第106話 緊急速報

〜エルフ〜


雲ひとつない、とてもいい天気。

あったかいなぁ。


「リースさん、今日はゆっくりする日なんですね。」


魔力を伸ばして警戒してるんだけどね。

まぁ周りから見たら、目をつぶりながらあったかい所でぼーっとしてる様に見えるんだろう、魔力の監視って意外と集中力使うな。


あー、心地良ぃ…


カシャ


誰だ写真撮ったのは?!

エルフボディを舐めるなよ〜、集中してれば3つ隣の家の僅かな物音でも気づくんだからなぁ。

神様は今いないし、ストーカーか?ストーカーがエルフボディの可愛さにやられてやったんか?


「むぅ…」


白黒だけどよーく見てみると、こっちにカメラ向けてる奴いるな。

今は神様のサポートが難しいし刺激したくないから何もしないけど、殲滅することになったら絶対にカメラ壊す。

盗撮ダメ。


「ふわぁ〜…」


奴等は監視し始めてから何人か入れ替わってる。

あのストーカー50人近いグループの可能性が、高い…な……


すー… カクッ!


「はっ…!」


「「!」」


危なかった、座ってないで横になってたら確実に寝落ちしてた。

盗撮してる奴も居たし、無防備な姿見せるのは危ない。


「戻るね…また、一緒にご飯食べよ…」


「はい、是非誘ってください。」


友美さん達に見送られながら戻る。

眠いってのもあったけど、寝落ちさせた2人が寝返りするようになったから起きそうだなって。


ガチャ


友美さんの家に護衛として精霊召喚した方がいいかな。

隣の家だし直ぐに守りには行けるけど…ちょっと不安。


「ただいま…」


「今日は早いな、おかえり。」


お昼にもう少し時間あるもんね、お見舞いに行ってから1時間経つかたたないかぐらい。


「元気になってたか?」


「少し、良くなってた…」


体力ない時に風邪引かなくて本当に良かった、風邪ひいちゃっても私が魔法で治すけど。


「そろそろ昼の準備し始めるから、テレビでも見て待ってるといい。」


「うん…」


琴音さんと朱音さんのどっちかが起きるまで時間潰そう、勿論警戒しながらね。


『今回狙うのは、こちら!』


昼前にやってる釣り番組、1回サバが出てから時間ある時には確認してる。

残念なことに今日はブリだった、サバ出ないかなぁ。


「サバァァ…」


網とかなら出てくる可能性高い。


『緊急速報です!』


「…!」


…私がテレビ見てる時に速報入る確率、嫌がらせを疑うぐらい高いよね、気のせいかな。


「また来たのか?」


ママさんは襲撃が来たと思ってるのか。


『全長100メートル程の頭が3つある巨大な犬が暴れています。避難勧告が出されました、該当する地域の方は速やかに警察、自治体の指示に従い避難を開始してください。』


は?



〜自衛隊 7班〜


「「「………」」」


こいつらビビってるのか?

俺達は守護者と会話した数少ない人、魔法を使い肉体を強化してもらった事もあり、今じゃちょっとした有名人だ。


有名になったせいか、隊員達が毎日馬鹿騒ぎする様になったり、科学者達から質問を受けたりと忙しい毎日を送っていた。


「隊長…」


「どうしたんだ?」


最近では門以外からも怪物が現れる様になって俺達は引っ張りだこ。

守護者の魔法が強力すぎたのか、体が成長したのか、理由は明らかにはなっていないが俺達は超人的な動きができる。


まぁ流石に壁走ったりとかは出来ないが、給料が大幅に上がった。


「……はぁ。」


そんな事もあって部下達はテンションが高かったのだが、最近になり少し落ち込む様子を見せ始めたのだ。


目の前の男もその1人、急に現れた化け物に対抗する為に移動している車の中で俺に何かを話そうとしている。

いやもっと早く言ってくれよ、戦闘の前なんだから心の準備させろ。


「た、隊長。」


「お前さっきからそればっかりだな!隊長命令だ、要件を早く言え!」


「は、はい!実は…守護者に会えなくて、悲しいのです!」


…は?


「俺達はみんな同じ気持ちです。」


いやいや、は?


「ど、どういうことだ、詳しく、説明しろ…」


真面目な顔して何言ってる、全く意味がわからん…


「最後に守護者が現れたのはゴーレム事件の時でした、それ以降は出現した話は聞きません。」


全員が同意する様に頷きながら、1人の部下の話を聞いている。


「最初は確かに怖かったです。だけど俺達に魔法を掛けてくれたり、門が開くたびに様子を見てくれていたそうです。」


門に異常が現れて直ぐの頃。

守護者はタイマーが0になって大量の怪物が出てくる時、自衛隊を見守るように出現しており、その姿を監視カメラが捉えていた。


「その時に思いました、あの子は仲間なんだと。ですが守護者の出現率は一気に落ち、ネットの一部では死亡説まで出回っています。本当クソですよね。」


最後に本音が漏れてるぞ。


「あぁ、それには同意するが…何故会えなくて悲しくなるんだ?」


「わからないんですか?!」


いや、わかるか!

心配ならまだわかる、だが今までの会話のどこに悲しくなる要素があったんだよ。


「あの柔らかそうな体を見たいんです。」


ん?なんかおかしいぞ?


「隊長、ここまで話したのでもう全部言います。俺達は守護者が大好きです。」


だ、大好き…?

それはまさかーー


「あぁ、勿論loveラブじゃなくてlikeライクの方ですよ?…隊長と違って。」


いや、良かったぁ。

最後何か小声で言ってたけど今はどうでも良い、それよりも危うく行き先が警察署になるところの方が危なかった。


『間も無く危険地域に入ります、装備の点検を始めてください。』


「お前らしっかり確認しろ!」


もうそんな近くまで来てたのか、アナウンスのおかげで助かった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る