第108話 ご飯がぁ…

〜エルフ〜


「皆を治療してくれてありがとう。」


「ん…」


自衛隊さん達に魔法で治しました。

私はエルフボディが頑丈なので問題なかったんだけど、流石にただの人である自衛隊さん達は軽症とはいかなかった。


「ちゃんと、聞こえる?違和感無い…?」


「あぁ、問題無い。」


特に最後の咆哮で鼓膜に傷を負った人が沢山居た。


「あの、アイツは倒したのですか?」


最後消えただけで、本当に倒してからわからないよな。

それとあの黒い口、エルフボディと同等の力がないと出来るとは思えない。


(倒してねぇな。アレは一種の転移魔法だ、長くなるから説明は今夜な。)


「倒してない…」


「え!」


周りに居た人達は皆驚いた顔してる。守護者である私が戦いに負ける事はなくとも逃した事にビックリしてる。

まぁ、私が無敵だと思ってたらそりゃ驚くか。


「もし、また現れたら倒せるのですか?」


「被害、考えないなら…」


「どれほどの被害を想定してるんです…?」


「たくさん…」


実際、全力で戦ったら中心から10キロぐらいはボロボロになるかな。


「ハハハ、それは勘弁してほしいですね…」


質問してきた壁走りさんも苦笑いしてる、

まぁ…だろうね!


(リース〜!探知した感じ怪我人はもう居ないから1回帰ろ?)


おっけー、女神様。


「帰る…」


「そうか、また会えるか?」


ん?

なにそのテンプレなセリフ。


「多分…」


「そこは会えるって言ってくれないのかぁ…」


「バイバイ…」


これからどうなるか、私にはわからないけど生き残れる事を祈るよ。


(飛ばすよ〜。)




「「「「ヒューー!」」」」


「やめろやー!」




ーーーーーー


転移で帰ってくるまで、ケルベロスの事ばかり考えていた私でしたが泣きたいです。


「美味しかったねぇ〜。」


目の前には、私のお昼ご飯があったであろう皿が置いてある。


そう、あったであろうなのだ。


「う…うん……」


「嫌いなのあった?」


違うんだよ琴音さん…

私はお昼ごはんを食べてないんだ、食べたのは身代わりなんだよ…


「グスッ…」


「えぇ!」


落ち込んでる私を心配して頭撫でたり、頬っぺたムニムニしてくれてる、だけど落ち込んだ心は戻らない。

もうケルベロスとかもどうでもいいよね。


「なにがあったんだい?」


「急だったからわからない。不安になっちゃったのかな?」


でも、不思議とお腹は空いてないんだ。

神様パワー?私は食べた事になってるの?


(爺さんの魔法だからよくわからね。まぁ、お腹空かないなら我慢してくれ。すまんなリース。)


うぅ、ママさんのご飯…


「朱音ちゃんどうしよう…」


「少し落ち着くまで待つか、姉さんがボケて和ませるかぐらいかと。」


それは、だいぶ無茶振りだと思うよ?


「和ませる…わかった。」


やるんだ?!

琴音さんが撫でるのをやめ、2人で向き合う形になるよう座り方を変えた。


「…!」


両手を私の頬に当て目を合わせて


「チュー、しよ。」


「「は?!」」


近くにいた、ママさんと朱音さんが驚いてる。


「…!」///


え、チューって…

やばいぃ、顔が赤くなってるのがわかる!


「なーんてね。」


うん、知ってる。

話の流れ的にそうだよね、わかるわかる。


でも目は開けられない、恥ずかしい!

しばらくの間は琴音さん直視できない。


「ふぇ、んー…」


「あ、あれ?」


それとエルフボディ、唇を差し出すのは辞めなさい。恥ずかしさの増加を抑えられなくなっちゃう。


「姉さん、ここはいくしかないです。チュッとやっちゃいましょう。」


「………」


何故か楽しげな朱音さんと我関せずのママさん。


「え、本当にやるの?」


「当たり前じゃないですか。冗談とはいえ姉さんが先に言って、リースちゃんが待ってくれてるんですよ?」


ヤバい、完全に忘れたと思ってたの感覚が出てきそう。

琴音さん美人だし、優しいし…


「ふぅ…いくよ?」


あーー!ダメダメ!

ちょっと待って?本当に…


「ヒュッ!…あぁぁ……」


もう、ダメ…



〜白仁朱音〜


まさか冗談で言った筈の、ボケて和ませるでこんな事になるとは…

ボケの内容はキスしよう、私の考えたリースちゃんの反応は、顔が赤くなって照れるまでは合ってました。


意外と乗り気だった事を除けばですけど、私も姉さんも固まりましたね。


でも有耶無耶にする事は私にはできません。

時間が経つにつれて目元に涙が溜まり始め、リースちゃんが凄く勇気出してるのがわかります。


「いくよ?」


あと少し、本当にあと少し!


「あぁぁ……」


「あっ。」


暫くの間、近距離で見つめあってた2人、でもリースちゃんが限界を迎えて気絶に近かったですが眠ってしまいました。


「危なかったぁ…」


リースちゃんが寝たのを確認して、キスをせず顔を離しました。

姉さんはヘタレ。


「いやぁ、少し照れればいいな程度だったんだけど、予想以上に乗り気でビックリしたよ。」


「チューぐらいなら良いのでは?」


「…違うんだよ。」


よく見たら姉さんの顔もほんのり赤いですね。


「最後までやっちゃったら、リースちゃんの事をそういう目でしか見れなくなれそうで…」


あー、そういうことか。


姉さんはモテる、でもモテるだけでそれ以上の関係にはならない。

いつだったか、放課後に男子に呼び出されたって聞いて、ついに告白か〜、なんて思った時があったんだけど


『あ、あの…し、白仁さん…』


『はい。』


『…!す、すいませんでしたー!』


って走り去って行ったんだよねー、あの子なにしたかったんだろ。


なんて話聞かされてびっくりした。


なにしたいって、どう考えても告白でしょう?!


後日逃げた人に話聞いたら


『くだらない事で呼び出さないで、って目が語ってたんだ…』


それ勘違い、ただ見た目が少し怖いだけの中身ポンコツだよ?!

あの時は、姉の鈍感さに戦慄したな…


「つまり、恋愛的な意味で好きって事?」


「え…え!そうなのかな?!」


まぁ、恋愛感情を知れたならよかったんじゃないかな、普通とは少し違うかもだけど。

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