。こちらにいますよ〜」
「すまない。皇国の襲撃を受けた! 治療を頼む」
ムキムキな体をした兵士さんたちが〜、どんどん押し寄せてきます〜。
みなさん頑張って働いているので、しっかりと治療が必要です〜。
「ありがとう。君が帝都から来てくれてから士気が上がっているよ」
「どういたしまして〜、頑張ってくださいね〜」
「おう!」
私が〜皇国との国境沿いに配属されたのは〜、ある人との出会いが原因です〜。
「おい! 衛生兵の中にナターシャという者はいるか?」
「は〜い〜! 私です〜」
「お前か? 本当に?」
「は〜い〜」
「そっそうか、ならついて来い。将軍がお呼びだ」
「は〜い〜」
私は呼びに来た兵士さんに連れて行かれたのは、将軍や司令たちがテントを張られている区画でした〜。
「こっちだ」
一番奥の天幕へと辿り着いて、テントの中へ案内されます〜。
「衛生兵ナターシャを連れて参りました!」
「入れ!」
「はっ!」
兵士さんと中に入ると、四人の男女が待っていました〜。
「ご苦労! 君は下がってくれ」
「はっ!」
兵士さんがテントから出て行きました〜。
「うむ、改めてご苦労。ナターシャ!」
薄ピンクのシュートヘアーに、動きやすい衣装を纏ったジュリア・リリス・マグガルド・イシュタロス様が一番奥に座っておられます。
私は衛生兵としてこの場では最も位が低いので〜、膝をついて頭を下げました〜。
「ジュリア様、どうして衛生兵をこの場に?」
ジュリア様の副官を務めるソレイユ様。
近衛騎士であり、歩兵隊長のゼファー様。
砲撃部隊隊長レベッカ様。
三人がジュリア様の側近であり、皇国から白虎領を奪った際のメンバーです〜。
ゼファー隊長は〜、皇国のクーガ皇王と引き分けたと言う情報もあります〜。
「うむ。彼女は友人でな。彼女にも色々と意見を聞きたいと呼んだんだ」
「そうでしたか? ナターシャといったな?」
ソレイユ様がジュリア様の知り合いだと聞いて、態度を軟化されました〜。
情報部門を担当されていると聞きましたが、元々は吟遊詩人をされていたので、本職ではないのでしょうね〜。
元々が良い人なのがわかります〜。
「は〜い〜。衛生兵のナターシャです〜」
「うむ。独特な話し方をするやつだな。どこの出身だ?」
「元々は王国なんです〜」
「何っ!」
私は隠すことなく正直に答えました〜。
「ジュリア様!」
「ソレイユ、先ほどからうるさいぞ! ナターシャとはアレシダス王立学園に潜入している際に出会ったのだ。そして、彼らが夫婦で新婚旅行でこちらに来ている際に戦争が起きてしまった。旦那が仕事で先に帰って困っているところを私を頼って来てくれたんだ。放ってはおけないだろ」
「はぁ〜ジュリア様はお優しいのですから! スパイだと考えないのですか?!」
正解です〜。
「それは考えているに決まっているだろ? だけど、今の彼女には連絡手段はない。それに王国陣営ではなく、こちらに連れてきたことで助けを呼ぶこともできない。今の現状は自由にしながらも檻の中にいるようなものだ」
「なるほど……、ちゃんと考えられているなら、問題をわかっておられるならいいのですが、それで? そんなスパイだと疑う人間をどうして幹部会議に?」
そうですね〜、私もそれを知りたいです〜。
「彼女を私の幹部として出迎えたいと思っているんだ」
「なっ!」
「ほう〜!」
「ふん」
三者三様の反応です〜。どうやら話し合ってはいなかったようです〜。
「何をお考えなのですか? 見たところ、年齢はジュリア様よりも若い。確かに衛生兵としての能力は高いようですが、それ以外に何があると言うのですか?」
三人から凄い睨まれます〜。
「ふふふ、私が友人だと思っている人物が随分と彼女を頼りにしていてね。彼女はそれに答えられる人材だと言うことを証明していた」
あ〜、リューク様のせいですか〜、私を〜大規模魔法実技対戦で登用したことが、ジュリア様の目についてしまったようです〜。
「いいでしょう。ジュリア様は我々を見出してくれたお方でもあります。ジュリア様が見定めたいと言うのであれば、我々も彼女を見定めさせていただきます」
「ああ。そのつもりで今日はここに呼んだんだ。ナターシャ。三人のことは知っているか?」
「もちろんです。副官のソレイユ様。近衛隊長のゼファー様。砲撃隊のレベッカ様です」
「うむ。紹介は不要だな。今後は会議がある際は呼ぶので来てほしい。それと兵士たちが、衛生兵に天使がいると噂になっている。帝国兵の士気をあげてくれてありがとう。助かっているぞ」
ふふふ、ジュリア様は狐さんですねぇ〜。
どうやら私は、ジュリア様と腹の探り合いをしていかなければいけないようです〜。さて、私は生き残るために全力を尽くすとしましょう〜。
あとはタシテ様の救出を待つばかりです〜。
「謹んでお受けいたします〜。誠心誠意帝国のためにお力を尽くさせていただきます〜」
「ああ! 頼んだ」
私は〜深々と頭を下げてそっと口角を上げました。
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