第196話 ナイトルーティン
アレシダス王立学園は選択授業で生徒たちの授業が終わる時間は、バラバラになっている。三年次になれば余計に自由度が増して、ボクなどはほとんどすることがない。
そのため放課後になると、ボクは自室に帰って夜に出かけるための準備をする。準備といっても着替えをして寝る前のナイトルーティン用のスキンケアや洗顔などを早めにして置くだけだ。
なぜ夕方の早い時間にするのかという話だが、ここからは部屋に帰ってくる日が少ないからだ。
カリンがいた二年次までは、授業を終えるとナイトルーティンを終わらせてカリンが作ってくれる夕食を共にする。
ボクにとってカリンと過ごす時間が一番大切だったのでそれが当たり前だった。その後はカリンに用事がなければ、カリンの部屋へと向かうのが決まりだった。
カリンが卒業して、一緒に過ごす人がいなくなったことで、ボクは彼女になったヒロインたちと過ごすことにした。
彼女たちと過ごすにあたり、ナイトルーティンを済ませておく必要がボクにはあるのだ。まずは寝る前の準備を先に済ませておく。そして、夕食の時には炭水化物を取らない。基本的には野菜と肉が中心の食事で、お酒を楽しむようになった。
お酒も糖質に入るので肌を老化させてボロボロにさせてしまうと聞いたので、極力炭水化物を抜くことで帳尻を合わせた結果なのだ。
酒の後に麺や米を食べる習慣などもってのほかだ。
炭水化物はエネルギーとして、昼に取るようにしている。
お酒を飲んだ胃を休ませるために、朝食も消化の良いものしかとらない。
美容と健康はボクにとって、やらなければ気持ち悪いほど当たり前の習慣になった。ナイトルーティンと決まりごとを確認して部屋を出る。
未だに訓練している者や、部活動のようなサークル活動をしている者たちを尻目にボクは飲食店街を目指した。
最近は、曜日によって飲む相手が決まっている。
月曜日は、リベラとタシテ君。
大規模チーム戦の打ち合わせをするために、二人がボクへの報告をしたいと三人で食事をとるようになった。
報告が終わった後は、タシテ君が先に席を外して晩酌はリベラが務めてくれる。その後は、二人の気分次第でリベラの部屋へと赴くこともある。
火曜日は、ミリル、ルビー、アカリの平民三人娘との食事を摂る。
彼女たちには、それぞれ仕事を頼んでいるので、この日も報告会になる。
ミリルやルビーは、飲食店街の食事を楽しみにしている節もあるので、食事はその日の気分で決めている。
もちろん料金はすべてボクが支払うので、彼女たちには全ての食事を楽しんでもらいたいと思っている。
食欲旺盛なミリルは食べることをメインに食事を楽しみ。
ルビーとアカリは飲むのを付き合ってくれる。
その後の夜は、流れでボクが三人から決めて夜を過ごしている。
水曜日は、アンナの手作り料理を食べにアンナの部屋へと訪れる。
ボクの横にはエリーナが座っており、アンナは二人のために料理を作って提供していくれる。
もちろん食事をするときは、アンナにもテーブルについてもらって三人で食事を摂るようにしている。
エリーナはワインを飲むのが好きなので、一緒にワインを飲んで一本を空にしたところでエリーナは寝てしまう。
二人きりになるとアンナが熱い視線を向けてくるので、少しだけ遊んであげて部屋を出る。
木曜日は、野外の森ダンジョンでテントを張ってキャンプをするようになった。キャンプをしているところへリンシャンが姿を見せる。
他から見れば、リンシャンは訓練しているだけでボクに会いに来ているわけではない。一応学園ではリンシャンとは敵対家の者同士なので、リンシャン派の生徒に配慮して誰も来ない場所で二人きりの時間を楽しんでいる。
この時だけは、料理はボクが作ってリンシャンを出迎えるようにしている。
リンシャンは、お酒が飲めないのでお茶を用意して静かな時を共に過ごす。
二人きりの会話としては、リンシャンが戦略や戦術について語るのをボクが聞いて、アドバイスを授けるということが多い。
ボクから話すときは、魔法の話をして、リンシャンは楽しそうに聞いてくれる。他にも前世の知識から面白い話を聞かせると子供のような顔をして。
「リュークは、色々な知識があって凄いな!」
と喜んだ顔を見せてくれるので可愛い。
金曜日は、シーラス先生の研究室で二人きりの研究をしている。
シーラス先生は、家事全般があまり得意ではない。
研究室もゴミが溢れていたので、バルニャン、クウと共に片付けをして今は綺麗に研究室を使えている。
シーラス先生は意外にもビール党なので、ビールに合うツマミを持参して、魔法や恋愛の研究をするのは楽しい。
土日は、その時のタイミングが合う人と過ごすようにしている。
たまに一人になるので、そんな時は一人で飲食店街に行ってジュリと酒を飲む。彼女はあまり自分のことを語らないが、その日の出来事や思ったことを口にする。
これがボクのナイトルーティンで、怠惰なボクとして随分と忙しい日々だと思える。
ふと、日曜日の夜になると、一人で過ごしたい時があり、森ダンジョンでキャンプをすることもある。
ハンモック代わりのバルニャンに体を預けていると、ひょっこりとココロがやってきて、いつの間にか寄り添うようになっていた。
何かを語り合うわけじゃなく、綺麗な夜空を眺めながら話をするのは悪い気分ではない。
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