第109話 災害ケルベロス

〜エルフ〜


「なぁあぁぁぁ!」


恥ずかしいかった〜!


「よしよし、いい子…」


神様ワールドに来てからずっとこんな感じ。

1時間ぐらい叫び続けて、やっと脳内の私は冷静になりつつあるけど、エルフボディからは恥ずかしい感情が凄い…


「お茶でも飲むか?」


女神様と偽チャラ男に慰められながら、なんとか落ち着かせようと頑張ってます。


「のむぅ…」


「あいよー。」


「ありがと…ゴボ!」


苦い!

なんだこれは…


「あ、すまん。これお茶パック入れっぱなしだったわ。」


そりゃ苦いわ。


「偽チャラ男がぁぁ…」


「おー、よしよし。あの偽物怖いよねぇ〜。」




ー落ち着くまでお待ちくださいー




「もう大丈夫かな?」


「うん…」


完全に落ち着くまでめっちゃ時間かかった…

2人が話あるって言ってたけど、この調子じゃ無理だから空間の時間止めてもらった。


「じゃあ、始めるか。」


ちょっと真面目なチャラ男。髪色が金髪から、ほぼ黒髪で少し金髪になってる。

それに、テンションが変わりすぎて偽物にしか見えない。


「まぁ全部話すと長くなるし、リースには関係ない話が殆どだから詳しくは省くけどね。」


「そうだね。まずリースが戦った奴、ケルベロスは操ってる奴がいる。俺を含む神の敵、悪魔だ。」


悪魔居るんだね。

ちょっと前、神様に天使はいないって言われたから悪魔もいないと思ってたよ。


「悪魔の誕生方法とかは知らん、神みたいに突然発生するらしいが誰も見た事ない。」


「わかってるのは、新しい神が生まれると同時に悪魔も生まれるってことぐらい。」


まず雰囲気でわかる様に敵対関係、悪魔は神を滅ぼす事を目標に活動してるらしい。

個体で目標が少し違うみたいだけど、最終的に辿り着くところは同じ。


なんで居るのかは、襲撃をしてきた世界に居た悪魔が流れてきた説が有力。

神様達が戦った悪魔と同等の強さなら、エルフボディが全力を出さないとヤバいっぽい。


他にも悪魔だけが使える魂消費して使う魔法、人の感情によって強くなる、ケルベロス以外のヤバい敵を教えてもらった。


最後まで聞いて思ったよね。


この世界、かなりピンチ…


だって結構ヤバいよ?

私達『守り側』主戦力エルフボディ

相手の『侵略者』主戦力ゴーレム?

新陣営『悪魔』主戦力ヤバい怪物


私達は2陣営の攻撃から世界に住む人を守りつつ、相手を倒さないといけない。


…ヤバい(確信)


「ヤバい…」


エルフボディもそう思うか。


そうだ、少し話変わるけど悪魔の話はちょっとだけ面白かった。


「ヤバいよ。でも僕達がいれば多分大丈夫!」


多分かい!


「爺さんが居なくても、俺が帰ってきたし大丈夫ですよ。」


「……」ジト〜


やっぱり変だな。

髪色が黒と金で点滅してる、調子良くなると金よりに悪くなると黒に。


「そろそろ帰っても大丈夫そうかな?」


「え…あっ、うぅ…大丈夫。」


大丈夫…うん、多分大丈夫。

琴音さんの顔見たら、少し恥ずかしくなっちゃうかもだけど…


「じゃあまた夜ね。」


「うん、またね…」


ーーーーー


「あ、起きた。」


んー…

セーフ!


「お、おはよう…」


琴音さんの顔見ても、なんとか普通で居られる。

少しだけ恥ずかしいけど…


「大丈夫かな?ビックリさせちゃったよね…」


なぜ掘り返すのだ。

いやわかってる。

琴音さんが神様ワールドで悶えてた事を知ってれば別だけど知らないし、

嫌われちゃったかな…って考えてる雰囲気を感じるから聞いたんだってわかる。


「大丈夫…」


「ほんと?無理してない?」


「好き、大丈夫…」///


ん?

エルフボディで言って私で照れるという、かなりの高難易度なテクニック…


「え?」


思っては居たけど口に出す予定ではなかったのに

ほぼ無自覚がぁぁぁ!


「あ、え、えーと…隣行ってくる!」


「待ってリースちゃん!」


ヒャーー!


後ろから追いかけてきてる気配は無し!


(すまんリース!緊急だ!)


「ふぇ…?」


チャラ男の声が聞こえたと思ったら、転移する時に起こるフワッとした感覚が襲ってきた。



〜国の偉い人〜


「災害、か…」


「アレは災害以上に似合う呼び方など、ないでしょうね。」


大量の資料に囲まれながら秘書と話す。


キッカケはなんだったか。襲撃のタイミングを知らせてくれていたタイマーが発動せず、海から巨大な怪物が現れたこと。


その怪物の見た目から『ケルベロス』と名付け、

近隣の住人には直ちに避難するよう命令を出し、被害をなんとか最小限に抑えた、死者は奇跡的に0人となり偉業だという者も少なくない。


しかし


「次はイギリスですか…」


「守護者は?」


「ほぼ同時に現れたそうですね。インドでは守護者が被害者を出さない様に行動してるおかげもあり、死者は確認されてません。」


「そのパソコン、情報回るの早いね。」


日本は現れたケルベロスに対し何も出来なかった。

避難誘導などは行なっていたが、ケルベロスに対して自衛隊では有効な攻撃手段がなく魔法使いを頼る寸前までいっていた。


これではダメだと判断し、魔法使い達へ連絡をする寸前で守護者が現れ自衛隊を救ってくれたのだ。


「討伐はできたか?」


「いえ、ダメみたいです。大勢の人達を守りながら戦っていますし倒し切る事はないかと。」


ケルベロスへの対応は意見が割れている。

基本的に銃などは効かず、我々に出来ることは逃げる事。

被害にいては守護者が人々を守ってくれているが、守る事に重点を置いているのか攻勢には出ていない。


「次は何処だろうか。」


「順当にいけば、オーストラリアかブラジルの人口が多い場所でしょうね。」


ケルベロスは何かしらの方法で転移を繰り返している。

人々を襲い、ビルを壊し、転移前に咆哮。

最後の咆哮がまた厄介で怪我人が続出している。


「いつまで続くのか…」


「多分ですが国家間で緊急の会議が行われるので、終わっても休めませんよ?」


はぁ…

この仕事絶対やめよう…

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