第107話 チャラ男の帰還
〜ロリ女神〜
あぁぁぁ〜…
仕事が多すぎる。世界2つだけにしては資料多いなと思ったんだけど、よく見たら僕の世界含めて4つ分あったよね。
「めんどくさいよぉ〜…」
あの爺さん、なんで3つも管理してんだよぉ〜。
1人で3つも管理してたのにあれだけ遊べるって、サボり癖はあるけど有能って事?
真面目にやれよぉ、偶にだけど私に押し付ける必要もないだろ…
ぐちゃ…
「ん?」
なんの音だろ。
空間に異常は察知してないから無いはずだし。
にちゃ…ブチ!
「ひゃーー!」
に、肉が裂けるような音がする!
「!」
空間から大量の手が出てる。
間違いない、先生だ…!
先生なら察知できないのもしょうがない。
グチャ、グチャ!
ブチブチ!
怖い…
空間を破るように手が動くたびに音が怖い、この前みたいに普通に入ってきてくれないかな。
ドサ!
袋に入った何かを落として手は消えていく。消える時、私の方に向かって手を振ってきた。
「開けるしか、ないか…」
先生が落とした奴だし危なくはないよね、中身見るのはかなり勇気いるけど。
少しあったかいな、そして柔らかい…神か!?
「髪が…黒い!」
中に入ってたのは、髪色が金から黒に変わったチャラ男だった。
「ん、あ?あぁ、ロリ女神か…」
チャラ男の目にいつもの余裕は無く、僕を見ても煽ってくる気配はなかった。
「な、何があったの?!」
「いや、少し…あぁ少し、叱られただけだ…」
絶対嘘だろ!
髪が黒モードなんてチャラ男になる前、誕生してから友達できなくて発狂してた時しか見た事ないよ!
ビーー!!
「!」
緊急アラームなった、こんな時に来るのか!
何が起こったのか確認をーー
「ケルベロス…」
爺さんのバカ、悪魔の陣営であるケルベロスが居るって事は悪魔が侵入してるじゃん!
だけどおかしい、私達の管理する世界では既に悪魔は滅ぼしていたはず…
生き残りが潜んでいる可能性が高いとされた世界を滅ぼしてまで確実に仕留めた程。
「チャラ男、緊急だよ!手伝ってー!」
「あぁ、何すれば良い?」
「ケルベロスの討伐。」
「ケルベロス?なんでそんな奴が…いや今話す事じゃないな、わかった。」
なんかチャラ男が素直だと気持ち悪いな。
〜エルフ〜
沢山並んでいたビルが崩れている。
全てあの頭が3つついてる犬がやった事、建物を破壊しながら先へと進み続け、破壊の限りを尽くす。
(リース、準備は完了した?)
「うん、いつでも良い…」
あの犬、ケルベロスは神様達にとってヤバい存在らしくて、座ってボーッとしてた私は直ぐに転移させられた。
ストーカーの事を話したら、護衛として精霊を召喚する話になり一瞬帰ってまた来た。
(じゃあ、安全第一で動かすから怖がらず安心して欲しい。)
お前本当に誰だよ、チャラ男じゃないだろ…
目の前の怪物より怖いよ〜!
今話しているのは女神様ではなくチャラ男神、帰ってきたって聞いた時は嬉しかったけど、性格が変わりすぎてて怖い。
これじゃあ、偽チャラ男だ。
(怖いよぉ…)
女神様も怖がってる。
『ギャァァァァァァ!』
足止めをする為、近距離で銃を撃ってた自衛隊さんが風圧で吹き飛ばされた!
『大丈夫かぁぁぁ!』
『隊長!クッソ痛いです!』
『生きてるなら良し!』
生きてる…
というか、あれ壁走りさんじゃね?
「早く、行こう…」
(了解!)
転移させられ体がフワッとする。
転移した先はーー
「はは…」
ケルベロスに踏み付けられる寸前の場所、思わず笑っちゃった。
(周りに人が多いので吹き飛ばしましょう。)
メイスを巨大化させ思いっ切り殴りつける。
破壊されたビルの方へと倒れ、周りにいた自衛隊の動きが止まった。
周囲からは守護者だ、守護者が現れたって声が聞こえる。ヒーローが現れたみたいな反応されて少し恥ずかしい。
「守護者ちゃーん!無事でよかったぁ!」
なんか数人だけど主張激しい奴いる…
(どうやって倒そう。巻き込んで良いならドーンで終わりなんだけど、リースちゃん嫌だよね?)
嫌だよ?!
巻き込んで良いって周りの自衛隊さんのことだよね、絶対にダメ。
(なら少しずつ弱らせtーー避けて!)
「!」
メキィ!
さっきまで立ってた場所が円形に凹んだ。
おい、偽チャラ男!チャラ男を名乗るならちゃんとやってよ、エルフボディの操作もっと上手だったぞ。
(なんかバグった、ラグいラグい。)
あ、この感じはチャラ男っぽい。
(バカ!)
(いや本当に、操作を妨害してる奴が居る。今は動かせるけど急に止まる可能性高い、危険すぎて攻められない。)
「『風を纏い裂けよ 切断』」
今動かせるのは事実のようで、倒れたケルベロスの脚に魔法を撃ち、立ち上がれないように妨害してる。
妨害自体は成功してるけど、ダメージは無さそう。
どうしよう。
私でも戦えるけど、エルフボディの動かし方を知ってるだけで駆け引きとかは少し難しい。
「壁走りさん…」
「俺まだそれで呼ばれてんの?!」
「此処から、離れて…」
今は本当に余裕ないからね。
早くどっか行ってくれないと全力で戦えない。
「だが、大丈夫なのか?」
前みたいに肉体強化の魔法を掛けてあげれば…ワンチャン戦えるか?
カラカラ
瓦礫が崩れる音。
ケルベロスは3つある頭を空に向けてる…
グオォ…
口を開けて、何かする気だ!
「伏せて!」
ギィィヤァァァガァァァァァァ!
空へ向けて吠えている。
周りの自衛隊さん達は耳を抑えて倒れ、咆哮の圧で瓦礫が吹き飛ぶ。
「う、あぁ…」
エルフボディでも痛い…
(ーーー!)
神様達が何か言ってるけど、頭が痛くて聞き取れない。
アァァァ……
この苦痛の時間は永遠に続くかと思われたが、ケルベロスが地面から出てきた巨大な黒い口のようなものに飲み込まれ消え、唐突に終わりを迎えた。
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