うそつき市長(その8)



可不可に、わざわざ出かけて調べた市役所と法務局の話をした。

「永田市長の事務所の住所は、美香ちゃんのお母さんがママをやっているカラオケスナックのそれだった。・・・ついでに調べると、このスナックを運営する株式会社の代表はお母さんになっていた」

「ということは、政治の事務所として市長はスナックに家賃を払っていたということですね」

「そこは、リコール運動のHPにある通りだ」

「それだけではない。ついでに美香ちゃんと母親が暮らしているマンションの登記をチェックすると、所有者はこのスナックの運営会社になっている。抵当権は設定されずに、会社がローンではなくキャッシュでマンションを買ったことになっている。実際には、それはありえない。市長からのプレゼントだろう」

「永田市長の政治資金がマンション購入資金の出所ですか?」

「リコール派のHPにはそこまで書いていない。リコールされた永田市長が立候補した時点で、そのネタをぶっつけることを考えていたのかも知れない」


「やはり市長は自殺した。どこかで舌を噛み切って自殺したのをワゴン車に乗せて運んだ」

「可不可は、それがどこかを知っているよね」

「それをいっしょに言いましょうか?」

「せ~の、・・・美香ちゃんのマンション!」

ひとりと一頭は声をそろえて言った。

「美香ちゃんのお母さんは、永田市長とは長い間愛人関係にあった。市長はお店もマンションも与えたが、万一秘密が漏れた時のことを考えて、すべて運営会社の名義にしておいた。これは断言してもいい」

「市長は、美香さんの母親のマンションで自殺した。テロリストの仕業に見せかけるために、針を呑ませて小指を切って遺体を自宅まで運んだ」

と、可不可があとを続けた。

死体遺棄罪なら何年の懲役刑だろうか?

いずれにしても、中学2年生の森本美香にとっては過酷な運命が待っていた。


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