第249話 海域ビフォーアフター
なんということでしょう。
元々は、深海へと続く危険な海だった場所は、綺麗な珊瑚礁が見れる美しい砂浜に変化を遂げました。
海怪々と呼ばれる海の化物が回遊しており、人が襲われていた海はカリビアン地方のリューを中心に、人が遊べる安全で危険のない海水浴場へ様変わりしたのです。
さらに、リューの住民と分けられて設けられた場所には、プライベートビーチが作られ、見目麗しきヒロインたちが様々な水着を身に纏い、楽しそうに戯れています。
「パラソルの下で寝てばかりで退屈ではないか?」
真っ赤なハイレグハイカットのセクシーな競泳水着を着ているリンシャンに声をかけられる。
ポニーテールに結んだ赤い髪と水着がよく似合っている。
「僕は怠惰なんだよ。日差しの下に出て泳ぐよりも、君たちの姿を見ている方が楽しいよ」
「なんだか、おじさんくさいぞ」
「そうかもね」
リンシャンから視線を外すと楽しそうに遊ぶシロップの姿が見える。
真っ白なビキニを着たシロップは、お尻から伸びる尻尾を隠すためにパレオを巻いている。身長が高くスタイルがいいので、どこを見ても楽しめる。
シロップに向かって、空気の入ったビーチボールをアタックするアカリは大きな胸が弾んでいた。
オレンジのビキニから今にも溢れ落ちそうになっている。
ミリルは、シロップの後ろでオロオロとしながらも、アカリの打ち返したビーチボールをレシーブした。
露出控えでフリルがついたワンピース水着がよく似合っている。
控え目な胸元と、最近動けていない体型を隠すには良いデザインだと思う。
シロップとミリルチーム。
アカリとルビーチーム。
四人は上手くバランスをとりながらビーチバレーを楽しんでいた。
ルールを説明するのに苦労したけど、やっぱり砂浜の遊びと言えばだよね。
しかも、胸の弾みはボクの目を癒してくれる。
ルビーはグリーンのスカートタイプのビキニ水着から尻尾が伸びていて、ボールが飛ぶたびに目が追いかけて楽しそうだ。
リンシャンとチームのリベラは、紺色のスクール水着にキャップ帽をかぶって砂浜で城作りに勤しんでいる。
幼女体型になったバルニャンが、可愛い水着をきてリベラの手伝いをして楽しそうにしている。
「みんなバーベキューの用意ができたわよ」
カリンの声が聞こえてきて振り返れば、誰よりも大きな胸を揺らすカリンが、こちらに手を振っている。
パレオを巻いたカリンは、日に焼けないように薄い上着を羽織り胸元だけが強調される。
「はーい! 妾は楽しみなのじゃ!」
一番早く駆け付けたのは、シェルフだ。
貝殻をつけた胸元、足は魚ではなく人の足へ変身ができるので、大事なところを貝殻で隠している。
「ありがとう。カリン」
ボクは用意してくれたカリンにお礼を言って、全員でバーベキューを楽しんだ。
「私は作るのが好きだからいいの。それに海と共に生きてきた私にとって、海で遊べる日がきたことだけで凄く嬉しいのよ」
「そうなの?」
「ええ、カリビアンに住む者にとって、生きるために必要な海だけど、戦いの日々だったんだから」
「そうだね。海は危険な場所だって、聞いてたよ」
「でしょ」
砂浜を作って、綺麗な珊瑚礁が見れるようになったことで一番喜んでくれたのはカリンだった。
ヨットや小舟はカリビアン海域を出なければ漁も安全にできるようになった。
遠出をする船にも海怪々である海坊主の護衛をつけることで、今までよりも安全に大きな船を遠出させられるようになった。
「リュークが深海ダンジョンを手に入れてくれて、本当によかったわ」
「カリンに喜んでもらえてボクも嬉しいよ」
最近は魔物だけでなく、養殖の魚などもカリビアン海域で育てるようにしている。
今後は各地で戦争が起きて食料問題になる。
そのため解決策を設けた。
「リューク、こんなに遊んでいていいのか?」
「うん? どうして?」
「そろそろ王国剣帝杯が開催されるぞ」
「ああ、そういえばそんなイベントもあったね」
「イベントって、お前が剣帝杯を見に行くと言っていただろ」
「言ったね。今年はどこで開催されるんだっけ?」
カリンからもらった肉を食べていると、秘書的な役目をしているリンシャンが問いかけてきた。
「ベルーガ辺境伯領だ」
「ああ、そうだったね。それにしても戦争をしているのに、剣帝杯は行うんだね」
「戦争はどこかの国でいつも行われているからな。実際、今回はデスクストス家が参加したことで大規模になっているが、アクージ家は常に帝国と小競り合いはしているぞ」
「まぁそうなんだけどね」
「それに剣帝杯は、武を競う大会であると同時に、四年に一度開かれることで、各国の武人を集めて世界平和の願いも込められているんだ」
リンシャンの言葉に、ボクとしては微妙な気分になってしまう。
「世界平和ねぇ〜まぁお祭り騒ぎみたいなもんなんだろうな」
「実際、アレシダス王家は戦争の宣言はしていない。だから、一貴族が他国に喧嘩を売っているだけの状態なんだ」
「それはそうだね。ふぅ、他にも王国剣帝杯を開くことで、各国の思惑が裏で動いてそうだけどね」
ボクとしては沈黙を守っている帝国。
仲裁をしている教国。
それぞれが何を思っているのか、そして小国たちも最近は連合を組み始めているという話が、タシテ君から連絡が来ていた。
「ふむ。ベルーガ辺境伯領に行ってみるしかないね」
「ああ、途中でマーシャル領にも寄ってくれると嬉しい」
「そうだね。通り道だし御両親に挨拶しに行かないとね」
「バッ、バカ。そういう意味ではない! エナガ隊の補充のためだ」
顔を赤くしながらも満更ではないリンシャンの態度にボクは笑みを浮かべてしまう。
ただ、剣帝杯という面倒な行事について、考えなければならないことにため息を吐いた。
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