第4話 町の探索

 無事?いや無事ではないか。とりあえずギルドカードは発行された。

 個人情報を保護するために、ステータスや加護などは隠すことができるようになっていた。

 私はいろいろとばれたらまずいものが書かれているので隠すことにした。


「さて、宿も借りれたし、少し狩りでもしてみようかな。」


 ギルド長に宿を紹介してもらい、そこをとりあえず1か月ほど借りることにした。

 ギルド長紹介ということで値段もずいぶん安くしてもらってすごく高そうな宿なのだが4分の1くらいまで値段を下げてもらった。

 1か月で金貨10枚だ。


 正直私の実力は自分でも把握できていない。まだ一度も戦闘になっていないからだ。

 とりあえず森で適当に魔物を狩ってきたら買い取ってくれるようなので森へ向かうことにした。


 門を出て10分ほどのところにその森はあった。

 結構強い魔物も多く出るということだったので上級者向けの狩場だそうだ。

 ギルド長から初心者用の狩場では狩らないでくれと言われているので仕方なく初戦闘から上級者向けコース入りだ。

 最近は魔物が多く出没しているらしいので気を引き締める。

 さあ!魔物さん出ておいで!!


1時間経過


2時間経過


3時間経過


4時間経過


……。


「ちょっと?!!?!?!魔物全然でないんだけど!!!!」


 本当に魔物が出ないのだ!なんで!?いっぱい出るんじゃなかったの??


「チナリ、君はステータスがものすごく高い。魔物は強者のオーラがわかるんだよ。君は強者のオーラがプンプン出てる。だから魔物が出てこないんだ。ここら辺に出没する魔物じゃチナリにかすり傷さえつけられないだろうね。」


 いや、早く言ってよ。

 どうやらここの近くで私と戦ってくれるような魔物は出没しないということだったので私は仕方なく宿に戻ることにした。

 とりあえず市場へ行ってみることにした。




 ヘルキンスという町はこのヘリティア王国の中でも有数な都市のようだ。

 そのために市場がマジで広い。本当に広い。とりあえず貨幣の価値を確認するという意味も込めて市場を見て回ることにした。


 あれ?あれあれあれ?

 どの商品も銅貨や銀貨で取引されていて、金貨なんて高そうな宝石くらいしか取引されていない。

 え?あ。


 私は気が付いてしまった。

 私は誰からお金をもらっただろう。そう、神様だ。

 神様が情人と同じような金銭感覚なわけがない。多分このくらいかな~、ふんふんふん♪とか思いながら適当に様々な種類の貨幣を100単位で送って来たのだろう。

 多分私が読んでいた小説と貨幣価値は同じだ。

 つまり私の今の宿は400万円相当の宿で、割引されたとしても100万円を払ったと考えていいだろう。

 ああ、完全にやらかした。

 多分ギルド長の目には私はこう映っているだろう。


 どこからともなくやって来た黒色の珍しい髪色をした少女は規格外なステータスで、神の御使いであり、100万円を簡単に出すことのできる大金持ちであると。

 終わった。私の人生終わった。

 あ!お金で思い出した!この服どうしよう!!

 さっきからなんか注目されるなと思ったらこの服か。

 もう完全に忘れて普通にこの服で森に行っちゃったよ。

 ということで服屋に向かうことにしました。




「いらっしゃいませ。」

「あの、何か服を見繕ってほしいのです。値段は金貨1枚まででお願いします。」

「き、金貨ですか!?はい!ただいま!!」


 前の世界から持ってきた服は売らないことにした。

 私が持ってる唯一の前の世界の物だし、多分何かしらの機会で使うことができるだろうから取っておくことにしたのだ。

(おい神。アイテムボックスほしいんだが。)

(え!?今日初めて会ったよね!?なんかひどくない!?)

(うるさい常識知らず!!アイテムボックスほしい!)

(あぁもう!わかったよ!アイテムボックスね!!)

 神様はめちゃくちゃ親しみやすいことが分かった。

 われは神であるみたいなよくわからない偉そうなやつではなくフレンドリーで優しい神様です。

 アイテムボックスはすぐに作ってくれた。アイテムボックスと唱えればすぐに開くようになっている。

 取り出すときは取り出したいものを考えてアイテムボックスに手を突っ込めば取れるようで、容量はほぼ無限に近いそうだ。


「このようなお洋服はいかがでしょうか?」


 そういって店員さんに渡された服はいかにも異世界貴族みたいな感じであまり好きではなかった。


「もうちょっとおしとやかな奴はない?私ギラギラしたのは嫌いなの。」


 異世界でなんかめちゃくちゃ強いわけのわからない神様の御使いだとしても私の根は陰キャだ。

 ひらひらした服なんて来たくないしなんかイヤリングとかもつけたいわけではない。

 おしとやかでいいの!大和撫子だから!!


 そういって店員さんといい感じに交渉した結果この世界になじむような見た目ながらもいい素材を使った服を2着購入することにした。

 おつりが小金貨1枚分あったようだが選んでくれた料金として寄付することにした。


 ああ、私いまから12時間前は日本の家で寝てたんだよ?

 考えられない。今日はいろいろありすぎた。

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